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睡眠障害と睡眠薬

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睡眠障害と睡眠薬

夜勤者は病気になりやすいでしょうか?
交代制勤務は、昼夜のスケシュールを意図的に変化させるため、ヒトの体内に存在する体内時計と生活時間のずれが生じ、様々な心身の不調を生じます。
現代社会は眠らない時代といわれ、交通業界、警備、24時間稼働の工場、飲食関係、マスコミ、医療関係など、昼夜を問わず勤務を求められる職業が増えています。現在、全労働者の約30%が交代制勤務に従事しているといわれています。この不規則な勤務(夜勤)がもたらす問題の1つは、生体リズム障害およびそれに伴う睡眠不足であり、もう1つは社会生活上の問題(家庭不和、社会的孤立など)です。
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近年の時間生物学的研究の発展により、ヒトに体内時計が存在し、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌のリズム、深部体温リズムなど生体内の様々なリズムを支配していることがわかっています。
交代制勤務は、昼夜のスケジュールを意図的に変化させるため、体内時計と生活時間のずれが生じ、様々な心身の不調を生じます。
佐々木らは口、精神科を受診した交代制勤務者157名を対象に生体リズム障害の観点から検討を行った結果、105名(66.9%)は心身症様症状を示し、その内訳は、73名(68.6%)が睡眠・覚醒障害、次に17名(16.2%)がめまいや立ちくらみなどの自律神経症状、さらに吐き気や下痢などの消化器症状、腰痛や肩こりなどの筋骨格系の症状、呼吸困難などの呼吸器症状、心臓のドキドキ感などの循環器症状がみられました。
これらの症状は交代制勤務と時間的な関連をもって発症・増悪し、3分の1は交代制勤務の継続が困難でした(図1)。

交代制勤務に伴う症状の出現頻度

交代制勤務に伴う症状の出現頻度


また睡眠不足の身体への影響については、Spiegelらは、11名の健康な人を対象に、連続6夜にわたり、睡眠時間を4時間(午前1時から5時まで)に制限した後の耐糖能(糖分をとったときに上昇した血糖値をインスリンを分泌して正常に戻す力)、ホルモン分泌機能および交感神経・副交感神経機能を検討しました。その結果、睡眠時間の制限を解除して6日後の回復夜との比較において、耐糖能の低下、夕方の血中コルチゾール濃度(ストレスの指標)の上昇、日中の交感神経系の活動性増加を認めた報告があります(図2)。
図2.糖負荷試験による血糖および血中インスリン濃度の変化(上図)、朝食後の血糖およびインスリン分泌率の変化(下図)

図2.糖負荷試験による血糖および血中インスリン濃度の変化(上図)、朝食後の血糖およびインスリン分泌率の変化(下図)


 
その他、睡眠不足による免疫系、循環器系への悪影響の報告もみられます。交代制勤務を5年以上続けた人の約30%にうつ病がみられた報告や、交代制勤務を続けるに伴い、心疾患を発病する可能性が高まるという報告もあります。

寝つきが悪い

小学生(8歳)の悪子は寝つきが悪くて、朝なかなか起きません。なんとか学校に通っていますがこれは異常でしょうか?
明らかに異常です。国際分類に従えば、「不適切な睡眠衛生」なとが鑑別にあがりますが、日本で現任しばしば認める「遅寝」の小学生の実態でしょう。
健康な思春期前の小児は、通常、日中にはほとんど眠気を感じません。
朝の目覚めが悪いということは、睡眠時間が十分ではないのでしょう。
そのような睡眠不足の状態で昼間の行動はいかがでしょうか? 一日中ぼんやりしているのでしょうか? それとも居眠りばかりしているのでしょうか? いずれにしても十分な活動ができているとは考えられません。夜の睡眠のためには昼間の十分な活動がなくてはなりません。また必要以上に昼間に眠りすぎると夜の寝つきに影響がでるのは当然です。
夜の寝つきの悪さの原因はこのあたりにあるのではないでしょうか。つまりご質問のお子さんの場合、昼夜のメリハリがなくなり、遅寝遅起きの生活パターンに陥り始めているのではないでしょうか。
人間の身体のリズムの基本になる体内時計の周期は1日25時間です。ですから遅寝遅起きはとても楽にできます。でもこの状態をそのままにしておくと、身体のなかのいろいろなリズムがバラバラになって、時差ボケのような状態になり、体調も頭の調子も悪くなります。また遅起きとはいっても学校がありますから、朝はある時間には起きなければなりません。当然睡眠不足がたまります。睡眠不足がたまるとますます身体も脳も働きが悪くなります。ご質問の小学生も生体リズムを直す必要があります。周期25時間の体内時計を周期24時間の地球時間に合わせるために必要なのは、朝の光、昼間の活動、そして規則正しい食事です。
最近の日本の子どもたちの多くはとんでもなく宵っ張りです(図)。

夜10時以降に就寝する3歳児の割合

夜10時以降に就寝する3歳児の割合


夜10時以降に寝つく3歳児は全体の50%を越え、小学6年生の8人に1人の眠る時間は深夜0時過ぎです。そしてこの夜更かしの理由は、何となく、あるいは家族が起きているから、なのです。子どもが眠らなくなったのではなく、大人が子どもたちを寝かせなくしているのです。睡眠障害の国際分類としては「不適切な睡眠衛生」です。
人間は昼行性の哺乳類です。社会の24時同化は、人間の身体と脳には具合が悪いはずです。でも目本の大人たちは社会の24時開化を何の疑問もなく受け入れ、そして無防備な子どもたちを24時間社会に晒しています。子どもたちが眠りにくい環境を大人たちが作り上げたのです。
24時間社会は人類がこれまで経験したことのない生活環境です。「遅寝」では睡眠時間が減り、慢性の時差ボケ状態になります。夜間の明るい環境は本来子どもたちがたっぷりと浴びるべきメラトニンの量を減らす可能性があります。また遅寝が子どもたちの肥満の危険因子であることも疫学的に証明されました。国の礎である子ども
たちのすこやかな心身の発育のために、遅寝の問題点を認識し、その解決に努めなければ次の世代に大いなる禍根を残すことになりはしないかと心配です。 24時間社会は今後も世界的規模での進展が予想されますが、国際的に「遅寝」が社会問題化しているのは日本だけです。これは、日本の大人たちが、「当面粗大な問題が生じなければ現状をよし」とすることによって、しつけを放棄した結果ではないでしょうか。睡眠障害国際分類の「しつけ不足症候群」としての一面もあるかもしれません。その結果子どもたちは「睡眠不足症候群」になってしまっているのではないでしょうか。
まずは早起き、そして朝陽と朝食、そして昼間の活動が大切です。でも昨夜までの遅寝を今日から早寝にするのは大変です。休日などを利用しての、早起き、朝食、昼間の活動から始めてください。なお朝の目覚めが悪いことについては、睡眠の質のチェックも必要です。睡眠時無呼吸がないかどうか、睡眠中の呼吸の様子はチェックしておいてください。
ずっと寝つきが悪く、寝入るのは午前3時から5時、目覚めは午前10時から午後1時です。早起きしなければならないとしたら、まともな行動ができません。どうして普通の人と睡眠パターンが違うのでしょうか?
睡眠相後退症候群になっているものと思われます。この病気では、体内時計機構の何らかの障害のために宵っ張りの朝寝坊状態を元に戻すことができなくなります。
このような遅寝、遅起きの状態が長期にわたって続いており、自分で頑張って治そうと努力しても治せないとすれば、睡眠相後退症候群という病気になっているものと思われます。この病気の原因はまだ明らかにはされていませんが、おそらくは体内時計機構の何らかの異常が関係して起こってくるものと考えられます。このように体内時計機構の障害によって起こる疾患を概日リズム睡眠障害と呼びますが、このなかには時間帯域変化(時差)症候群や交代勤務睡眠障害のように誰にでも起こりうる一過性のものと、睡眠相後退症候群のような病的なものがあります。
睡眠相後退症候群は、夜なかなか寝つかれず、朝はなかなか起きられないという、いわゆる“宵っ張りの朝寝坊”の極端なもので、1981年にWeitzmanらによって提唱された疾患です。不眠症に間違われやすい病気ですが、長期間にわたり睡眠日誌を記入してもらうことで鑑別することができます。多くは思春期から青年期に発症します。典型的な例では通常明け方近くまで眠れず、そのため朝がまったく起きられなくなってしまいます(図)。
睡眠相後退症候群患者における睡眠日誌

睡眠相後退症候群患者における睡眠日誌


いったん眠ると普通に眠れますが、その眠る時間帯が社会のリズムとずれているために社会適応が困難になります。この場合、ずれた睡眠時間帯のままでも全く自由に生活した場合には問題はありませんが、学校や会社に出るという社会的要請がある場合に適応するのが難しくなります。すなわち、遅れている睡眠時間帯を前進させることができないために、遅刻や欠席が多く、また日中眠気が強い、仕事や授業に集中できないといった障害が起こります。このように社会に適応できない状態が続くと2次的に抑うつ状態となることもあります。
ヒトの睡眠・覚醒リズムは体内時計によって調節されていますが、その時計の周期は24時間ではなく、約25時間と1時間ほど長いことが知られています。そのため、ヒトは明暗、音、温度、社会環境などの外界の同調因子を無意識のうちに利用して、体内時計を自然の24時間のリズムに合わせています。睡眠相後退症候群では体内時計を24時間に合わせる過程に何らかの問題があるために、いったん睡眠相が遅れると睡眠・覚醒リズムを前進させることができなくなると考えられています。
睡眠相後退症候群の治療としては、睡眠薬はあまり効果がないため、高照度光照射療法(光療法)、ビタミンB12製剤やメラトニン製剤の投与、時間療法などの時間生物学的治療が主に行われます。高照度光照射療法は、最も強力な生体リズムの同調因子である光を利用した治療法であり、光治療器を用いて2,500〜3,000ルクス(晴れた日の窓辺程度)の高照度光を早朝2〜3時間照射します。ビタミンB12製剤は、光の感受性を増すことによって光の体内時計に対する作用を強くする働きがあると考えられていますが、効力はあまり強くないため、高照度光照射療法などと併用する場合が多いようです。メラトニン製剤は、望ましい入眠時刻の3〜5時間前に0.5〜3mgの比較的少量を経口投与することで、リズムを前進させる効果が得られます。時間療法とは、入眠時刻を1日に2〜3時間ずつ遅らせていき、睡眠相を望ましい時間帯に固定しようとする方法で、この治療法は一時的には効果がみられることもありますが、効果が持続しないことが多いため、高照度光照射療法やビタミンB12製剤など他の治療と併用するのが効果的です。

睡眠薬

寝られないときの睡眠薬の適切な使用法、そして使い分けはどうすべきでしょうか?
睡眠薬はその作用時間に違いがあり、不眠のタイプに応じで使い分けられます。現在の睡眠薬には重大な副作用はありませんが、服用、中止には医師の指導が必要です。
まず、不眠は一般に思われている以上に健康を損ねることのある重大な症状なので、放置せずちゃんとした対応をすべきだと考えて下さい。
そして、ストレス管理、寝室環境の改善、生活スタイルの改善など、よい睡眠への配慮をしても不眠が続く場合は睡眠薬の使用をためらわないで下さい。睡眠薬はきわめて有用な薬であるにもかかわらず誤解や先入観が多いようです。使用するかどうかで迷うより、適切な使い方を正しく知ることが大事です。ただし、不眠はうつ病などの疾患の症状としても現れますので、薬で治療するといっても睡眠薬だけでは解決できないこともありますから、専門医の指導にしたがって下さい。睡眠薬は何種類もありますが、主な違いはその作用時間です。
現在の睡眠薬
一般名    商品名
超短時間作用型 トリアゾラム   ハルシオン
ゾビクロン   アモバン
酒石酸ゾルピデム  マイスリー
短時間作用型  塩酸リルマザホン  リスミー
ロルメタゼバム  ロラメット
エチゾラム   デパス
ブロチゾラム   レンドルミン
中間型    ニトラゼパム   ベンザリン
エスタゾラム   ユーロジン
ニメタゼパム   エリミン
フルニトラゼパム  ロヒプノール
長時間作用型  塩酸フルラゼパム   ダルメート
ハロキサゾラム  ゾメリン
クアゼパム    ドラール
現在の主流である、ペンソジアゼビン受容体作動薬と呼ばれる睡眠薬をあけました.それぞれの人の不眠のタイプと.睡眠薬の特徴を考慮して選ばれます.
作用時間が短ければ服用した後だけに効果が現れ、寝ている間に効果がなくなっています。作用時間が長ければ翌朝起きる前まで効果が続くということになります。この違いを利用して睡眠薬を使い分けることになります。
睡眠薬を選ぶ際のめやすとしては、不眠の型と不眠が続いている期間を考えます。
不眠の分類
不眠の型  入眠障害
中途覚醒
早朝覚醒
持続期間  一過性(数日)
短期(1〜2週間)
長期(3週間以上)
不眠は、その型と.不眠が始まってからの持続期間で分類されます.この分類は.睡眠薬を選ぶ際のめやすにも用いられます.
ひとくちに不眠といっても寝つきが悪い入眠障害、途中で目が覚めてしまう中途覚醒、朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒などのタイプがあり、これらが複合して現れることもあります。したがって、不眠の型にあわせて、入眠障害には超短時間作用型や短時間作用型の睡眠薬を、中途覚醒や早朝覚醒には中間型や長時間作用型の睡眠薬を使います、
しかし不眠にはその持続期間が数日間の一過性不眠、1〜3週間の短期不眠、3週間以上の長期不眠という分類の仕方もあり、持続期間が短ければ短時間作用型でよい場合が多く、また持続期間が長ければ、たとえ入眠障害であっても、作用時間が長い睡眠薬の方がよいこともありますので、総合的に判断されることになります。
服用期間は、持続期間が短い場合は症状が消失するまでをめやすとしますが、長く続いている場合は症状が消失してもただちに中止しない方がいいです。不眠症は慢性であることが多く、治療も長期間にわたることがありえると考えて下さい。
あとは副作用のことを考慮します。現在の睡眠薬では、生命に関わったり後遺症を残すような副作用はありませんから、むやみに怖がらないで下さい。むしろ、急に服用をやめると離脱時症候群という別の問題が起こることがありますから、中止時も医師の指導にしたがって下さい。
睡眠薬を服用するときは、ベッドに入る直前に飲み、服用後はいろいろな活動をしないこと、お酒と併用しないことが大事です。また、睡眠中に仕事などで起こされることが多い人は、その旨を主治医に告げて下さい。

メラトニン

睡眠障害にメラトニン製剤は有効でしょうか?
睡眠・覚醒リズムの障害から起こっている睡眠障害には有効です。しかし、リズム障害がない不眠症に対する睡眠薬としては、大量の服用が必要なうえ、効果は乏しいものです。
メラトニンとは脳内で合成されるホルモンの一種で、ヒトの24時間の生体リズムと深く関わっています。睡眠は体のリズムから周期的に生まれてくるものですから、メラトニンと睡眠にも深い関係があります。メラトニンの分泌の口内リズム(1日のリズム)を詳しく見てみると、昼と夜で明白な違いが認められます(図)。

メラトニン分泌の日内リズム

メラトニン分泌の日内リズム


血液中のメラトニンは、夜の9時ごろから上昇し始め、夜中の3時から4時ごろに最高値となった後減少し、朝の9時ごろに最低値になると日中はそのままずっと低値で推移
し、再び夜になると上昇します。このように、メラトニンは体のリズムを作る重要な要素と考えられます。また、このメラトニンの日内リズムは眼から入る光で抑制されるので、ヒトのリズムが光で調節されることがこの事実からもわかります。高齢になるとメラトニンの分泌が悪くなりますので、中年以降に不眠の方が急増することの要因の1つになっているとも考えられています。
メラトニンのこのような役割から考えて、睡眠障害に対する有効性としては、まず睡眠・覚醒リズムの障害を改善させる効果があげられます。
睡眠・覚醒リズムの障害から生じる代表的な病態には、時差症候群と呼ばれるいわゆる時差ボケや睡眠相後退症候群があります。時差症候群は、時差のある国に行ったとき、自分の生体リズムがその国の時刻と合っていないために起こるものです。睡眠相後退症候群も、自分のリズムが暮らしている国の時刻と合っていなく(遅れていて)、通常眠りたい時刻には眠れず、ずっと遅れてやっと眠れるため、社会生活にうまく適応できなくなってしまうものです。どちらも自分の望む時刻に寝つけないという人眠障害の形を取りますが、リズムが正常で寝つけない不眠症とは本質的に異なる病態です。
こうしたリズムの障害を基盤にして起こる睡眠障害には、メラトニン製剤が有効であると考えられています。要するに、メラトニンが直接眠りを誘うのではなく、生体リズムをその人が暮らす社会の時間に合うようにすることによって、望ましい時刻に睡眠が訪れるようにする治療法といえます。使用法は、望む入眠時刻の2〜4時間ほど前に、0.5mgから数mgの比較的少ない量のメラトニン製剤を服用することで効果があるといわれています。効果が不十分な場合でも、高照度光療法(朝の太陽光で十分ですが)やビタミンB12製剤を併用することで、効果をあげることができます。こうした使用法は、メラトニンという生体内に自然に存在する物質の本来の性質を生かした治療法です。
一方、リズムの調整を介して間接的に睡眠を改善させるだけでなく、メラトニンには直接的な催眠作用もある可能性があります。ただし、この点に関しては十分にその効果が確認できているわけではなく、効果があるという報告でも、必要な量はリズムの改善に用いる量よりはるかに多いものです。またその効果も、一般の睡眠薬よりは弱く確実性も乏しいものです。したがって、リズム障害ではない不眠症に対する睡眠薬としては、あまり多くの期待はできません。しかし、メラトニンの分泌不足が関係していると思われる、高齢者の睡眠維持障害(中途覚醒や早朝覚醒)には、少量を補充することで改善する場合があるので、試みる価値はあると思われます。

睡眠薬の耐性と増量

ここ何ケ月か睡眠薬を服用しでいます。初めは効きましたが、だんだんと効かなくなりました。服用量を増やすべきでしょうか? それとも他の薬にかえてみた方がよいでしょうか?
連用することで薬の効果が弱まることはないので、再び眠れなくなったときには他の理由が価えられます。増量するか他の薬に切りかえるかは専門医の判断が必要です。
「睡眠薬が効かなくなる」という表現のなかには、医学的にいうと異なった現象が含まれます。一番心配されることが多いのが耐性と呼ばれる現象です。耐性とは、同じ量では効果が徐々に減弱すること、いいかえれば同じ効果をもたらすにはより多くの量が必要になることですが、現在の主流の睡眠薬(ベンゾジアゼピン受容体作動薬といいます)にはこの現象はありません。では、初めは眠れていたはずの同じ薬を同じ量飲んでいるのに、なぜ眠れなくなることがあるのでしょうか。これには2つの理由が考えられます。
1つは、不眠そのものが悪化している可能性です。たとえば加齢に伴う不眠であれば、中年以降に急激に増加していくものですし、脳波で確認すると、年齢とともに睡眠途中での短い覚醒(本人には気づかない程度の短いものもあります)が増え、深い睡眠が減っていきます。これはある程度生理的なもので、避けられないものです。また、不適切な睡眠環境(騒音など)や慢性的に続くストレスによるものでは、やはり原因が改善されないと不眠の程度は悪化していくことが多いのです。
もう1つは、睡眠薬の性質による場合が考えられます。睡眠薬を毎晩服用していると、特に6ケ月以上のとき、突然服用をやめると離脱時症候群という現象が起きることがあります。しかし、服用をやめていなくても、短時間作用型の睡眠薬だと明け方には体内から睡眠薬がなくなるので、突然やめたのと同じことになり、早朝には逆に覚醒度が上がるため早く目が覚めてしまうことがあります。
前者の場合ですと、睡眠の妨げになりえる要因を除いたうえで、改善しなければ量を増やすのがよいでしょう。後者の場合は、作用時間の長い睡眠薬に切りかえていくことがよいと思われます。ただし、これらを区別するのは難しいことですので、判断は専門医に任せた方がよいでしょう。
睡眠薬は長期間服用してはいけないといいますが、なぜですか?
睡眠薬は、効果の面でも副作用の面でも、長期間服用することそのものには問題はありません。指示された服用を守っている限り心配はありません。
睡眠薬を長期間服用してはいけないかどうかの答えの前に、長期間服用したときに考えておかなければならない点を説明しておきましょう。薬の問題点を考える際には、常に効果と副作用の面からみていきます。睡眠薬は長期に服用しても効果が弱まるということはありませんから、効果の面では長期に服用してはいけないことはありませ
ん。不眠は元来かなり慢性の経過をとるので、長期に服用する必要がしばしばあるものです。
では、副作用の面ではどうでしょうか。長期に服用してはいけないといわれることが多いのは、副作用のことを心配する方が多いからでしょう。まず、睡眠薬は多くの薬のなかでもかなり安全な部類に属するもので、また効果も高く、きわめて優れた薬だという理解をしていただきたいと思います。少なくとも、生命に関わったり、後遺症のような副作用はありません。
長期に服用している方が心配することの1つに、痴呆になるのではないか、ボケるのではないかというものがあります。これは、睡眠薬を飲んでいる方に記憶障害が起こることがあることから広まったものでしょう。しかし、この問題はあまり正確には理解されていないようです。記憶障害はたしかに起こりうるものですし、長期に飲んでいる方だけでなく、飲み始めたばかりの人でも起こります。しかし、この現象は睡眠薬を飲んですでに効果が出てきているのに、すぐにベッドに入らずいろいろな活動をしたとき、その間に行ったことや出来事を、あとで思い出すことができなくなるという形をとります。睡眠薬は、飲んだらすぐにベッドに入って、静かに眠りに入るのを待つという使い方をしなければなりません。要するに、使い方が悪いことから起こってくる現象なのです。また、睡眠薬を飲む前の出来事を忘れてしまうことはありませんし、服用後に自分の行動を思い出すことができなくなったときでさえ、その間の行動や判断は正確に行えますし、翌日薬の効果がなくなれば記憶障害もなくなります。したがって、記憶の障害が起こるといっても痴呆とは全く異なるものですので、安心して下さい。
しかし、長期に服用している人には、突然飲むのをやめると離脱時症候群という現象が起きることがあります。ただし、飲み続けている間の問題は早朝覚醒が起きることがあるだけですから、基本的には飲んでいる間は心配ありません。離脱現象は中止後ただちに始まり、薬を飲み始める前より強い不眠が生じたり、時には発汗、動悸、知覚過
敏などの症状が出ることもあります。しかし、これもやめ方に問題があるわけで、徐々に減量したり、他の薬に置き換えながらやめれば防げますので、医師の指導にしたがって中止するようにして下さい。
このように、睡眠薬を長期服用するときに考慮しなければならないのは、その服用法や、やめ方の問題だけですので、正しい服用さえしていれば長期間飲むことに何ら心配することはないといってよいでしょう。
睡眠薬の長期服用
効果が弱まることはない。
記憶障害は不適切な服用法から起こる。痴呆とは全く異なるものである。
離脱時症候群は、突然服用をやめるという誤った服用法から起こる。不眠の治療は長期にわたることも珍しくありませんが,適切な服用法であれば.睡眠薬を飲み続けることに問題はありません.

市販の睡眠薬

不眠に市販の睡眠薬を使ってもよいでしょうか?
不眠が始まって間もない方や軽症の方はまず試みられてよいでしょう。しかし、改善しない方は国原機関で適切な薬物を処方してもらうことをためらわないで下さい。
市販の「睡眠薬」は鎮静薬ないしは催眠鎮静薬と呼ばれ、いらいら感や緊張感をとり、睡眠に導かせるというもので、医療機関で処方される抗不安薬(精神安定剤)と類似した効能をもっているようです。また、漢方系の薬が多いようです。市販薬も、当然効果と安全性が認められ発売されているのですから、不眠の方が服用されることに何ら問題はありません。しかし、市販薬であるということから、処方薬に対するものとはまた違ういくつかの誤解があるようですので、その点についてご説明しておきます。
1つは、処方薬にも共通した誤解ですが、「抗不安薬」は睡眠薬より軽い、安全だというものです。抗不安薬も睡眠薬も、薬としての作用は質的にほぼ同じです。ただ、抗不安薬は不安を鎮める作用がどちらかというと優位で、睡眠薬は腫眠作用が比較的に優位だという量的な差だけしかありません。これは効果の違いを意味しているのですから、抗不安薬の方が安全だという考えは全くの誤解ということになります。
次に、市販薬の方が安全だという見方について述べます。市販薬は、薬に対する知識が乏しい一般の方が購入するものですから、たしかに多少間違った使い方をしてしまっても、重大な副作用などが起きないように安全性を大きく見積もっています。しかし、この点を過大評価してはいけません。処方薬も含めて、あらゆる薬には用法・用量といって、飲み方と量が定められており、必ずそれらが記載されている文書がついているはずです。服用する際には必ず使用法を守って下さい。そこからはずれた使用法をすると、市販薬でも予想外の副作用が起きることがありえると考えておいて下さい。
最後に、市販薬の効果について触れておきます。市販薬は安全性に重点が置かれていますから、効果の面では弱いものです。したがって、症状が軽く、不眠がみられてからまだ日が浅い方、毎日ではなく時々不眠がみられる方であれば、まず市販薬を試されるのもよいと思います。しかし、服用しても効果が不十分な方、長期間続いている方、ほとんど毎日不眠がある方は、早期に医療機関を受診し、適切な睡眠薬の処方を受けた方がよいでしょう。現在の睡眠薬は安全です。また、不眠は健康に害が大きいものです。市販薬か処方薬かという問題より、よい睡眠をとることを最優先に考えて下さい。
睡眠薬を飲んでいるといったら、友人は睡眠薬は危険だから寝酒にした方がいいといいました。本当でしょうか?
アルコールを睡眠薬として考えた場合は、効果が低く副作用も多い質の悪い睡眠薬といえます。寝酒は習慣化させず、時々寝つきが悪い人がぼろ酔い程度で留めるべきです。
この質問は、睡眠薬は危険かどうかということと、アルコールは睡眠に役立つかどうかということの2つに分けて考えましょう。
睡眠薬の危険性とは、要するに副作用のことでしょう。睡眠薬は非常に誤解の多い薬で、危険な薬というイメージをお持ちの人が多いのですが、それは過去の睡眠薬の悪いイメージを引きずっているだけで、現在主流である睡眠薬(ベンゾジアゼピン受容体作動薬)には重篤な副作用はありません。しかし、重篤ではないといってもいくつかの副作用はあります。
睡眠薬の副作用
①持ち越し効果:翌朝起床まで効果が残ること
②ふらつき:夜間、ベッドから離れたときの脱力感
③記憶障害:服用後の出来事を思い出せないこと
④離脱時症候群:運用後突然服薬を中止したときに起こる
すべてアルコールにも共通してみられるものです.十分な睡眠作用をもたらすほどの量では,アルコールの方が副作用は強く生じます。
その1つに、「持ち越し効果」といって、作用時間が長い睡眠薬では翌朝になっても効果が残り、眠気やふらつきがみられることがあります。これは、量を減らしたり、作用時間が短いタイプの睡眠薬に変更することで解決できます。また、筋弛緩作用といって、筋肉の緊張をやわらげる作用がありますので、夜間にトイレなどに起きたとき、特にお年寄りでふらつきが起こることがありますので、そのような習慣のある方では対策を講じる必要があります。
記憶障害や離脱時症候群が起こることもありますが、これは不適切な服用法や中止法で起こるものです。
では、アルコールはどうでしょうか。アルコールを薬物としてみた場合、基本的な作用は睡眠薬とよく似ており、睡眠薬はアルコールの睡眠作用を高め、副作用を減らした薬という言い方ができるくらいです。アルコールはたしかに寝つきをよくする効果はありますが、睡眠の後半では逆に目が覚めやすくなります。また、何日か連用(続けて飲むこと)したあとは、レム睡眠といって夢を見る睡眠が増えて、目が覚めやすくなるのに伴い、夢が多くぐっすり寝た感じが乏しくなるということも起きてきます。
さらに、睡眠薬と同じ程度の睡眠効果が得られる量ですと睡眠薬と同じ副作用がより強く出現します。アルコールを連用すると、当然アルコール依存症の危険性が高くなりますし、依存症になれば不眠がさらに悪化します。
睡眠薬も薬である以上、副作用がないわけではありませんが、適切に使用している限り現実に大きな問題が起こることはまずありません。それに対し、アルコールを睡眠薬として考えたときは、非常に質の悪い睡眠薬といえるでしょう。寝酒は毎日の習慣にはせず、飲むときもほろ酔い程度で留めておけば決していけないことはありません。したがって、時々寝つきが悪い人が少量飲んで寝るのであればかまいませんが、長く不眠が続いている人には全くおすすめできません。基本的に、お酒は生活を豊かにするための嗜好品と考え、睡眠薬のかわりにすることにメリットはないと考えて下さい。

睡眠薬と他の薬の併用

高血圧の薬などいろいろな薬を服用しています。内科系の薬で睡眠に悪い影響をおよぼすものはありますか?
内科系治療薬のなかには、副作用として睡眠障害が記載されているものがいくつかあります。
内科系治療薬のなかで、副作用として「睡眠障害」が記載されているものは、数は多くありませんが、下記のようにいくつか存在します。
スルピリド(胃・十二指腸潰瘍の治療薬)、塩酸イトプリド(慢性胃炎における消化器症状の治療薬)、フルバスタチンナトリウム(高コレステロール血症の治療薬)、塩酸オクスプレノロール(狭心症、頻脈性不整脈の治療薬)、硫酸サルブタモール(気管支喘息の治療薬)、シクロペンチアジド(高血圧症、浮腫の治療薬)、塩酸アマンタジン(パーキンソ
ン症候群、A型インフルエンザの治療薬)、塩酸フェキソフェナジン(アレルギー性鼻炎、じんま疹の治療薬)。
また、降圧薬(高血圧の薬)のなかでも脂溶性の高いβ受容体遮断薬(塩酸プロプラノロールなど)は脳内に入りやすく、不眠や悪夢体験がみられることがあります。
しかしこれらの薬剤によりすべての人に睡眠障害が発現するわけではありません。もし睡眠障害がみられた場合は他の薬に変更しますが、薬の服用量を減らすことで睡眠障害が改善することがありますので、一時的に睡眠薬を服用していただき、徐々に服薬量を減らすこともあります。
また、これらの薬剤の他にも副作用として睡眠障害が発現する可能性もあり副作用とは気付かずに患者さんの訴えに応じて睡眠薬を処方されていることもあります。いま飲んでいらっしやる薬について医師や薬剤師にご相談されるとよいでしょう。
女性が生理(月経)の前後に睡眠障害になるのはなぜでしょう?
性周期に開運した性ホルモンの変化が関与し、昼夜の睡眠・覚醒機能のメリハリが失われたために睡眠障害になると考えられます。
女性は初潮に始まり、毎月、生理(月経)が訪れます。さらに人生の大きなイベントである妊娠、出産を迎え、育児という大事業も成し遂げなければなりません。そして加齢とともに閉経、更年期という人生の節目ともいう時期からそろそろ老年期へと突入することになります。この間、女性の性ホルモン環境は、日ごとにも月ごとにも年代ごとにも変化をします。個人差はありますが、これらの性ホルモンの変化が女性の睡眠障害の原因の1つと考えられます。
女性では、思春期より、月経〜卵胞期〜排卵〜黄体期〜月経まで約28〜30日の1ヶ月周期で繰り返される、ホルモン分泌の周期性の変化を基本とした一連の生殖活動が始まります。それと関連して睡眠、気分、心身機能の変化もみられるようになってきます。健康な成人女性の約40%が月経に関連した睡眠の変化を自覚し、その約90%は眠気でした。
日中の眠気は、黄体期と月経前〜月経初期に増加し、さらにこの時期には夜間睡眠が浅くなります。性周期と睡眠の変化の背景には、女性ホルモンが概日リズム機構を介して影響を与えている可能性があります。黄体期には黄体ホルモン(プロゲステロン)そのものの催眠作用と、体温上昇作用による基礎体温上昇のため体温リズムの振幅の低下が起こり、体内の自律神経機能を介する昼夜の睡眠・覚醒のメリハリが消失し、睡眠に変化が起こるとする考えがあります(図1)

月経と睡眠 図1・図2

月経と睡眠 図1・図2


月経と睡眠に限定した研究は少ないのですが、まず健康な女性を対象とした月経周期と睡眠との関連の調査研究をご紹介します。18〜24歳の女子学生217名を対象としたもので、41%が月経に関連した睡眠の変化を自覚し、そのうちの約94%が月経前、月経中の「眠気や過眠」を訴えていました(図2)。学生時代に試験と生理が重なると、特に一夜漬けのときには眠くて苦労したのを思い出しますね。さらに月経に関連して、眠気が明らかに変動すると自覚している22〜30歳の3名の健康女性に、1〜3月経周期にわたり毎日睡眠日誌をつけてもらった調査があります。その結果、月経開始前は他の時期と比べて睡眠時間が長いことが分かり、自覚的なだけでなく実際にも「月経前にはよく眠る」ことが明らかになりました。健康な女性の睡眠ポリグラフ検査を用いた検討では、黄体期で睡眠の質が悪化し、朝起き難く、眠りが浅くなっていることが証明されました。眠気の強い時間は、午前11時ごろと午後6〜8時ごろで、一般にいわれている眠気の強くなる時間帯とは少しずれがあるようです。

妊娠中・産後の睡眠障害

妊娠中や産後の女性が睡眠障害になるのはなぜでしょう?
妊娠によって分泌が増加した黄体ホルモンにより、初期には眠気や倦怠感(けんたいかん)が、後期には大きくなった子宮により不眠となり、産褥期(さんじょくき)には更年期障害のような症状を呈します。女性では一連の生殖活動と睡眠は密接に関連しています。まず妊娠中と産粉剤・産後の睡眠障害を分けて考えましょう。
1.妊娠中
妊娠初期(妊娠〜15週)には妊娠と気づく前にすでに眠気や倦怠感を訴えることがあります。体がだるく、頭がすっきりせず、昼夜を問わず眠気に襲われ、1日の総睡眠時間は長くなります。妊娠によって分泌が増加した黄体ホルモンの作用によるものです。妊娠中期(16〜27週)になると睡眠の様子は落ちついてきます。28週以降は、大きくなった子宮による膀胱の圧迫や、全身の血液量の増加の結果、夜間頻尿などのために睡眠が妨げられやすくなります。夜間の中途覚醒が頻回となり、夜間の睡眠が不足するために日中の昼寝も多くなります%したがって妊娠中はむしろ日中に効率よく昼寝をすることが大事です。

妊娠女性群と非妊娠女性群の夜間と日中の睡眠時間の比較

妊娠女性群と非妊娠女性群の夜間と日中の睡眠時間の比較


 
妊娠末期は、母体の組織が肥大した結果、基礎代謝が完遂し、睡眠が影響を受けます。エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン、コルチゾールなど内分泌環境の変化による影響は大きいと思われます。出産間近になると、妊婦の睡眠はとぎれがちになります。睡眠時間も少なくなります。そして出産前後は不眠に悩むことになります。
2.産褥期・産後
産有期には内分泌環境に激変が起こります。先に述べたホルモンは出産を境に急速に血中濃度が低下します。一時的に急に更年期障害がきたようなもので、自律神経が不安定になったりします。さらに出産後は赤ちゃんの世話や授乳で頻回に夜間の睡眠が妨げられます。でも初産と2人目以降ではちょっと様子が異なるようです。
典型的な経産婦Aと初産婦Bの睡眠・覚醒の記録

典型的な経産婦Aと初産婦Bの睡眠・覚醒の記録


さらに産後3〜6日ごろに、はっきりした理由もなく泣いたり、軽い抑うつ状態、気分の移ろいやすさ、不眠、不安などマタニティー・ブルーズがみられることがありますが、症状は1〜2日間で自然に消失しますへ厚生省心身障害研究所がSteinの自己記入式質問票で行った結果によると、わが国の約23%、欧米では50〜80%の産婦にみられるとされ、報告により差があります。産褥期のプロゲステロンの急激な減少との関連性が指摘されています口。妊娠後期における睡眠障害が産褥期のマタニティー・ブルーズを引き起こしやすいとの指摘がありますので、妊娠中からの良好な睡眠環境への留意が必要です。出産後は夜間の授乳、育児への不安、身体的疲労や苦痛も強いので、周囲のサポートが重要であることはいうまでもありません。
閉経が睡眠障害の原因となりますか? なるとすればなぜでしょう?
女性の更年期障害を有する人の測合、不眠は40〜77%と高率にみられます。夜間帯の顔面紅潮が、申述覚醒の原因の1つとして密接に関係しているようです。
わが国における閉経年齢は平均50.5歳とされています。卵巣機能が衰退し始めてから完全に停止する50歳前後のおよそ10年間は更年期と呼ばれ、老年期への移行期に当たります。男性では65歳ごろより不眠が出現するようになりますが、女性ではすでに40歳半ばごろより不眠を訴えるようになります。この時期にちょうど女性は更年期を迎え不
眠の発現時期と重なります。さらに更年後期の女性に不眠が強いこと、また不眠は男性に比べ女性では1.5倍の頻度で認められるなどの事実より、女性の睡眠障害が加齢のみで説明できるとは思われません。閉経は加齢に伴う卵巣機能の衰退による女性ホルモンのバランス変化により訪れます。エストロゲンの急激な減少により出現する更年期障害の症状は、顔面紅潮(ホットフラッシユ:hot nush)、のぼせ、発汗などの自律神経症状をはじめとして頭痛、肩こりなどの身体症状から、不眠、ゆううつ、いらいらなど精神心理的な症状まで様々です。更年期の健康女性では12.4%が不眠を自覚しているのに対して、更年期障害患者さんでは37.8〜70%もの高率で不眠であるというのはどんな原因によるのでしょうか(図)。
更年期女性の不眠と症状を理解するために

更年期女性の不眠と症状を理解するために


 
不眠をもう少し詳しくみると「人眠障害」、「中途覚醒」が中心のようです。顔面紅潮は更年期症状のなかで頻度が高い訴えの1つですが、症状は突発的に起こり胸から首、顔へと拡がり、平均3分間発汗や心臓のドキドキを伴うことになります。夜間睡眠中に起こると、目が覚めてしまい睡眠障害を引き起こすことがあります。夜間帯では顔面紅潮発症の前後5分以内に中途覚醒することが多く、不眠と顔面紅潮には密接な関係があることが示唆されています。さらに更年期の不眠を考えるときには、更年期症状のもう1つの側面である精神心理面よりのアプローチも必要です。閉経による女性性の喪失、不安、ゆううつなどの心理的ストレスと、職場や家庭におけるこの年代ならではの問題を抱えていることも不眠の出現となります。
不眠に対する治療として、ホルモン補充療法(HRT)や、睡眠薬を適宜用いることも必要となる場合があります。長期にわたっての治療となった場合、最近漢方薬を用いた療法が更年期障害の諸症状に有効であるとの報告もされていますので参考にする価値があると考えます。

食べ物・入浴と睡眠

睡眠をよくしたり悪くしたりする特定の食べ物、飲み物がありますか?
お酒は飲み応次第で、睡眠をよくも悪くもします。カフェインは睡眠を悪くします。タンハク質、カルシウム、ビタミンB12が豊富な良品は睡眠によい影響があります。
睡眠は生理現象なので自然に起こってくるもののように思ってしまいがちですが、ヒトの体は様々な環境の影響を受けていますから、睡眠もまた食べ物や飲み物で影響を受けるものです。
身近なもので最も睡眠に影響があり、また誤解も多いものの代表はアルコールでしょう。お酒はその使い方次第で、睡眠に対しよい影響もありますし、逆に悪い影響をもたらすこともあります。よい使い方とは、毎日は飲まないこと、ほろ酔い程度に留めること、睡眠前のリラックスした状態を得ることに重点を置くことです。
悪い影響のあるものの代表は覚醒作用のあるカフエインです。カフエインはお茶やコーヒーに多く含まれていることはどなたもご存じでしょうが、一部のドリンク剤にも含まれていることがありますから、よく成分をたしかめて使うようにして下さい。
さて、お酒ほどではありませんが、食べ物、飲み物のなかには快眠をもたらすことが知られているものがあります。睡眠に大事な役割を果たしているセロトニンという物質の元になるトリプトファンというアミノ酸は、タンパク質を豊富に含む食品から得られます。タンパク質は、大豆、肉、乳製品にたくさん含まれています。また、カルシウムも精神を安定させ、いらいらをやわらげる効果がありますので、これも多い乳製品は一石二鳥の優れた食品といえるでしょう。寝る前のホットミルクがよいという方が多いのもうなずけます。ビタミンB12はセロトニンを作るときに大事な栄養素ですので、これを多く含む食品も快眠食品といえるでしょう。やはり、大豆から作られた食品(納豆など)、魚貝類、レバー、乳製品、卵などがその代表です。
このほか、精神を安定させ、睡眠を改善させるものにハーブ製品があります。
グレープフルーツジュースにより、睡眠薬のなかにはその分解が抑えられるものがあり、一緒に服用すると薬の効果が強まる場合があります。睡眠薬をお飲みの方は医師や薬剤師によく相談して下さい。
入浴が安眠を促すというのは本当ですか?
ぬるめの入浴は睡眠を促進することがわかってきました。
特に、就床前1時間くらいに30分以内というところが最も効果的と考えられています。
日本では、外国に比べて比較的長く湯につかる傾向があります。熱い湯を好む人もいれば、ぬるめの湯につかるのを好む人もいますが、諸外国と比べると熱めの風呂を好む人が多いようです。 40℃以下のぬるめの入浴が睡眠に効果的に働くことが分かっています。効果としては、第1に温熱効果、すなわち皮膚の血管が拡張し、血行促進、体温調節への影響から睡眠に働くというものです。第2に水浴効果、すなわち、筋肉のリラックス、首や腰への負担が軽減するために睡眠に効果的であるというものです。第3に心理的効果、つまり心身の緊張緩和、汗や汚れによる不快感を取り除くことなどが考えられています。
ヒトの体温は、昼は高く、夜は低くなります。夜間睡眠中は深部体温が日中覚醒時に比べ1℃以上下がります。これは、夜中起きていても0.5℃程度は低くなるため、体内時計の積極的な働きによるものと考えられています。日中、特に午後になると体温が高くなるのは、よく知られていますが、運動をせずじっとしていても夜間より高い深部
体温が保たれます。深部体混が上がれば脳の温度も高くなりますが、だんだんオーバーヒートになってしまいます。眠りの役割の1つは体温を下げ脳の過熱を防ぐことにあります。つまり、睡眠は、脳の冷却装置として働くわけです。運動で疲れると眠くなるのは、運動により上昇した体温に対して、脳のオーバーヒートを防ぐためとも考えられます。ぬるめの湯に入浴することによって深部体温が適度に上がれば脳の温度が高くなり、冷却装置が始動して睡眠、特に深い睡眠が誘発されることになるという考え方です。ただし、あまり熱い湯に入ると身体に負担が大きいだけでなく、交感神経が緊張し、かえって目が覚めてしまうこともあるので注意が必要です。
寝入りばなの1〜2時間の間、通常は深いノンレム睡眠が優勢になります。この時に寝汗をかくことがわかっています。これは身体の深い部分にある熱を体表面から放散し、深部体温を下げ、身体や脳をしっかりと休息させるのに役立っています。入浴によって、体表面まで血流がよくなることは、放散がどんどん促されることを意味します。
子どもが寝入るとき、手足が暖かくなるのは、眠気に先立ってこうした機能が働き始めるからです。適切な温度、適切な長さの入浴は、こうした機能を促進することになります。
湯の温度は40℃以下のややぬるめに感じる温度が適しており、30分以内の心地よい範囲の長さがよいと考えられています。就寝前に熱い42℃以上の風呂に入ると、睡眠の質が低下するばかりでなく、循環器系に大きな負担がかかります。熱い湯から出て冷たい空気にさらされると、体温調節のため交感神経の働きが高まって、血圧を上げたり、かえって目が覚めてしまう恐れもあります。
これまでの研究によると、入浴の時間帯は就寝前60分くらいがよいとされています。このタイミングで40℃以下のぬるめの入浴をすると、深いノンレム睡眠が増加するとの報告もあります。
お年寄りは急に熱い風呂に入ったり、首までつかると心臓に負担がかかるため、ぬるめの半身浴を取り入れることが重要です。浴室内と浴槽内の湯の温度差が大きい場合には、浴室内を暖房するとよいでしょう。

睡眠と環境要因

寝室の環境、温度、湿度、寝具などは睡眠に関係しますか? クーラーはどのように使ったらよいのでしょうか?
心地よい眠りのためには、快適な睡眠環境の整備が必要です。体温が上昇すると眠りが浅くなります。夏には、眠りやすくするために上手なクーラーの使用をおすすめします。
心地よい眠りは、快適な環境によりもたらされます。ここでは安眠できる寝室環境づくりを考えてみます。ご自分の場合と照らし合わせてチェックしてみましょう。
1.寝室
寝室、特にベッドは寝るときだけ使用し、他の目的(テレビ、勉強、軽食など)に使用しないこともよい睡眠に導いてくれる要素です。室温の上昇により体動か増加し眠りが浅くなり、眠っている最中に目を覚まします。室温30℃の条件で睡眠中の脳波をとると、「不安定で眠りに対する充足度も低い」という実験結果があります。一方、室温が低いと、体の表白の血管が縮むために熱が放散せず深部休温の上昇で入眠が妨げられます。また湿度により快適さが変わります。猛暑の場合でもエアコンで除湿しただけで快適さが得られる場合も多いのですが、室内が乾燥しすぎて50%をきると今度は口や喉、鼻などの粘膜の乾燥や痛みの訴えが多くなります。湿度は60〜70%が適切です。特に冬の暖房使用で湿度が低くなりすぎると気道粘膜が弱まり風邪を引きやすくなります。室温は夏は冷え過ぎに注意して26±2℃、冬は16±5℃を目安にして、各々の体調や体感温度にあわせるのが快適な眠りに結びつくでしょう。寝る前の冷暖房機の使用は快適な眠りへの導入として有用です。特にクーラーの使用は蒸し暑い日本の夏には欠かせませんが、風が直接当たらない工夫と、1時間程度で切れるようなタイマーの設定をおすすめします。
2.寝具
室内環境に加え、掛け布団と敷き布団の間の「寝床内気象」の快適さが実際は最もポイントになります。睡眠中は体の熱の産生が減り体温が低くなりやすいので保湿性が必要になります。体温調節のための発汗を見越して寝具には吸湿性が要求されます。日本睡眠科学研究会は、寝床内温度(敷き布団や掛け布団内の温度)は約33℃が、寝床内湿度は50%が最適としています。頭寒足熱の例えのとおり、足元が冷たいと寝つかれないものです。高齢者が冬に電気毛布を一晩中切らずに使用することが多いようですが、老人性皮膚掻痒(そうよう)症や、脱水による脳梗塞などとの関連も心配されます。足元だけのあんかや、寝るときにはスイッチを切ることを励行してください。ヒトは一晩に20回以上も寝返りをうちますので、掛け布団には軽さと、敷き布団には正しい寝姿保持のため適度な弾力性が重要です。まくらは睡眠時に頭と首を支える役割をしているの
で、不適切な高さだと首筋や肩のこりの原因となります。適切なまくらについての実験では、高さ6cmのときに脳波が安定して首の筋肉のこりがとれたとの報告があります。
3.音・照明
完全な静寂はかえって緊張を高めたりすることがあります。年齢を重ねてくると「耳鳴り」や「頭鳴り」を訴える方が増えますが、小さく音楽やラジオをつけておくことにより気にならなくなることがあります。寝室の照明は睡眠のためにメラトニンの生成が抑えられない暗さの方がよいわけですが、高齢者の場合には夜間のトイレの問題がありますので(転倒→骨折→寝たきり!)、50ルクスくらいの光を床にむけて足元を確実にすることが大事です。
不眠対策にハーブ製品を利用している友達がいます。私もギンコバ、カノコソウの根などのハーブ製品を代替薬として使ってみようかと思いますが。
ハーブにはいくつかのタイプがあり、鎮静系のものは不眠に効果がありますので、試みる価値はあります。どの種類や使用法が適しているかは個人差があります。
昨今の健康指向にのって、ハープ製品に対する人気が高まってきています。ハープにはいくつもの種類があり、また使用法も料理や栄養補助食品(サプリメント)、ハーブティーとして摂取するだけでなく、アロマテラピー(芳香療法)という心理療法にも用いられます。
不眠対策として使われることの多い鎮静系のハープには、カモミール、ラベンダー、セージ、マジョラム、ベルガモットなどがあります。効果は人によって異なりますから、いろいろ試して好みのものを見つけるようにして下さい。これらのハープは安心して使用できるので、軽度の不眠傾向がある方は試してみる価値は大いにあるでしょう。しかし、不眠対策は、生活習慣の改善、ストレスの解消など、様々な方法で総合的に行うものですから、これだけで不眠を解消しようとするような極端な考え方に陥らないことが大事でしょう。また、これらの方法では不眠が解決しない場合は、ためらわずに医療機関を受診して下さい。
また、有ylなハーブとして、セント・ジョーンズ・ワート(邦名:西洋オトギリソウ)があります。このハープの効能は、基本的にはうつ状態の改善です。うつ状態の人は不眠を伴うことが多いので、このハープを使用することでうつ状態が改善する結果、不眠も改善するのです。最近の研究では、抗うつ薬と共通した作用があるらしいことがわかってきました。基本的には安全ですが、光過敏症(皮膚炎など)が起こる可能性が指摘されていますし、一部の薬物との併用には注意が必要ですので、何らかのお薬を服用中の方は、このハープを用いてよいか医師や薬剤師にご相談して下さい。

自律訓練法

自律訓練法とは、どういう方法ですか? 不眠症に有効ですか?
自律訓練法はドイツの精神科医であるシュルツが考案した筋弛緩法の1つであり、不眠症を予防あるいは改善できると考えます.夜眠れなくなる最も大きな原因は、ストレスや緊張感です。 日本全国の成人一般住民3,030人を対象とした疫学調査においても、不眠の危険因子としてストレスの.収変性が指摘されています貼ストレスや緊張感、不安などで頭が冴えてしまうと、覚醒から入眠へのスムースな移行が妨げられ不眠となります。試験の前の目によく眠れなかったり、子どもが遠足の前目にはしやいで眠らないのも、ちょうど同じような理由によると考えられます。慢性の不眠症では、今晩眠れるだろうか、あるいは今晩眠れなかったらどうしようといった不安のために頭が冴えてしまい眠りにつけない場合が多いようです。こうした場合、就寝前にリラクゼーションを取り入れることで、不安・緊張などによって起こり得る身体の緊張を抑え、不眠を予防あるいは改善できることがあります。リラクゼーション法として知られているのは、自律訓練法、漸進的筋弛緩法、バイオフィードバック法などがあります。ここでは、自律訓練法について説明します。自律訓練法を含むリラクゼーション法は、あくまで睡眠を阻害する緊張や不安を軽減する方法であり、やみくもに行ってもそれだけ眠れるようになるわけではない点については、よく知っておいてもらいたいと思います。
自律訓練法はドイツの精神科医であるシユルツが考案した筋弛緩法の1つであり、6段階の各項目を一定の順序に従って自分自身に暗示を与えていく自己催眠法です。
自律訓練法の6つの段階
第1段階:腕が重い
第2段階:腕が暖かい
第3段階:心臓が静かに打っている
第4段階:呼吸が楽だ
第5段階:胃のあたりが暖かい
第6段階:額が涼しい
この暗示により心身を緊張状態から弛
緩状態へと誘導するのです。第1段階が終わると第2段階へと進み、順次各段階を修得するための練習をします。不眠症の場合は、第2段階の腕が暖かいを達成した後に、肩から首すじにかけて重い、暖かいと緊張を解く暗示を与えたうえで、眠くなるという暗示を与え、さらに眠りに引き込まれていく暗示を与えていくとかなり効果が現れるといわれています。このとき、「どうしても今夜眠らなくてはいけない」という気持を取り去るような暗示を与えることが重要です。これにより眠りに対するこだわりを解消することで、よい効果が得られることになります。
自律訓練法を行う場所としては、可能な限り外部の騒音が入らない静かな場所を選ぶことが重要です。また身体を圧迫するような衣服は外しておくようにします。姿勢は仰臥(仰向け)姿勢、安楽椅子姿勢、単純椅子姿勢の3種類がありますが、初心者や、寝る前に行う場合は仰臥姿勢がよいとされています。椅子姿勢はスペースをとらないため、乗り物のなかなど様々な場所で訓練が行えるという利点があります。眠る前に行うときは、仰臥姿勢でベッドのうえで行います。自律訓練法は自己催眠法の一種であるので、きちんと習得すれば、いつでも自分1人で行うことができる点でよい方法と考えられます。しかし、はじめから1人で行った場合、段階の達成が得られず、逆に緊張状態に陥ることも多くあります。したがって、自律訓練法を取り入れる場合、最初は専門家の指導を受ける万が習得が早いことが多いようです。そして、ある程度の段階まで達成が得られてから自分1人で行うようにすればいいわけです。不眠が慢性化して、苦痛が強いときに始めてもなかなかうまくいかない場合が多いので、こうした場合は医師の治療を受け不眠がある程度改善してから、予防法として始める方がよいかもしれません。
 
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