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その他の睡眠障害

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その他の睡眠障害

71歳の父はアルツハイマー病にかかっています。夜間に興奮して叫んだり怒鴫ったりします。これはアルツハイマー病によるものでしょうか?よい対策はあるのでしょうか?
アルツハイマー型痴呆では、昼夜逆転、夜間せん妄が生じるといわれています。最近では時間生物学的な観点から運動療法や高照度光照射療法も試みられています。
ご相談の症状からアルツハイマー型痴呆による睡眠障害、あるいは夜間せん妄(一過性の軽度の意識障害)の可能性が考えられます。
睡眠・覚醒リズムは、体内時計により調整され、概日リズムと呼ばれる約25時間の周期をもっています。私たちはその概日リズムを光および社会生活活動によって24時間に合わせています。体内時計は2種類存在するといわれており、①睡眠・覚醒リズムに関与するもの、②体温やメラトニンなどのホルモン分泌の口内リズムに関与するものがあり、①と②がお互いに同調しあっています(内的同調)。この体内時計は加齢とともに変化が生じ、老年期に入ると早寝早起きになります。また、熟眠感が得られなくなり、夜間の中途覚醒の増加がみられ、昼寝もみられるようになるなど、睡眠・覚醒パターンの多相化がみられるようになりますぃ。また①と②の体内時計も同調しに
くくなり、睡眠・覚醒障害を起こしやすくします。
痴呆疾患の1つであるアルツハイマー型痴呆では、このような加齢に伴う変化の他に、脳の器質的障害がみられへ体内時計の概日リズムの調節機構の障害により、不眠、睡眠・覚醒リズムの不規則化による昼夜逆転、夜間せん妄が生じ、夜間に興奮したり、叫んだりといった症状がみられます。またこの他、著しい早朝覚醒や夕方から夜間にかけて失見当識、興奮、徘徊、焦燥や認知機能障害など精神症状が悪化する日没症候群(概日リズムが全体的に前進してしまうことより早朝覚醒や夕方から夜間にかけての覚醒水準が低下する症状)がみられます。
治療法は、薬物療法(睡眠薬、抗精神病薬、抗うつ薬:塩酸トラゾドン、塩酸ミアンセリンなど)が中心でしたが、いずれも効果には限界があります。さらに服用量が次第に増えてしまう傾向もあり、過度の鎮静作用やこれに伴う覚醒水準の低下は、せん妄の悪化、認知機能障害、転倒によるケガや事故の原因になります。このような生体リズムの異常に着目して、昼間の覚醒レベルを上げる目的で運動療法や社会活動への参加、日光が十分に屋内に入るような間取りや屋内の照度を明るくするなどの工夫が必要であると考えられています。最近では、約25時間周期の概日リズムの調節機構の障害に着目し、その回復や同調促進を目的に、高照度光照射療法も試みられています。
なお、夜間せん妄に似た病態にレム睡眠行動障害があります。レム睡眠行動障害はあくまでもレム睡眠の異常であり、異常行動時に覚醒させると行動は速やかに中断し、失見当識、幻覚、睡眠・覚醒障害などはなく、夢と現実を識別でき、夢の内容を再現できます。
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レム睡眠行動障害

65歳の夫は、昼間は普通の人ですが、近頃、夜中から明け方にかけて不快な行動をとるようになりました。私を蹴ったり、殴りかかってきたり、大声で叫んだりします。おそろしい精神病にかかったのでしょうか?
睡眠時随伴症の一種であるレム睡眠行動障害であると思われます。精神病の症状ではなく、夢で体験している言動がそのまま表出されでしまう病態です。
ご主人が夜中に示す異常な行動はレム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder : RBD)によるものでしょう。これは睡眠時随伴症の一種であり、決して精神病や痴呆の症状ではないので、ひとまずご安心下さい。 RBDとは、夢で体験している言動がそのまま表出されてしまう(実際に行われてしまう)病態です。RBDを理解していただくためにまずレム睡眠について簡単に解説します。
ヒトの眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠の質的に界なる2種類の眠りがあります。ノンレム睡眠では、脳波の活動は低下(徐波化)していますが、レム睡眠では脳の活動は覚醒時に近い高い水準にあります。また、眠っているにもかかわらず、急速な眼球運動が現れることが特徴的です。活発で情動的な色彩を帯びる夢はもっぱらレム睡眠の時期に体験されます。したがって、夢のなかでヒトは視覚を中心とする様々な体験をし、それに反応して脳は行動や発語の命令を下すのですが、全身の骨格筋に”ブレーキ”がかかっているのでそれが実際に表出されることはありません。レム睡眠は寝入りばなには現れず、ノンレム睡眠が90分程度現れた陵に初めて出現します。その持続は10分程度です。
その後は約90分の周期でノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返し出現します。レム睡眠の持続は、明け方に近づくにつれ、長くなります。
ご主人にみられる夜間の異常行動は、正常では働くレム睡眠時の骨格筋の“ブレーキ”が故障している状態によるものです。したがって、その行動はご主人が体験している夢の内容そのものです。ですから、異常行動をきたしているときにご主人を起こしますと、直前に体験なさった夢の内容がご主人の異常言動とよく符合していることに奥様は気づかれることと思います。また、RBDはレム睡眠が多く出現する明け方に起こることが特徴的です。目覚めさえすれば、ご主人の言動はただちに普段の状態に戻り、時や場所、状況などについてもきちんと理解しておられる点がよく似た状態であるせん妄(一過性の軽度の意識障害)状態と異なる点です。
RBDはその他に心身の異常のない健康な高齢者にみられることが最
も多く、約60%を占めるとされています(特発性RBD)。特発性RBDの患者さんでは、長期間を経た後パーキンソン病などの神経疾患を発症する人がいることがわかっています。また、女性の倍以上の頻度で男性にみられます。様々な神経疾患(パーキンソン病、脊髄小脳変性症、脳幹部の腫瘍など)や、薬物の副作用(抗コリン薬、抗うつ薬など)、薬物(ベンゾジアゼピン系薬物、ペンタゾシン、覚醒剤など)やアルコール依存症からの離脱期にみられることもあります。
単なる激しい寝言と寝具や寝間着をまさぐる程度の行動であれば、必ずしも薬物療法は必要ではありません。その場合でも原因を確かめるために専門医を受診されることをおすすめします。しかし、激しい行動によって転倒する、家具などに衝突しケガを負う、一緒に寝ている人を傷つけるなどの場合には薬物療法が必要です。また、飲酒やストレスはRBDのきっかけや悪化の原因になるのでご注意下さい。治療にはベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬であるクロナゼパムが用いられ、多くの場合に激しい言動を十分にコントロールすることが可能です。

夢遊病

10歳の息子は寝ついでから45分から1時間くらいで目を覚まします。混乱している様子で、ベッドから出ようとし、ときにはドアの方に歩いていって、居間に向かうこともあります。息子の年齢では夢遊病は病的ではありませんか?
夢遊病の発症は5歳前後にみられることが多く、12歳ごろに発現頻度が最も高くなります。この患者さんの年齢も一般的な夢遊病と考えられます。
息子さんの状態は夢遊病だと思います。夢遊病は睡眠障害国際分類では覚醒障害のなかに分類されている睡眠時遊行症に該当します。発症に性差はなく、発症率は15%前後です。睡眠時遊行症の初期症状は5歳前後にみられることが多く、発現の頻度は12歳ごろが最も多くなります。したがってご質問の年齢の点ですが、息子さんの場合も通常の睡眠時遊行症と大きな違いはないと考えてよいでしょう。なお頻度についてはほとんど毎日起こす場合から、数ケ月に1回程度まで様々です。成人になってからの発症率は約1%とまれです。ご家族のなかに同じような症状を経験された方がいらっしゃることが多いようです。
覚醒障害には睡眠時遊行症のほか、睡眠時驚愕症(夜驚症)と錯乱性覚醒が分類されてます。どれもいわゆる「ねぽけ」の範躊に入ります。睡眠からの覚醒過程に問題があることが原因と考えられてはいますが、詳しいメカニズムについてはまだわかっていません。覚醒障害の特徴は、5つあり(表)、ご質問にあるように覚醒障害が一晩の前半3分の1に多く出現しやすいのは、徐波睡眠がこの時期に出現するためです。
表.覚醒障害の特徴
1.ノンレム睡眠期、特に徐波睡眠期(深い眠り)に発現する。
2.レム睡眠期にはほとんど発現しない。
3.徐波睡眠期に無理に起こすと発作が生じる。
4、遺伝的な要素が強い。
5.小児期に多く、成人では少ない。
最近,睡眠時遊行症を発現中の脳の血流を調べた研究結果が報告されました。その報告によると、①前頭頭頂部の連合皮質の血流低下と、②帯状回と視床の活性化、が観察されました。健康な人では睡眠中には連合皮質の活性が低下(血涙低下)することがわかっていますので、①の所見は健康な人での睡眠中と同様の所見、つまり睡眠時遊行のさなかも睡眠は持続していると考えてよさそうです。 一方、②の所見は健康な人の睡眠中の状態とは異なる所見です。この研究結果に基づいて、帯状回の活性化のされ方や部位の違いが覚醒障害の3種類の症状の違いとなるとの仮説が出されています。
睡眠時遊行症の主症状は徘徊ですが、ベッドのうえに座るだけのものから、トイレと間違えて部屋のすみや押入れで排尿をしたり、取り乱して逃げ惑うものまであります。料理や掃除をすることもありますが、呼びかけなど周囲からの刺激には反応しません。叫び声をあげることはありませんが、窓、ドア、壁やガラス製品でケガをしがちです。症状は通常30分以内(多くは15分以内)に終わります。症状の終了間際の出来事について記憶していることもありますが、通常、症状についての記憶はありません。
症状の発現中に、なだめようとすると逆に興奮してしまうことが多いので、危険(転落、転倒、ガラスなど)に配慮した対策を立てたうえで見守る、という対応が基本となります。診断は上記のような特徴的な臨床症状から比較的容易です。ただしてんかんとの鑑別が必要です。
覚醒障害はどのタイプであっても基本的には自然消失しますので、家族の方も不安とは思いますが、発症頻度が少ない場合には特に治療を要しません。もちろん誘因(各種のストレス、鎮静剤、発熱、環境刺激、興奮、痛みなど)がある場合にはできる限りそれらを取り除く努力が必要です。発症頻度、程度がひどい場合には少量の抗不安薬を一時的に就寝前に使用することもあります。
12歳の娘は普通に眠りにつきますが、だいたい45分から1時間くらいで、うつろな混乱した表情でベツドに起きあがります。それからベツドの上で立ち上がって大きな悲鳴をあげます。手足をバタバタさせることもあります。てんかん発作でしょうか? それとも異常な睡眠障害でしょうか?
睡眠時驚愕(きょうがく)症の多くは5〜7歳で発症します。異常な睡眠障害ではありませんが、年齢や出現時刻の点から睡眠時驚愕症とてんかんとの鑑別が必要でしょう。
ご質問の娘さんは、覚醒障害のなかの睡眠時驚愕症(夜驚症=やきょうしょう)の可能性が高いと思います。睡眠時驚愕症の発症に性差はなく、発症率は15%前後です。最初の症状の発現は5〜7歳に多くみられます。成人になってからの発症率は1%以下とまれです。発現頻度は、ほとんど毎日発現するものから、数ケ月に1回程度まで様々ですが、発症直後の時期が最も多いといわれています。ご家族のなかに同じような症状を経験された方がいらっしゃることが多いようです。
睡眠時驚愕症は叫び声が特徴で、見開いた目、恐怖に引きつる顔、多量の汗、呼吸速拍(速い呼吸)を伴います。恐怖の刺激から逃れようとベッドから逃げ出そうとする場合もあります。覚醒した場合には錯乱し、また動悸や息苦しさもしばしば訴えます。通常、睡眠の前半3分の1に生じ、10分以内(多くは5分以内)に終わります。 30秒程度のこともあります。症状の発現中の記憶はない場合がほとんどですが、静止画像的な記憶を報告する場合もあります。なお睡眠時驚愕症は昼寝のときにも発現します。
睡眠時驚愕症と睡眠時遊行症はてんかんとの鑑別が重要です(表)。

鑑別診断の要点

鑑別診断の要点


ご質問の娘さんの場合は典型的な睡眠時驚愕症の場合より多少年齢が高い点が気にかかります。もし「ねぼけ」が一晩に何回も起きる場合には側頭葉てんかんや前頭葉てんかんの複雑部分発作を強く疑わせます。前頭葉てんかんの発作には極めて演技的な印象を受ける場合もあり、解離性障害(ヒステリー)との鑑別に苦慮することもあります。
そのため、睡眠時驚愕症とてんかん、解離性障害の鑑別には脳波記録が必要となります。鑑別が難しい場合にはできる限りてんかん発作時脳波を記録する努力を続けることが大切です。しかし日中の検査ではてんかん発作時脳波を記録できないことがあります。睡眠ポリグラフ検査を行うと夜間のてんかんを記録する確率が高くなります。覚醒障害の睡眠ポリグラフ所見としては症状が徐波睡眠期(深い眠り)から生じることが特徴です。睡眠時遊行症や睡眠時驚愕症の患者さんは症状を示さなかった場合でも徐波睡眠期から直接覚醒となる頻度が高いといわれています。睡眠時遊行症も睡眠時驚愕症も、自宅では連日、症状を呈しても、検査室では緊張のためかその症状が生じにくいということはしばしば経験します。しかし、てんかん発作の場合には検査室でも発作が生じることが期待されます。
なお閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんでも睡眠時驚愕症に似た錯乱状態を示すことがあります。この場合、覚醒障害と誤って診断して薬物治療を開始すると症状が悪化する場合があるので注意が必要です。睡眠ポリグラフ検査で呼吸状態も確認することで鑑別ができると思います。

躯幹左右回転型の律動性運動障害

1歳の息子のことで心配しています。眠りながら頭を振ったり体を揺らしたりするのですが、病気でしょうか?
典型的な頭または躯幹(くかん)左右回転型の律動(りつどう)性運動障害です。病的状態というよりは、正常の生理学的機構が変調した状態とみなされています。
ご質問の男の子は、睡眠障害国際分類(ICSD)で睡眠覚醒移行障害に分類されている律動性運動障害に当てはまると思います。睡眠覚醒移行障害には、他に睡眠時ひきつけ、寝言、夜間下肢こむらがえりが分類されていますが、通常、睡眠時の症状以外は全く異常が認められない人に発症するため、これらは「病的状態というよりは、正常の生理学的機構が変調した状態とみなされて」います。
律動性運動障害とは、うとうと状態あるいは睡眠中に起こるリズミックな体の動きのことで、4つのタイプがあります(表)。
律動性運動障害の典型的な4つのタイプ
頭打ち型=頭を前後方向へ激し<振る
頭左右回転型=仰向けで頭を左右に振る
躯幹前後振り型=手あるいは膝で四つ這い位をとり、躯幹を前後に振る
躯幹左右回転型=仰向けで躯幹を左右に回転させる
ご質問の男の子は、頭あるいは躯幹の左右回転型のようです。リズムの周期は1秒間に0.5〜2回、持続時間にはばらつきがありますが、最大15分程度といわれています。4:1で男性に多く、時に家族発症例もあります。
睡眠ポリグラフ記録で検討した2例の律動運動の周期は、頭打ち型の13歳女児で1秒間に1.6回、頭左右回転型の9歳男児で1回でした。律動性運動はまとまって出現し、頭打ち型で一晩に7回、頭左右回転型で一晩に16回まとまって出現し、その平均持続時間はそれぞれ26.9秒(最短・最長範囲2〜93秒)と18.0秒(2〜92秒)でした。
2例はともに年長でしたが、典型的には2歳までに発症します。また、2例の発症年齢は生後1年(頭打ち型)と生後27日(頭左右回転型)でしたが、発症年齢の平均は躯幹前後振り型が6ケ月、頭打ち型が9ケ月、頭左右回転型が10ケ月といわれています。9ケ月に乳児の3分の2には何らかの異常運動がみられ、この比率は18ケ月で50%以下、4歳で8%になるという報告もあります。4歳以降に持続することは少ないのですが、症状が程度および持続時間を減らしながら成人年齢に至ることもあります。成人以降の発症はまれです。
運動の型が極めて典型的であることが多いので、診断上苦慮することは少ないのですが、てんかんとの鑑別が必要となることがあります。そのため異常運動時の脳波記録が鑑別には大切です。頭打ち型では頭を寝具や壁に打ちつけるので硬膜下血腫、網膜点状出血などに注意が必要です。保護帽の着用やベッド柵への保護パット使用などの対策が必要となります。
律動性運動障害は睡眠覚醒移行障害に分類されてはいますが、睡眠前のうとうと状態や、浅いノンレム睡眠以外にも、徐波睡眠期(深い眠り)や、レム睡眠期にのみ異常運動を認めることもあります。異常運動が年長兄になっても続く場合、精神遅滞、その他の精神障害を併発していることがあるといわれています。しかし睡眠ポリグラフ記録のあるこれまでの報告例33例をまとめてみた限りでは、7歳以降も異常運動があった30例中精神遅滞あるいは精神障害を有している例は6例のみでした。また最近、律動性運動障害を注意欠陥多動性障害(ADHD)の患者さんで認めたという報告がなされましたらまだまだわかっていないことはたくさんあります。
夢遊病状態のとき、暴力を振るったり、他人に傷害を与えたりすることもありますか?
夢遊病状態の方を覚醒させようとして暴力的な攻撃を受けることもあります。症状の発現中に殺人や自殺をすることもまれに報告されています。
明らかな睡眠時遊行症(夢遊病)の症状の発現中に殺人や自殺をすることもまれに報告されています。患者さんを覚醒させようとした人が、暴力的な攻撃を受けることもあります。症状の発現中には強制的に覚醒させることは避け、優しく部屋に戻すことが大切です。
忠者さんには畳の部屋に寝かせる、2段ベッドなら下の段で寝かせるなど寝室の工夫が必要です。症状の発現中に家具、ガラス製品、階段などでケガをすることもあります。また屋外に出ることもあり、その場合、交通量の多い通りや河川など危険な場所へ行ったりすることもあります。
そのためガラス製品の除去、玄関、ベランダの施錠などにも注意が必要な場合があります。遂に対処に苦慮した家族などにより、症状を中断させる目的で患者さんが暴行を受けている場合があります。
また、集団での外泊を制限するような指示が、発達段階にある患者さんの心的外傷経験となる可能性もあるので注意が必要です。
睡眠時遊行症に似た症状にレム睡眠行動障害があります。
通常、レム睡眠時に抑えられるはずの筋肉の緊張が抑えられないことが原因で、夢の内容と関連した複雑な行動を起こしてしまう病気です。激しい寝言や、殴る、蹴る、飛び跳ねる、ベッドから走り出したりと、激しい行動が出現することがしばしばあります。家具などに衝突して自らケガをしたり、また一緒に寝ている人に乱暴をしてケガを負わせることもあります。通常、症状の発現中の内容は、症状の発現直後に報告された夢の内容と関連していますので、睡眠時遊行症との区別は可能です。しかし行動だけでは区別が困難な場合もあります。
ただし、睡眠時遊行症は成人になってからの発症はまれですし、レム睡眠行動障害の発症年齢は大部分が中年以降です。

歯ぎしり

15歳になる娘が夜中に歯ぎしりするのですが、これは異常でしょうか?
歯ぎしりは2歳ころより増加し、小学生の頃には10〜20%、両年賜には15〜16%にみられる頻度の高い症状です。歯ぎしりだけで異常という必要はありません。
睡眠中に起こる歯ぎしりは、睡眠時随伴症のなかの「その他の睡眠時随伴症」の項目のなかに分類されています。一生のうちに85〜90%の人が多少の歯ぎしりはするといわれています。正常な乳幼児の50%以上で認め、乳歯列が完成する2歳ごろより増加し、小学生のころには10〜20%、青年期には15〜16%にみられます。医学的に問題となる歯ぎしりの頻度は5%といわれ、比較的頻度の高い睡眠時随伴症といえます。ご質問は15歳の娘さんの歯ぎしりですが、この点だけを取り上げて異常という必要はないと思います。ただし残念ながら歯ぎしりの自然経過となると、ほとんど知られていません。
定義は、「再発的あるいは習慣的な臼磨(きゅうま)運動、噛みしめおよび上下の歯を接触させる非機能的かつ無意識的な顎(がく)運動」となります。歯ぎしりは3種類に分類され、臼磨運動と呼ばれる歯と歯を強くすりあわせる運動で「キリキリ」という音がするもの、上下の歯を連続して噛み合わせる「カチカチ」という音が出るもの、上下の歯を強く噛みしめるだけで音は出ないものに分けられます。平均の持続時間は7〜10秒、1時間あたり4〜5回程度生じることが多いようですが、5分以上持続する歯ぎしりも記録されているようです1)。
症状には歯の磨耗、歯周組織の損傷、口腔粘膜の外見的な窪みの他、顎関節症(がくかんせつしょう)、咀嚼(そしゃく)筋の緊張や痛み、さらには肩こりゃ偏頭痛をきたすこともあります。医療機関受診のきっかけは多くの場合、一緒に寝ている人による指摘ですが、起床時に咀喘筋や顎関節、歯の痛みや不快感を自覚している場合もあります。また、歯の摩耗などから歯科医師により指摘されることもあります。
通常、上下の歯が接触している時間は1日のうちで10〜15分程度といわれていますが、歯ぎしりの患者さんでは、8時間の睡眠中だけでも約40分も歯を噛みしめていたという報告があります。歯ぎしりは特定の睡眠段階で起きるわけではないようですが、歯ぎしりの後には睡眠段階は浅くなることが多いようです。
6ケ月以上の観察で、日常生活のなかで精神的ストレスが強く加わった日には歯ぎしりの増加を認めている報告があります。ストレスが原因と考えられる場合には心理療法が行われます。
また、歯科的には噛み合わせの問題が歯ぎしりの原因の1つと考えられています。具体的には早期接触(閉口時、すべての歯が同時に接触して安定した噛み合わせが得られる前に、一部の歯だけが接触すること)や、歯に過剰な詰めものをした際に正常な顎運動パターンから下顎を偏位させるような動き(咬頭干渉=こうとうかんしょう)が生じると歯ぎしりが誘発されると報告されています。歯科的な原因が考えられる場合には咬合(こうごう)調整や口腔内装具による治療が必要な場合もあります。校合調整とは、早期接触を改善することを目的に、早期接触する歯をエナメル質の範囲内で削り、歯根膜受容器からの異常な感覚情報を除去することで歯ぎしりの解消をはかります。また口腔内装具も早期接触改善の目的で使用されます。口腔内装具にはナイトガードやバイトプレーンがあり、通常、アクリル系の合成樹脂で作成され、咬合面を覆います。ただし
口腔内装具を長期的に使用していると、装具使用下でも歯ぎしりが行われ始めることも知られています。残念ながら確実な長期的歯ぎしり抑制法は現時点では見当たらないといえます。

入眠時痙攣

22歳の男性。大きなストレスにさらされた日の夜に特に多いのですが、眠りかけたときに、突然足がピクッとなって、倒れそうな感じがします。夜間心臓発作か、重症の神経の病気ではないかと心配です。
寝入りばなに起こる足のひきつけは、睡眠時ひきつけと呼ばれ、病的な症状ではありませんので特に治療の必要はありません。
寝入りばなに限定してみられる足のひきつけは、睡眠時ひきつけで、睡眠時筋攣縮(れんしゅく)、入眠時筋攣縮とも呼ばれ、心臓発作や重症の神経疾患とは無関係の良性の現象です。軽いもの、滅多に起こらないものを含めますと、その有病率は60〜70%にも達し、決して病的とはいえないものです。
このひきつけは、寝人りばなにのみ起こり、片足に限局することが多いのですが、まれに両足や腕、顔面に及ぶこともあります。本人が目覚めなければ覚えていることはありませんが、このひきつけの程度が激しいと、目覚めをもたらします。「高いところから落下する」「胸のところに電気ショックのような感覚が起こる」「体のなかを熱いものが流れる」といった短い“夢”様の体験を伴うことがよくあります。
男女差はみられず、どの年齢にも起こります。無害なものですが、時に足をベッド構にぶつけてケガを負ったり、一緒に寝ている人を蹴飛ばすことがあります。
カフエインの過剰摂取、肉体疲労、精神的ストレスはこのひきつけを誘発したり、頻度を増やします。
むずむず脚症候群と合併することの多い周期性四肢運動障害はひきつけ様運動が入眠期のみに限定せず、どの睡眠段階でも繰り返し起こることで睡眠時ひきつけから区別されます。てんかんとは脳波が正常であることと、ひきつけが寝入りばなに限局することで区別されます。
無害なものですので、治療は必要ありません。

麻痺・寝言

入眠時や覚醒時に、胴体の片側、片腕、片足だけが動かなくなります。この症状はほんの数分で消えますが、とても心配です。神経の病気の不吉な前兆ではないでしょうか?
ほんの数分、片側の手足と胴体が勤かなくなるのは、脳への曲流が一時的に低下しているためだと思われます。速やかに脳外科や神経内科を受診されることをおすすめします。
片側の手足と胴体が動かなくなるのは反対側の大脳から発する運動の命令系統が正常に作動していないことを意味します(片麻痺)。片麻痺が一過性に起こる場合には一過性脳虚血発作(transient ischemic attack ; TIA)の可能性が高いと考えられます。TLAは、脳への血涙が一時的に著しく低下することにより生じる現象で、内頚動脈やその他の脳へ栄養を供給する大きな血管に動脈硬化性病変による血栓(血のかたまり)があるか、心臓のなかに血栓がある場合に起こることが一般的です。
何かの拍子にこの血栓の一部がはがれると、血栓が血流により脳の血管へと運ばれ、そこの血管を詰まらせてしまうことで末梢の脳部位に血涙が届かなくなります。運動の命令系統に属する脳部位への血流が途絶えると、ご質問にあるような血流がとぎれた側と反対側の片麻痺が起こります。血栓が自然に融けて血流が再開すると、片麻痺も消失します。しかし、血流の再開までに時間がかかるとその血流で栄養を供給されている脳部位が酸素不足のために死んでしまいます。これが脳梗塞です。つまりTIAは脳梗塞の重大な前触れなのです。したがいまして、ご質問を寄せられた方は速やかに脳外科や神経内科を受診され、検査と治療を受けられることをおすすめします。
寝入りばなや夜中、明け方に目覚めたときに全身や身体の一部が動かせなくなる現象として「金縛り」があります。これは身体の筋肉に“ブレーキ”が働く眠りであるレム睡眠に関連した現象で、特に若い女性ではしばしばみられます。しかし、この場合の麻痺は左右対称であることが一般的であり、片麻痺ではありません。睡眠不足や不規則な睡眠・覚醒習慣により誘発されることが多い病態であり、無害なものです。時に「誰かが寝室に侵入してくる」といった非常にリアルな幻覚(入眠時幻覚、出眠時幻覚)が同時に起こることがあります。これもレム睡眠に伴う夢と関連した現象です。
はっきりした寝言をいっているといわれますが覚えていません。寝言をいったときのことを覚えているという人もいますが。
寝言の内容を覚えていることは一般的ではありません。寝言をしやべった直後に目覚めた場合には寝言の内容を覚えていることもありえるでしょうが、まれでしょう。
寝言は頻度の高い現象ですが、正確な有病率は不明です。睡眠中のおしゃべりや発声であり、本人には自覚がないことが特徴です。毎[I起こる、あるいは激しい寝言をしゃべるものは比較的に少ないと考えられます。
寝言はノンレム睡眠とレム睡眠のいずれからも起こりますが、ノンレム睡眠から起こる寝言の方が多いとされています。寝言をしゃべっている人を目覚めさせますと、その直前に夢を見ていたとの内省が得られることが多いのですが、その体験内容と寝言は必ずしも一致しているとはいえないとされていますへ
寝言の内容を覚えていることは一般的ではありません。寝言をしゃべった直後に目覚めた場合には寝言の内容を覚えていることもありえるでしょうが、まれでしょう。
感情的ストレスは寝言を誘発したり、悪化させます。睡眠時無呼吸症候群により寝言が誘発される場合があります。よく寝言をしゃべる人では、眠っているときに話しかけると寝言を誘発できる場合もあります。
高齢になって初めてはっきりした寝言をしゃべったり、眠りながら笑う、怒鳴るなどの行動、あるいは、それに伴って手足を動かすようになった場合には、レム睡眠行動障害の可能性があります。
この場合には自らの発した寝言や運動により目覚めることがあり、そのときには直前に見ていた夢を想起できることがあります。この場合には寝言の内容と夢の内容がよく符合することが一般的です。
寝言とは異なる現象ですが小児では夜中に突然、血も凍るような激しい叫び声をあげて起き上がることがあります。同時に強い恐怖の表情を浮かべ、頻脈、呼吸促迫(迷い呼吸)、発汗を伴います。これは夜驚症と呼ばれる現象であり、深い眠りからの目覚めの過程で起こる現象です。4〜12歳の小児の3%にみられますが、成長とともに
自然に治癒します。特定の情緒的問題や精神・身体疾患との関係はありません。若年成人にも頻度は少ないものの、起こることがあります。通常、鮮明な夢の体験を伴うことはありません。放置すると再び何事もなかったように眠りますが、無理矢理起こそうとすると暴れたり、かえって興奮することが多いのも特徴的です。

ミオクローヌス

夜中にひどい足の痙攣(けいれん)が起きて目が覚めます。どうすればよいでしょう?
夜間下肢こむらがえりと呼ばれる症状だと思われます。痛む部分をマッサーシする、暖める、勤かすことによっで改善します。
俗にいうこむらがえりで、夜間下肢こむらがえり(nocturnalleg cramps)と呼ばれる症状です‰主にふくらはぎに起こる痛みを伴う筋肉のこわばりで、そのために目覚めてしまう現象です。持続は数秒から数分のことが一般的です。
痛む部分をマッサージする、暖める、動かすことによって改善します。
健康な成人の17%程度にみられ、加齢とともにその有病率は高まります。小児にも比較的よくみられる症状です。妊娠、糖尿病、パーキンソン病、ホルモンや電解質(カルシウムなど)の異常をもつ患者さんにはより高い頻度でみられます。
一晩に数回、この症状が起こる人では寝不足の原因にもなります。正確な原因はわかっていませんが、危険なものではありません。症状はよくなったり、悪くなったりを繰り返しながら、長年続くことが多いようです。
なお、ビタミンEが有効との報告があります。マラリアの治療薬であるキニーネが有効ですが、副作用が多いのでおすすめできません。
過激な運動は症状を誘発しますので、さけてください。
中年や高齢になると睡眠パターンはかわりますか?
40歳代から徐々に不眠の程度が強くなります。年をとると早辺早起きになり、女性の方が不眠率は高いようです。
睡眠パターンは多相性となり、昼寝が増加します。
年をとると早寝早起きとなり、全体として睡眠は1日の早い時間帯に移動します。不眠の頻度は加齢とともに増加し、平均27.2%、4人に1人が不眠に悩んでいます。20歳前後と中年期で男性の不眠率が女性を超えていますが、その他は女性の方が高い不眠率です(平均男性26.3%、女性28.5%)。不眠が1ケ月以上にわたって続いている人が約12%という報告もあります。40歳代から浅い眠りが増え深い眠りが減り、50歳の半ば以降に不眠の程度が強くなるようです。不眠は加齢とともに増加し、私たちの調査によると、施設や病院にいる90歳以上の超高齢者では実に不眠が62%とさらに高率に認められました。
睡眠の加齢変化は、脳の老化に加えてライフスタイル、心理的ストレス、身体機能、病気などの影響を受けますが、年をとれば色々な面で個人差が大きくなりますので「睡眠」の個体差も明らかになります。睡眠パターンは、新生児ではミルクを飲んではまた眠る、6、7歳ごろまではお昼寝もするという多相性睡眠パターンですが、10歳以降は夜の睡眠のみの単相性パターンヘと変化し、生理的要素のみでなく個人のライフスタイルに大きく左右されるようになります。そして老年期になると昼間の居眠りがみられるようになり、再び多相性の睡眠パターンを呈します。90歳以上の超高齢者では居眠りの頻度も増加し、睡眠パターンの赤ちゃん帰りがみられます↓

新生児から超高齢者までの睡眠・覚醒リズムの変化

新生児から超高齢者までの睡眠・覚醒リズムの変化


 
不眠のタイプとして最も多いのが入眠障害で、このタイプは20歳代に多く加齢とともに頻度は減少しますが、65歳以上で再び寝つきが悪くなってきます。熟眠障害も若い年代に多いようです。中途覚醒や早朝覚醒は加齢とともに増加傾向を示し、特に65歳以上になると夜中にちょいちょい目を覚ますことが多いようです↓
年代ごとにみた不眠のタイプとその割合

年代ごとにみた不眠のタイプとその割合


昼寝の時間が増加して、総睡眠時間は7〜8時間と決して短くはありません。
加齢による夜間の睡眠の変化に間する多くの研究による共通した所見として、①寝つくまでに時間がかかる、②ベッドに入っている時間のうち実際に眠っている時間の割合が減少する、③眠りが浅くなり深い眠りが減少するなど睡眠の質の低下と、④レム睡眠が減少する、などがあげられます。加齢とともに睡眠の生理的変化に加えて、社会的背量を抱えた個人差が明らかになります。

老人の睡眠障害

老人の睡眠障害にはどんなものがありますか?
高齢になると身体的、心理的原因が関与し、4〜5人に1人が不眠を訴えるようになります。寝つくまでに時間かかかり、眠りは浅く、熟眠感が少なく睡眠の読が低下します。
睡眠障害の発生率は加齢に伴って増加し、高齢者では4〜5人に1人が不眠を訴えます。
加齢による夜間睡眠の変化に関してこれまでの報告で共通していることは、寝つくまでに時間がかかり、全体的に眠りが浅くなり熟睡しにくく、レム睡眠が減少する、すなわち睡眠の質が下するという結果です(図)。

全睡眠時間に対する各睡眠段階出現率の年齢による推移(男性)

全睡眠時間に対する各睡眠段階出現率の年齢による推移(男性)


 
最も多いのは精神生理性不眠症ですが、2次的な不眠が増えるのもこの年代の特徴です。これについては、特に高齢者特有の心の様子や身体の病気などに注意を払う必要があります。
高齢者はいろいろな喪失を体験します。退職という社会的役割からの引退、配偶者との死別は最も大きな喪失でありストレスとなります。喪失体験とともに、ライフスタイルの変化から睡眠習慣にも変化がもたらされます。睡眠障害に対しては、精神心理的カウンセリングの重要性とともに日中の散歩や人との接触を重視した社会活動への参加の促進や、生活リズムの調整が重要です。
また、うつ病への配慮も大事です。初老期うつ病では早朝覚醒が診断上大事なことが多く、精神科受診がすすめられます。身体面での疾忠の増加や、それらの合併が不眠の原因となり得ます。特に痛み、呼吸器系、泌尿器系、痴呆などの疾患が不眠と関連してきます。不眠の原囚となる薬剤もあります。高齢者の睡眠障害に比較的特有のものに①睡眠中に周期的に10〜100秒くらい無呼吸が持続する睡眠時無呼吸症候群があります。
高齢者では重症のものは少ないのですが、高血圧、心疾患、脳梗塞などがあれば出現頻度が高くなります。血液中の酸素飽和状態が低下して、それが中途覚醒の原因になることがあります。②入眠時に下肢の筋肉に繰り返し攣縮(れんしゅく)が起こる睡眠時周期性四肢運動障害(睡眠時ミオクローヌス症候群)や、寝ようとしてベッドに入ると異常な感覚が生じて寝つけないむずむず脚症候群もみられます。
病院や施設、合計6ケ所における90〜107歳(平均94歳)の超高齢者55名の方の睡眠についての実態調査にて、63%に睡眠障害が認められ、不眠のタイプは中途覚醒が最も多く62%、ついで人民障害44%、早朝覚醒25%でした。昼寝は60%に認め、体力の低下や入院をきっかけとしたライフスタイルの変化などがその原囚としてあげられ、脳血管障害などのために自立度が低い人には、さらに不眠は多く認められました。
昼寝の効用がいわれますが、平均73歳の在宅高齢者124名への調査によると、47%の高齢者が30〜60分の昼寝をし、昼寝をする高齢者の83%は、昼寝は夜の不眠に結びつかずむしろ体力の低下を補い午後の活動性は高まると述べていました。午後1〜3時ごろに30分程度の昼寝を上手に利用することにより睡眠・覚醒リズムの改善がもたらされ、作業能率も向上して質のよい睡眠獲得に結びつくと考えられます。
年をとるにつれ、脳や様々な器官の細胞がどんどん衰えできます。脳が睡眠を司るなら、高齢になっても睡眠欲求が衰えないのはなぜでしょうか?
中高年前期に入るとともに、睡眠の量と質の低下が目立ってくるため、眠りに対する欲求不満がおおいに高まります。
これが高齢になっても睡眠欲求が衰えない原因でしょう。
この問題はすこし複雑です。まず、生理的な加齢変化の問題と心理的な主観評価の問題とを分けて考えてみましょう。
生理的にみると、中高年齢期に入るとともに、睡眠の量と質の低下が目立ってきます。つまり、次のような変化が起こります。1日の休息期と活動期の配分を司る体内時計の針が進んで、早寝早起きになってきます。また、口中に長時間連続して覚醒し続けることが難しくなりますから、昼寝や居眠りをしやすくなります。これには、社会の時間割りからの拘束が緩むことも関係しています。同様に、夜間に長時間連続して眠り続けることが難しくなり、中途覚醒が増えて眠りが途切れやすくなります。これには、排尿が頻繁になることも関係しています。また、すぐには寝つきにくくなり、ベッドのなかでいらいらする傾向が増えてきます。寝ついても浅い眠りばかりで、段階3〜4の深いノンレム睡眠すなわち熟睡が劇的に減ってしまいます(図)。
各年代の女性の代表的な睡眠経過

各年代の女性の代表的な睡眠経過


こうした加齢変化は、睡眠の必要性が低下したというよりも、睡眠を司る脳の性能が悪くなったためだとみなされます。つまり、高齢化とともに脳のつくりだす睡眠管理機能が低下し、良質の眠りを誘発しにくくなるのです。それゆえ、様々な睡眠障害が増えます。ですから、「高齢になっても睡眠欲求が衰えない」というのは生理的には正しくありません。
一方、心理的にみるとどうでしょうか。高齢になっても、若いころにぐっすり眠っていい気分になったという体験が「よい睡眠、あるべき睡眠」の基準になっているのではないでしょうか。それがいつまでも忘れられず、高齢であっても当然実現すべきものだと信じているのではないでしょうか。そのために、寝つきが悪かったり、夜中にしょっちゆう目が覚めたり、早朝に目覚めてしまったり、昼間に耐えがたく眠かったりすると、おおいに不満を覚えるのです。これが自分の年齢にふさわしい眠りだというふうには納得できないわけです。年をとると脳や様々な器官の細胞がどんどん衰え、眠りもそれに伴って変わってくることが、まだ十分に理解されていないからです。
そんなことから、若いころに味わった快眠へのノスタルジアを加齢とともに募らせる人が増えてきます。これが、高齢者の眠りに対する欲求不満をおおいに高める結果につながります。「高齢になっても睡眠欲求が衰えない」のは、いいかえれば、睡眠に対する主観的な満足感がないことが基本的な原因ではないでしょうか。つまり、ないものねだりが背景にあるわけです。
けれども、年齢とともに睡眠が質も量も衰えるという現象は一般に避けられないことですから、この加齢変化を「自然な成りゆき」と素直に受け入れるほうが、「心身の悲劇」と解釈してむなしく回復をはかろうと苦慮するよりも、ずっと幸せな人生観といえるでしょう。

時差ボケ

日本から海外へ、そしてまた日本へと飛行機で移動すると、その後しばらく気分がすぐれないのはなぜでしょう?
時差症状は、出発地の時間のままである体内時計と、到着泊の生活時間とのずれが生じることで起こります。
5時間以上の時差のある地域をジエット機で急激に移動したときに、時差症状(時間帝城変化症候群:jetlag)が生じることは、多くの旅行者の経験や研究から明らかにされています。時差症状は、体内時計と現地の生活時計にずれが生じることが大きな原因です(外的脱同調)。さらにずれた各種体内リズムが現地の生活時間に同調する過程で、各体内リズムの再同調スピードが異なるため、再同調過程でリズム間の協調性が乱れること(内的脱同調)も原囚の1つです。また時計のずれ以外にも、飛行中の睡眠不足や機内の低酸素、低気圧といった特殊環境や疲労の蓄積も、時差症状の発現に関与していると考えられています。
私たちは、257名の開票線航空乗務員を対象とした時差症状についての実態調査を行いました↓
航空乗務員における時差症状群の発生状況
(257名)
順位    時差症状   人数 %
1 睡眠障害      97 67.3
2 日中の眠気     43 16.7
3 精神作業能力低下   37 14.4
4 疲労感       27 10.5
5 食欲低下      26 10.1
6 ぼんやりする     24 9.3
7 頭重感       15 5.8
8 胃腸障害      11 4.3
9 眼の疲れ      6 2.3
その他(覚醒困難・はきけ・いらいらなど) 8 3.1
時差症状があると答えた人数は、227名(88.3%)で、その内訳は、1位が睡眠障害67.3%、2位が日中の眠気16.7%の順であり、両者をあわせた睡眠・覚醒障害は84%に達し、時差ボケの最も重要な症状でした。次に多いものが、精神作業能力低下、疲労感、食欲低下、ぼんやりする、頭重感、目の疲れであり、精神症状にとどまらず身体症状も認められます。
時差症状の程度は、飛行方向や年齢、性格、到着地における明暗にも影響を受けますが、特に飛行方向の違いが最も大きな要囚です。

飛行方向と睡眠障害

飛行方向と睡眠障害


上の図は、東京から西方飛行後のコペンハーゲンと東方飛行後のサンフランシスコにおける睡眠・覚醒リズムを示したものです。目的地到着時点では時計は出発地における時刻を維持しているため、コペンハーゲン行きの場合、到前途の夜は東京における早朝に相当し、徹夜したあとの早朝に寝ることとなって、入眠も良好で継続的な睡眠を得られます。一方サンフランシスコ行きの場合は、到着地での夜は、東京における午後から夕方の時刻に相当し、したがって入眠が困難かつ、睡眠の持続も不良です。
近年の睡眠研究の結果、ヒトの時計の周期は、約25時間で、外界の24時間周期に比べ長いことから、時計は遅くなる方向にずれやすい性質をもっていることがわかっています。つまり「い寝早起き」よりも「遅寝遅起き」の方が得意であるということですので、入眠時刻が早くなる東方飛行後(サンフランシスコ)より、入眠時刻が遅くなる西方飛
行後(コペンハーゲン)の方が、時差の影響が少ないということになります。

時差ボケの対策はありますか?

生体リズムを早く現地時間にあわせることが大切です。時差ボケには、高照度光、ビタミンB・製剤、メうトニン製剤に有効性が確認されています。
時差ボケの原因は、生体リズムの乱れ(位相のずれ)と、蓄積された睡眠不足が主な原因です。時差ボケ対策の基本方針としては、①ずれ
たリズムを早く現地時間にリセットさせるために、現地の同調囚子(明暗、社会的接触など)を利用して、再|司調を促進する。②現地の夜にあわせて一定時刻の睡眠をとるように心がけ、その作用力が他のリズムにも及ぶようにする。③短時間の仮眠をとり、旅行中の睡眠不足を解消する、ことです。
ずれたリズムをリセットさせる方法としては、以下の項目を利用した方法があります。
1.社会的同調因子:体内リズムの社会的同調因子である睡眠、活動、
食事のタイミングをできるかぎり早期に、新しい時間帯にあわせていく方法です。つまり西方飛行の場合は、出発数日前から入眠・起床時刻を遅らせる生活をし、東方飛行の場合は、入眠・起床時刻を早める生活を始める方法です。これにより「1本にいるときから現地時刻に体内時計を近づけることができます。ただし、2〜3日の短期滞在の場合は、現地時刻に無理にあわせないで、滞在中も日本時刻で過ごした方が帰国して楽な場合もあります。
2.高照度光、ビタミンB12製剤、メラトニン製剤:生体リズムに影響
を及ぼす因子(同調囚子)のなかで、高照度光(2,500ルクス以上)は、ヒトにとって最も強力な因子であることがわかっています。高照度光を主観的な朝に浴びると生体リズムを前進(早寝早起き)させ、主観的な夕方に浴びると後退(遅寝遅起き)させる作用があります。東方飛行では、リズム前進させることが、現地時刻への同調に有効
なため、夕刻の光は避け、起床後の散歩で日光を浴びるとよいです。ビタミンB12には、この光の作用を増強したり、深い睡眠を増加させたりする作用があります。さらに脳の松果体(しょうかたい)で産生されるホルモンであるメラトニンは、睡眠作用に加え、リズム位相変化作用をもちます。メラトニン製剤の服用時刻により作用が異なり、夕方の服用はリズムを前進させ、早朝に服用した場合はリズムを後進させます。メラトニン製剤の夕方の服用は時差ボケのなかでも解消が難しい東方飛行時に有効です。
これらの方法はフィールド実験でも有効性が確認されています。時差8時間の東方飛行時の擬似実験からメラトニンリズムと睡眠構造に対する影響を検討しました。7名の被験者のメラトニンリズムは、高照度光を浴びたときは、室内で過ごしたときに比べて、入眠時間や中途覚醒が少なく、睡眠経過が分断されることが少ないという結果がでました。睡眠内容でも、高照度光を浴びたときの方が、レム睡眠の出現分布が、より早く正常化していました。
また最新の私たちの実験では、アメリカ西海岸での太陽光は10,000〜12,000ルクスに達し、人工的な高照度より強い位相前進作用を期待できることがわかっています。さらに、このような高照度光のなかでも、メラトニン製剤3mgを併用すると、服用しないときに比べてメラトニンリズムは、1日あたり約30分の再同調を早め、服用しないときに逆行性(時計とは逆の方向へずれること)を示した被験者にも順行性を示すことがわかりました↓

8時間の時差地域への東方飛行後、メラトニンリズムの現 地時間への同調速度に対するメラトニン製剤服用による効果

8時間の時差地域への東方飛行後、メラトニンリズムの現
地時間への同調速度に対するメラトニン製剤服用による効果


 
 
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