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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠中、本人はまったく無意識のうちに数十回も呼吸が止まってしまう病気が、睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome : SAS)です。睡眠中にのどの筋肉がゆるんで気道を
ふさぎ、呼吸が山Lまってしまうのです。しばらく呼吸が止まると脳から非常信号が出て呼吸は再開しますが、一晩に何十回もこれを繰り返していると、当然十分な睡眠をとることはできません。最近、患者さんの数が急増し、一説には200万人ともいわれており、さまざまな不快症状や恐ろしい合併症を引き起こす、わが国の国民病の1つともいえる病気でありながら、まだ病気の実態が広く一般に知られていません。これは、眠っている間に症状が出るために、患者さん本人に自覚がないことや、症状があっても「たかがいびき]と、それほど深刻に考えずに治療を受けない人がいるためです。しかし、現実にはどれほど多くの人が、毎日苫しい夜を迎え、また昼間の眠気にさいなまれ、日々を送っていることでしょう。SASは明らかに生活の質(QOL)を低下させ、学習‘労働能力へ悪影響を与えているのです。
さらに2003年2月には、JR山陽新幹線での居眠り運転が発覚し、国民に衝撃を与えました。幸い緊急停止し、けが人などはださずにすみましたが、岡山駅に着くまで睡眠時無呼吸症候群の運転士は、なんと8分間も居眠りをし、列車が停まって車掌が駆けつけたときにも、まだ眠り続けていたといいます。この新幹線は眠り続ける運転士を乗せ、最高時速約
270kmで8分間、約26kmも走り続けていたのです。体重100kgを超え高血圧気味の運転ヒは、検をの結果、重症のSASと診断されました。大事故にならなかったものの、自動制御装置のない.電車で起きたらと思うとぞっとする話です。これまでにあかつている統計においても、SASは交通事故などのアクシデントを増加させ、また大きな産業事故を引き起こしているのです。
SASの定義と分類
SASは「10秒以上の無呼吸が、一晩(7時間以上の睡眠中)に30回以上生じる病態」と定義されています。さらに、その無呼吸の状態が起きる原囚によって、次の3つのタイプに
分類されています。
まず「閉雇用」と呼ばれるタイプは、睡眠中に空気の通り道である上気道がふさがって、呼吸ができなくなるものです。どんなに健康な人でも眠っている問は筋肉がゆるむために、
仰向けに寝ると舌が垂れ下がって上気道は多少狭くなりますが、気道がふさがりて呼吸が止まってしまうことはありません。しかし、このタイプの人は、舌や肥大化した軟口蓋(上顎
の奥の部分)がのどを圧迫して呼吸ができなくなってしまうのです。
第2のタイプは「中枢型」といい、もともと呼吸をつかさどる脳の中枢部分のはたらきに異常が起きていることが原因で、睡眠中無呼吸になるものです。この人たちは第1のタイプに比べると、いびきも少なく、夜中によく目が覚めてしまうと不眠を訴えるケースが多いようです。しかし、呼吸停止にともなって血液中の酸素飽和度が低下し、心循環器系に悪影響が出るのは第1のタイプと同じです。
そして3つ目は「混在型」と呼ばれるもので、「閉塞型」と「中枢型」の両方が無呼吸の間に混在しているタイプです。特に中枢型の無呼吸が多くみられる場合は、心不全など心臓
の機能が低下していることが原因のこともあります。
このなかで、もっとも多いのが第1の「閉塞型」のSASです。このタイプの特徴は、「ガアーツ、ガアーツ」という大きないびきをかいているかと思うと、突然呼吸が止まり、
この状態がしばらく続き、苦しさに耐えられなくなって再び呼吸を始めると、また大きないびきをかくことです。これを睡眠中に何度も繰り返します。呼吸が止まると低酸素により眠っていた脳が活動して覚醒命令が伝わり、呼吸が再開されるのです。
SAS患者の特徴
いびきをかく人には太った人が多いというイメージがあります。実際SASは、30〜60歳の肥満の男性にいちばん多くみられます。肥満の人は首やのどの周辺部分にも脂肪がついて
いるため、上気道が狭められて呼吸がしにくくなるのです。
日本人の患者さんに共通してみられるのは、大きなおなか、小さなあご、短い首の3点です。さらに、口の中の特徴としては、舌の位置が高く、後ろのほうにあることがあげられま
す。鏡に向かって目をふつうに開けてみて、のどの奥が見えないという人は、この病気の可能性があります。
日本人には、欧米人などと比較してSASになりやすい特徴があります。また、日本人のSASの患者さんは、欧米人ほど太っていない場合が多いのも特徴です。ある統計によると、
日本人のSAS患者4800例のうちの3割は、肥満度(体格指数一BMI)25以下(非肥満)であるという報告もあります。
それは、日本人をはじめ東洋人の顔は、もともと短顔で顔が平らであり、そのうえあごが小さいため、のどか咽頭の近くにあります。さらに一般的に扁桃腺の大きい人も多く、生まれつき気道が狭くなっているのです。このように日本人は、顔の骨格構造の点からもSASになりやすく、さらに重症の患者さんが多いのです。
また、SASにかかる人は家族歴も非常に重要です。この病気は顔の骨格が深く関係して
いるので、親が大きないびきをかいている場合、顔が似ている子どもは、遺伝的にSASになる可能性が高いといえます。
このように、われわれ日本人にとってSASは、太った中高年だけに起きる病気だと簡単に片づけてはいけない病気なのです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者数

欧米では、中高年の男性の4%、女性の2%にSASが認められたという報告があります。日本ではどうでしょう。ある報告では、中高年の男性の3・3%、女性の0・5%弱にSA
Sの症状がみられたとされています。ホルモンの関係で中年の男性に多くみられる病気なのです。

SASの患者数と寿命

SASの患者数と寿命


 
日本の全人口の2%、200万人にSASの疑いがあるといわれていますが、近年の日本の食生活の変化から肥満の方が増加する傾向にあり、さらにSASの患者数は増加すると考えられます。この数は、気管支ぜんそくの患者さんの数と同じ数字です。また前ページの表で、SASが日本の代表的な成人病と患者数が似たりよったりであることがわかります。し
かし、実際にSASの患者さんとして治療を受けている人は、わずかに3万人程度しかいません。なんと残りの少なくとも百何十万人もの患者さんが治療を受けずに毎晩いびきをかき、呼吸が止まり、日中の眠気をがまんするというSASの症状に悩んでいるのです。これは、非常に重大で深刻な問題です。
2003年2月に製薬会社のエーザイが行った、全国の20〜30代の既婚女性158人への調査によると、なんと9割の人が「夫がいびきをかく」と回答。一方、「夫のいびきを静か
にさせたいと思うか」という質問には、妻の8割が何とかしたいと考えているという結果が出ています。この調査を見ても、いびきをかいている本人は自覚がなく、むしろ、妻をはじ
め家族の心配、家族の発見が多いのがSASだということがよくわかります。
SAS患者のいびき
SASの患者さんに共通するのは、いびきですが、一口にいびきといってもさまざまなタイプがあります。一般的に、寝入りばなにかくいびきや、お酒を飲んだときや疲れたときだけにかく、いわゆる習慣性のいびきはあまり気にする必要はありません。これらのいびきは、比較的音が静かであるというのが特徴です。
しかし、上を向いて寝ると大きくなるいびきや音に強弱のあるいびき、朝までずっと続くいびき、さらに最近になって急にいびきが大きくなって音も変わってきたという場合は、気
をつけたほうがよいでしょう。
日本人の約2割がいびきをかいているといわれています。この傾向は年齢とともに高くなり、中高年の男性では6割、女性ではその4割がいびきをかいているそうです。
SASの疑いで医療機関を訪れる場合、そのほとんどは、パートナーがご主人の大きないびきを心配して受診を勧めたケースです。ですから、患者さんの人数は男性のほうが圧倒的
に多いのです。これを逆に考えると、夫婦では妻のほうが遅く寝ることが多いため、女性にいびきなどのSASの症状があっても、気づかないままに見すごされ、重症化しているとい
うことも考えられます。さらに女性には、いびきで病院を受診することにためらいを持つ人も多いようです。これからは、女性のいびきに十分な注意が必要でしょう。
SASの患者さんに多いいびきの特徴は、呼吸がいったん止まったあと、再び呼吸をしはじめたときにかく「ガアーツ」という大きないびきです。SASの患者さんは、睡眠中のど
の奥(咽頭部)の上気道が狭くなって空気の流れが妨げられるときに、その摩擦音として発生する大きく激しいいびきをかく時期と、さらに咽頭部が圧迫されてふさがってしまうため
に呼吸が停止(無呼吸)し、静かになる時期を周期的に繰り返しています。
SAS患者の睡眠・健常人の睡眠

SAS患者の睡眠・健常人の睡眠


もともと人間の睡眠には、リズムがあります。一晩の睡眠中には、体は眠っていても脳が目覚めている状態で、眼球運動があったり、はっきりとした夢を見るレム睡眠と、脳も体も
完全に眠っている状態の深い眠りのノンレム睡眠を繰り返しています。本来、ノンレム睡眠のときには、深い眠りが得られるはずなのに、SASの場合は、無呼吸とその後の大きない
びきのせいで、脳も体も十分に休むことができないために、眠りが浅くなってしまうのです。
眠っている間の症状なので、本人が無呼吸を自覚することはほとんどありません。しかし、深い睡眠がとれずに、熟睡感がなく、頭が重くなったり、いびきを繰り返すことで口やのど
の渇きを感じることがあります。「最近年をとったせいか、とても疲れやすい。どうしたのだろう?」と思っている場合など、原因がSASにあったというケースが非常に多いのです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状
SASが疑われる症状には、さまざまなものがあります。まず、当然ながら、激しいいびきと無呼吸です。しかしSASは、そのほかにもいろいろな症状を生み出します。中高年の場合は、肥満も症状の一つです。また、口やのどか渇いて口臭がある、熟睡感がないために起こる昼間の強い眠気・居眠り、疲労感や集中力の低下、頭痛、勃起不全などがあげられます。
そして、SASと診断される症状としては、これらのほかに睡眠時にたびたび起こる覚醒、夜同額尿、うつなどがあります。このなかでも夜同額尿は、特に多くみられる症状です。無呼吸のあとで再び呼吸が始まるときに、「ガアーツ」と大きないびきをかくことで、腹圧が上がって尿意がもよおされたり、同時に、尿を出さないようにしているホルモンの分泌が低下するために、額尿の症状があらわれるのです。夜開顕尿から、前立腺肥大だと思って泌尿器科を受診するケースもあります。しかし、前立腺の治療を行っても、夜同額尿の症状は改善しないため、悩んでいる人も少なくありません。
そして、むしろもっと恐ろしいのは、本人が自覚しない部分で進行する合併症です。SASを長いこと放置しておくことは、高血圧、狭心症、心筋梗塞、心不全などを招く元凶にな
っているのです。中等症のSASの患者さんは健康な人に比べ、高血圧が3倍、心疾患が2倍、脳血管障害が2倍というデータもあるくらいです。研究の進んでいるアメリカでは、SASに関連した心血管系の障害により、毎年4万人近くが死亡するというデータが出ています。さらに、SASの高齢者の死亡率は、健康な人の2・7倍という数字もあがっています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)重症度の判定
SASと診断された場合には、どの程度の症状であるのか、その重症度を調べます。無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index :AHI)という方法で、睡眠時の1時間当たりの無呼吸と低呼吸の平均回数を調べます。無呼吸とは、睡眠中に10秒以上換気が停止すること、低呼吸は換気が50%以ドに低下することです。
このAHIの睡眠時1時間当たりの数値が、5〜15が軽度、15〜30が中等度、30以上が重度のSASと判定されます。
日本人の場合、この数値が30以上になる重症の患者さんがかなり多くいます。しかし、SASの場合はほかの多くの疾患とは界なり、重症といっても、治療によって確実に良くなる
ことが多いので、重症度をあまり気にする必要はありません。
SASはほかの病気のように複雑な治療、痛い治療、頻繁な通院は必要ありません。夜寝るときに鼻にCPAPという豚マスクをつけて、圧力をかけた空気を持続的に送り込み、気道がふさがれないようにして呼吸を助けるだけで、爽快な目覚めと昼の活力を取り戻すことができるのです。
治療費もCPAPの貸し出し代のみです。気になっている方は、迷うことなく病院に行かれることをお勤めします。病院で支払う自己負担額は、月々4500円程度です。

睡眠時無呼吸症候群がおよぼす社会的影響の大きさ

労働災害と社会的問題について
社会の24時間化か進む先進国において、人身事故につながる交通事故の15・4〜34・0%、産業事故、重大な医療事故の50%以上が眠気に関連したヒューマンエラーに基づくものとい
うデータがあります。この背景に睡眠不足、不眠症による睡眠の質的低下、睡眠時無呼吸症侯群(SAS)、過眠症、夜勤・交代勤務による睡眠と覚醒のリズムの乱れがあることと考
えられています。スリーマイル島原発、チャレンジャー号、アラスカ沖タンカー座礁などの甚大事故の原因も、眠気に関連したヒューマンエラーによるものでした。睡眠に関するアメ
リカ議会諮問委員会では、世界中で睡眠の問題によって引き起こされる事故・医療・補償のコストは年間70兆円に達すると試算しています。したがって睡眠の問題によって起こるヒューマンエラーに基づく事故を防止することは、国家的な見地からも非常に重要なことです。
2000年4月にスタートした21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」においても、日本の成人の21・3%が睡眠不足、21・4%が不眠、14・9%が日中の過剰な眠気に悩んでいることが明らかになり、睡眠に関する健康問題を解決することで、日常生活におけるヒューマンエラーおよび事故を防止することができます。SASは単に大きないびきによって寝室をやかましくするだけでなく、2つの問題を引き起こします。医学的な面としては、夜間に無呼吸と覚醒を頻回に繰り返すことが心血管系の疾患に悪影響をおよぽすとされており、アメリカを中心とした大規模な疫学調査により、SASは高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの内科的疾患のリスクファクターであることが明らかにされつつあります。一方、SASが引き起こす日中の強い傾眠と疲労感、起床時の頭痛、抑うつ感は、労働や学業に対する意欲を低下させ、国民の生産性の低下につながっています。また運転中や作業中の眠気が交通事故やさまざまな労働災害、産業事故につながっており、社会的に重要な問題となっています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と交通事故
1993年、アメリカ睡眠障害調査研究委員会がアメリカ議会に提出した報告書は、「Wake up America」(目覚めよアメリカ)と題され、石油タンカーの座礁事故やスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故、スリーマイル島原発事故、多数の交通事故に睡眠障害が関連しているというインパクトのある記載がなされ、大きな話題となりました。特に交
通事故は全米ハイウェイ運輸安全管理局の集計では年間7万2000件の交一通事故が疲労・眠気が原因で発生しているとし、さらに調書にあらわれないケースを考えると実際は数倍の交通事故があるとしている。アメリカでは睡眠障害の調査研究、一般への啓蒙、正しい診断と治療を行うために、さらに巨額の援助が国家レベルで必要であると勧告しています。
1988年Findleyらはアメリカのバージニア州の運転・事故記録を調査し、SASの患者は健常者の約7倍の事故発生率であったことを報告し、さらにSASの重症度が増すにつ
れて事故率が高くなっていることが明らかになりました。また、運転シミュレーターを用いた研究で、SASはハンドル操作ミスの回数が健常人より多いばかりか、血中アルコール濃
度95mg/dlの飲酒をした人よりも有意に多いことを報告しています。同様の調査研究はアメリカのほか、カナダ、スペイン、スウェーデンなどからも報告されており、日本でも複数の報告があります。SASと交通事故の間には明確な関連性があるといえるのです。
CPAP療法の事故防止に対する効果についても複数の報告があります。Findleyらは運転シミュレーターを用いた研究で、SAS患者の衝突回数はCPAP治療によって半減して、健常人並みになることを報告し、Ueorgeらは運転記録の調査研究でCPAP治療の開始前3年間と開始後3年間を比較した結果、事故回数が約3分の1に減少し、同時期に比較した健常人と同程度であったことを報告しています。同様の報告はドイツや日本でもされており、SASであってもCPAP療法が導入され、適切に治療が行われれば、十分な睡眠がとれ、日中の傾眠傾向も解消するため、事故発生の危険度は健常人と変わらなくなることが示されています。したがって、SASの方は適切なCPAP治療がなされれば、健常の人と変わらないため、差別や仕事のうえでの制限を受けるようなことはあってはなりません。

SASとCPAP治療

SASとCPAP治療


 
日本でも、2002年6月から適用となった改正道路交通法において、免許の拒否、保留、取り消しまたは停止の対象となる病気として、「重度の眠気の症状を呈する睡眠障害」があげられており、免許申請時および更新申請時に申告すべき症状として、「十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、日中、活動している最中に眠り込んでしまうことが週3回以上ある方」が明記されました。SASと交通事故の関連性の高さから、すでにアメリカやカナダでは、過眠性疾患に対する運転免許への基準が作成・運用されており、交通事故予防の観点からは今回の道路交通法改正の対応は妥当と考えられますが、このような道路交通法の規制のために、SASの方が生活上の不利益を被ったり、病気を隠すために受診を差し控えるようでは逆効果になります。強調すべきことは、適切な治療を受ければ、交通事故の危険性は健常人と何ら変わることはないということです。むしろ多少でも運転中に眠気を感じるようであれば、積極的に睡眠の診断を受けられるような社会の実現と、医療サイドの受け入れ態勢を充実させていくことが必要となります。国土交通省は新幹線の運転手の居眠り問題のあと、SASに対する対応としてマニュアルを作成し、公共交通機関にSASの診断と治療法を指導し、運転従事者に対し情報提供を呼びかけ、検査と治療の必要な方に受診し治療することを勧めています。その際に事業主に対し、適切な治療がなされれば運転手の就業継続を保障するように指示しています。今後公共交通機関では眠気、居眠りを含めた睡眠検査がとり入れられるようになると思われます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とそのほかの事故

前述の「Wake up Amenca」では、交通事故以外にも鉄道事故、海運事故、航空事故、原子力産業における事故、病院での事故などがSASを含む睡眠障害・睡眠不足によって引き起こされたとして事例をあげ、スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故、スペースシャトル・チャレンジャー号の事故などに睡眠障害が関与しているというセンセーショナルな報告を行い、注目を集めました。この報告書によれば、睡眠障害にかかる医療費などの直接経費は1990年の1年間で159億ドルにのぽるとしており、さらに睡眠にかかわるミスや事故のコストは正確なデータはないとしながらも、保健関係エコノミストの試算として年間460億ドル、睡眠不足・睡眠障害による生産性の低下は年間1500億ドルと報告しています。乗務員4名が全員眠っていたという1990年のサンタフェ鉄道の衝突事故では死者4名、損害額440万ドルと、また有名なタンカー「エクソンバリデス号」の座礁・石油流出事故では、その海洋汚染がもたらした環境破壊は、金銭では換算できないほどのものであったと報告されており、いずれにせよ適切な睡眠がとれないことによって引き起こされるさまざまな交通事故や産業事故は、きわめて重大な社会問題を引き起こすことがわかります。
医療保険制度が改正され、2003年4月1日から医療費の被保険者の自己負担額が3割に増額されました。このことは、ほかの疾病に苦しむ患者さんと同じく、SASの患者さんにとっても深刻な事態になっています。特にSASの場合は、自覚症状を訴えないケースがほとんどですから、睡眠に関する何らかの悩みを持っていても、医療機関を受診しない人が、今後ますます増えていくことが予想されます。
SASの増加は、社会にとっても大きな損失につながっていきます。SASは、大きないびきと無呼吸を繰り返し、そのたびに睡眠が浅くなって十分な深い睡眠が得られません。多くの患者さんは、熟睡感がないために、日中にひどい眠気に襲われることになります。会社で働くサラリーマンを例にとると、仕事中に眠くなったり、仕事に対する意欲が低下して、会社の生産性を低下させます。これは結局、日本経済に対しても大打撃を与えることになるといってもよいでしょう。
さらに日中の眠気や居眠りは、危険な事故にもつながる危険性があります。工場や工事現場などでの仕事の場合は、集中力や判断力の低下が労災事故を起こすこともあるでしょう。
実際にSAS患者さんのなかには、大事な会議で居眠りをしてしまったり、商談相手の前で眠りこけてしまい、気づいたら相手はすでに帰ってしまっていた、などというさまざまな失敗を経験している人がたくさんいます。これらの人たちは、SASという病気であることを周囲だけでなく、本人もまったく自覚していないのです。そのため、周囲からは単なる怠け者、だらしない人間と思われ、本人も訳もわからないままに悩んでいるケースがほとんどなのです。
睡眠保健指導の重要性
このようなことから、まずSASという病気を多くの人に知ってもらう必要があります。
そして疑いのある人には早く検査を受けてもらい、もしSASであると診断された場合には、治療を受けるようにはたらきかけることが大切です。これらが、社会的損失をできるだけ少なくすることにもつながるのです。
今後は、健康管理の一環として、健康診断の項目に睡眠評価がとり入れられるようになることが予想されます。このようにSASという睡眠医療の分野が広まり、発展することで、予防医学が成長し、医療費が確実に削減されるはずです。
ある企業の健康保険組合では、SASを周知させる講演を行ったあと、SASの疑いのある人を対象に、睡眠検査を受けるための医療費を補助するシステムを実践しています。ほとんどの企業がすでに行っている、年I回の人間ドック受診の際の検査費用の補助と同じシステムです。SASの場合は、人間ドックとは異なり毎年検査を受ける必要はないので、医療
費の削減に頭を痛めている健康保険組合にとっては朗報です。
以上、さまざまなデータから述べてきたように、SASの社会的影響は明らかですが、日本におけるその認知度はまだ低いといわざるを得ません。200万人の潜在患者のうち、CPAP療法を受けている患者数がわずか3万人程度であり、適切な治療を受けていない多くの患者さんが存在しているのが現状です。その原因には、睡眠専門医ならびに睡眠検査技師の数の不足、SASの診断と治療が行える施設の不足、および一般社会に対しての啓蒙が不足していることがあげられます。
特に睡眠障害を的確に診断するための睡眠センターの数は、アメリカでは約3000施設であるのに対し、日本では潜在するSAS患者数に対応するには非常に少ないのが現状です。
一般社会にSASを認知してもらうためには、市民公開講座の開催、新聞やテレビなどのメデイアを利用したSASの啓蒙活動が重要です。またSASの方は、働き盛りの成人男性に多いことから、企業が理解して、社員の健康管理の一環として睡眠検査をとり入れるような啓蒙も重要です。
具体的に、広告代理店である博報堂における企業健診のIモデルを紹介します。夜遅くまで働くことも多い、24時開化社会に働く博報堂社員にとって、睡眠不足やSASの存在は活力を低下させ、仕事の効率を悪化させます。SASを発見し、適切な治療を行うことにより、社員の生活の質の向上と会社の生産性が改善し、SASの合併症を予防することにより、最終的に医療費が軽減します。このような背景を博報堂健康保険組合の上層部に理解してもらい、企業健診を実施しました。方法は、まず健康講演会の案内を社内イントラネットで事前発表し、参加希望者を募集し、博報堂健康保険組合主催による「睡眠時無呼吸症候群健康講演会」として、ビデオ放映ならびに講演を行いました。その後、「特別健診」の案内を行い、健康保険組合からの補助を得て、本人負担額は1割で、睡眠ポリグラフ検査が受けられるというものです。対象は博報堂社員3000人であり、講演会参加者は80人でしたが、社内イントラでの問い合わせは400人にのぼりました。実際に睡眠ポリグラフ検査を施行したのは31人であり、無呼吸低呼吸指数(AHI)は5以下が4人、5〜15が6人、15〜30が10人、30以上がH人でした。治療としては21人にCPAP療法を行い、マウスピース療法が2人、両者併用が2人、手術が1人、経過観察中が7人でした。実際にいびきや無呼吸に悩む社員は多くおり、健康講演会などでSASの存在と治療の重要性をしっかり理解してもらうことにより、自発的に睡眠検査を希望する方もおり、適切な治療に導くことができることがわかりました。CPAP治療を受けて日中の眠気がなくなり、業務効率も向上し元気になった社員の方が、体調が良くなり、ロコミでその効果のほどを広げたこともあり、その後も継続的に検査・治療が行われています。このように、社員の睡眠の重要性を考えるような先進性のある会社では、すでに睡眠の重要性とSAS治療は常識となっています。

睡眠時無呼吸症候群の症状と合併症

睡眠時無呼吸症侯群(SAS)は、ただ単に激しいいびきで寝室をやかましくし、ベッドパートナーに大きな迷惑をかけるというだけの病気ではありません。
この病気は治療を受けないで放っておくと、さまざまな命にかかわる合併症を引き起こします。実際、閉塞性無呼吸症(OSAS)を持っている患者さんは、そうでない患者さんと
比較してみると平均寿命が短くなるといわれています。
その直接の原因としては、心血管系疾患、たとえば高血圧、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞などの脳血管障害、心不全などの致死性の病気が大半を占めています。
近年における匪界各国でのSAS研究の進歩により、これらの心血管系疾患とSASの密接な関係が明らかにされており、さまざまな研究のなかでこれらの心血管系疾患はSASを
持っていない人に比べて約1・5〜3倍も発症しうるといわれています。
この項ではSAS合併症、特に高血圧など心血管系疾患との関連性を中心に、さらに糖尿病やED(勃起障害)との関連についても述べてみたいと思います。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高血圧
日本では800万人、アメリカにおいては約5000万人、世界中では約10億人と多くの人が高血圧に罹患しているといわれ、数多くの病気の診断名のなかで高血圧はもっとも頻
度が高い疾患でもあります。また自分が高血圧であると気づいていない人は、約30%も存在するという事実があり、高齢化社会が進む今日、広範かつ有効な予防策が講じられないかぎり、高血圧の有病率はなおいっそう増加することが予想されます。

CPAP治療による予後の改善

CPAP治療による予後の改善


高血圧は「サイレント・キラー」(静かなる殺人者)とも呼ばれています。これは、高血圧はふつう自覚症状がないのですが、突然死につながる狭心症や心筋梗塞などの循環器
疾患、脳梗塞などの脳血管障害を引き起こす危険因子であり、血圧が高ければ高いほど、心臓発作、心不全、脳卒中などを発症する可能性が高くなり、健康人に比較してその発症率は約3倍といわれています。この高血圧症が現代病のなかでどれだけ多くの人が罹患し、よく巷で耳にするさまざまな病気の原因となりうる疾患である、ということが少しは理解されたでしょうか?
ここで最新の高血圧の診断基準を紹介します。
2003年発表されたアメリカ合同委員会、高血圧の予防および管理のための新しいガイドライン(第7次報告‥JNC7)によりますと、収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期
血圧80mmHg未満を正常血圧とし、収縮期血圧140目Hg以上または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧と定義しています。この正常と高血圧の間を前高血圧段階とし、120〜139/80〜89mmHgの範囲にあると、それ未満の人に比べて2倍の高血圧発症リスクがあるといわれています。
アメリカ合同委員会の第7次報告

アメリカ合同委員会の第7次報告


ただしこの測定値は病院での外来血圧であって、自宅での家庭用血圧計では、平均が135/85mmHgを超える人は、通常、高血圧患者とみなされます。
どうですか? これを読んで自分が高血圧かも? と思われる人がいましたでしょうか?
高血圧の重要性を理解していただいたところで、なぜSASと高血圧の話をここでしなくてはならないかというと、この2つの疾患は、密接なつながりがあるからなのです。近年の世界中でのSASに対する関心度の上昇により、多くの大規模研究が発表され、それにより数多くの事実がわかってきました。そのなかでもっとも注目を浴びているのがSASと高血圧との関連性についてです。以下に欧米諸国で行われたその関連性を示す研究内容を記します。
SASと高血圧との関連を示す最近の大規模研究
1 Prospective Study of the Association between Sleep.Disordered Breath.ing and Hypertension ; paul E Peppard et al: NEJM 2000;342:1378‐1384
アメリカのウィスコンシン州の公務員709名での研究で、睡眠ポリグラフ検査で睡眠時無呼吸低呼吸を測定し、その4年後の血圧との関係を調べました。肥満度、体型、年齢、性
別、アルコール、タバコなど関連する要因を補正後の高血圧の相対危険率は、無呼吸低呼吸指数0(回/時間)の群に対して、0・1〜4・9で1・42倍、5・0〜14・9で2・0
3倍、15以上で2・89倍で、いずれも有意に高いことがわかりました。
2Association of Sleep.Disordered Breathing, Sleep Apnea, and Hypertenison in a Large Community‐Based Study. F.Javier Nieto, et al: JAMA 2000;283:1829.1836
6132名の一般住民で睡眠ポリグラフ検査を行い、高血圧との関係を調べました。性別、年齢、肥満度(体格指数一BMI)、体型、アルコール、タバコなどの関連する要因を除外しても、無呼吸低呼吸指数が30/時間以上の群では、1・5/時間未満の群に比較して1・37倍危険率が高いことがわかりました。また夜間の低酸素が著しい群(酸素飽和度90%未満が12%以上)では夜間低酸素を認めない群に比較して高血圧の危険度が1・46倍高いこともわかりました。
30bstrucitve sleep apnea syndrome as a ri:risk factor for hypertension. P.Lavie,et al:BMJ2000;320:479‐482
睡眠クリニックを受診した2677名について睡眠ポリグラフ検査を行い、SASと高血圧の関係について調べました。無呼吸の回数は年齢、性別、肥満度の影響を除外しても血圧に影響しており、無呼吸の回数が1時間当たり1回増えると高血圧の危険率が1%の割合で増加していました。
以上のように、これらの大規模研究によりSASと高血圧の関係が明らかになりました。
現在まで高血圧の約90%が原因不明と考えられていましたが、これらの研究により高血圧の患者の30%前後に実はSASが存在していたという事実もまた明らかになりました。これを実証するように先ほど述べたアメリカにおける高血圧ガイドライン(2003年JNC7)では、高血圧の原因がわかっている疾患(二次性高血圧)の第1番目にSASが登場してきたのです。これは前回のガイドライン(1997年JNC6)ではなかったことです。このため最近欧米諸国の医師の間では、高血圧患者にはいびきや日中の眠気がないか? SASがないか? は当然の概念となっています。
それでは、なぜSASは高血圧を引き起こすのかを簡単にお話しします。SASは肥満の人に多く、肥満自体が高血圧の原因となりえますが、太ってない人にも高血圧は存在します。
それは睡眠中に呼吸が止まることにより、空気中の酸素が吸えずに体に必要な酸素濃度が低下してしまうこと、断続的に起こる睡眠からの覚醒反応、また昼間の眠気を克服し覚醒を維
持しようと努力することによる慢性的なストレスなど、さまざまな原因が体のホルモンや自律神経のバランスを崩し、これにより高血圧をきたすといわれています。
いずれにしてもSASが高血圧の原因となりうることは明らかにされており、SASの治療であるCPAPにより血圧が有意に下がり、降圧剤の減量もしくは必要となくなるケースも経験しています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とそのほかの心血管疾患

先に述べたように高血圧のかかわりあいとともに、当然ながら狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳血管障害、心不全もまたSASと密接なかかわりあいを持っています。
●虚血性心疾患・脳血管障害
虚血性心疾患とは、心臓の筋肉への血液の供給が減ることや途絶することをいい、狭心症と心筋梗塞の2つをまとめて虚血性心疾患と呼んでいます。動脈硬化の進行や血栓などで心臓のまわりを覆う冠動脈の動脈硬化が進み、血管がしだいに狭くなると血液が十分送られず、需要と供給のバランスが崩れて心臓が酸素不足の状態に陥ります。狭心症はこれにより心筋が死なずに回復するのに対して、心筋梗塞は心筋が死んでしまいその部分の動きが悪くなってしまいます。虚血性心疾患はそれ自体が致死性の疾患であり、現在では突然死の原因のなかでもっとも頻度の高い代表的なものと考えられています。
これらの虚雌性心疾患になりやすい人というのも明らかになっており、さまざまな危険因子が存在します。高血証、高脂雌症、糖尿病、肥満、喫煙などがその代表的なものです。もうおわかりでしょうか? SASの人の多くがこの危険因子を持っており、当然のごとく虚血性心疾患の合併頻度は高いことが明らかになっています。
以下にSASと虚血性心疾患との関連性を示した臨床研究を記します。
・Mooe T Rabben et al, Sleep‐Disordered breathing in men with coronary arterydisease:
CHEST 2000;109:659‐663
冠血管動脈造影(心臓カテーテル検査)を施行した142人の狭心症患者において、無呼吸低呼吸指数が5/時以上を55人(39%)、10以上を50人(37%)と高頻度にSASを合併していた報告があります。
・Koehler u et al, ls obstructive sleep apnea a ri:1.sk factor for myocardiaHnfarction and caF
diac arrhythmia in patients with coronary heart disease. Sleep 1 996; 1 09:283‐286.
冠動脈に有意狭窄のある患者74症例中26例(35%)に無呼吸低呼吸指数10以上のSASを認め、その頻度は同年齢のSASの発症頻度より有意に高いことがわかります。
前述のようにSASは高頻度に虚血性心疾患を合併します。今ではSASは直接的に血管の動脈硬化、血栓傾向を促進し、虚血性心疾患の関連性は、肥満や高血圧などとは独立した
危険因子の1つとなりえる疾患であると考えられはじめています。このため虚血性心疾患のみならず、動脈硬化や血栓が起こりやすい部位である脳動脈、大動脈、心臓、肺動脈、腎動
脈に起こる血管障害、大動脈瘤、心筋症、眸・腎動脈狭窄への関与も示唆されています。特に脳梗塞を代表とする脳卒中は、日本やアメリカにおいても第2位、第3位の死因であり、長期の障害を引き起こす重大な病気です。
日本人で脳梗塞が原因で死亡する10万人当たりの死亡数は、虚血性心疾患の数と匹敵もしくは上回るともいわれており、高齢化社会を迎えているわが国においても、社会問題の一つになっています。
一般的に脳血管障害または脳卒中とは、出血性脳血管障害と虚血性脳血管障害の総称でした。原因がわからなかった出血や虚血など、急に半身麻揮や意識不明になった病態は、昔から「卒中」「中風」と呼ばれ、それらの原因がわかった現代になって「脳卒中」としてまとめられ、出血性脳血管障害と虚血性脳血管障害に分類されました。これら脳血管障害も虚血性心疾患と同様に動脈硬化や血栓が原因とされています。
SASと脳血管障害との関連の可能性を検討した最初の大規模研究があります。

SASと高血圧

SASと高血圧


SASが高血圧を引き起こす

SASが高血圧を引き起こす


 
●Sleep.disordered Breathing and Cardiovascular Disease Cross‐sectional Results of the Sleep Heart Health Study. E.Shahar,et al: Am. J.Resp.Crit.Care Med 2001;163:19‐25.6424名の一般住民で睡眠ポリグラフ検査を行い、心臓・血管系疾患の既往歴との関係を調べました。心血管系の相対危険率は、AHIが1・3未満の群に比して、AHIが4・4〜H/時間で1・28倍、無呼吸低呼吸指数H/時間以上の群で1・42倍であったと報告しています。そのなかでも特に関連が強いものに脳卒中があり、無呼吸低呼吸指数H/時間以上の群の相対危険率は1・58倍でした。
このようにSASと脳血管障害は密接なかかわりあいを持つことが明らかです。また脳卒中を発症した患者では、睡眠時無呼吸が極端に多くみられ、その発症率は患者の41〜91%と
報告されています。
これらのようにSASはさまざまな致死性合併疾患を持つことが明らかになっています。このためSASの治療を怠り、合併症の進行を放置しておくと生命予後を短くする結果とな
りえます。
いまだわが国においては欧米諸国と比し、SASの認識が十分であるとはいえません。今後多くの医療従事者、また高血圧をはじめとした心血管障害を持っている多くの方に、SASという病気の重要性を認識していただき、社会全体でSASの予防、治療をはじめとした啓蒙活動を行うことで、国民全体、地球全体の21世紀のより良い健康の維持が可能となるこ
とでしょう。
SASと糖尿病
SASの患者さんには肥満している人が多く、糖尿病を合併している人が少なくない。糖尿病には、インスリン依存型糖尿病と非インスリン依存型糖尿病があり、インスリン依
存型は若年型とも呼ばれ、インスリン注射の治療を継続します。
しかし、SASの患者さんが合併するのは、糖尿病全体の95%以Lを占める非インスリン依存型で、主に成人になってから徐々に発症するものです。この非インスリン依存型糖尿病の発症には遺伝的因子のほか、環境因子が大きく影響し、食べすぎ、太りすぎ、運動不足が3大因子になっています。
糖尿病は豚臓から分泌されるインスリンの不足により、摂取した糖質をうまく代謝できなくなるため、血糖(血液中のブドウ糖)が…尺常に増える病気ですが、この代謝勁常の影響は、ほぼ全身の臓Sや血管、神経系におよびます。症状が進むと、fや足の神経障害、細かい血管が集まっている腎臓や網膜の障害などの恐ろしい合併症を起こします。
SASに合併する糖尿病は、非インスリン依存性糖尿病で、肥満に関連したものです。しかし、SASの一部にはインスリン抵抗性に基づく病態があり、その結果、インスリンの値が高値である症例もみられます。高インスリン眼症が続くと洋臓のインスリンを分泌させるβ細胞が疲弊してしまい、やがてインスリン分泌不全やインスリン作用低下から糖尿病に進むことになります。SASは高血圧や高脂阻症が合併することが多く、SASの糖尿病は血管障害の進行を早める可能性があります。したがって、糖尿病性腎症や網膜症を併発する前に早期に診断治療をする必要があります。しかし、CPAP治療はインスリン抵抗性を改善させるという報七日もあり、肥満の治療とともにCPAP治療が重要です。
SASとED(勃起不全)
睡眠はヒトの休に休息と安らぎを与えてくれるものですが、実は内分泌器官にとっては活動の時間です。私たちが快適に眠っている間に、さまざまなホルモンの分泌はせっせと仕事をしているのです。しかし、SASにおける睡眠時の無呼吸障害は、この内分泌器官の活動を阻害し、成長期の小児には成長障害をきたし、思春期にある青少年には性成熟を遅延させ、さらに成人の場合は、性的機能低下やED(勃起障害)をもたらすようになります。
EDはかつては一般的にインポテンツと呼ばれ、ストレスや不安など心理的原因によるもの、糖尿病や動脈硬化など気質的原因によるものがよく知られていますが、SASの患者さんでEDを訴えるケースも決して少なくありません。
なぜSASがEDにつながるのかというと、ホルモンは一般に睡眠とともに分泌が促されるのですが、それが頻繁な無呼吸による睡眠障害で、ホルモンの分泌が低下すること。さらに、無呼吸障害が血中酸素飽和度(SpO2)を低下させる低酸素血症を起こし、男性ホルモンのテストステロンの分泌を指令する、脳の視床下部や下垂体のはたらきが影響を受けるからです。
このテストステロンの分泌量は、睡眠時低酸素血症の程度と関係していますが、SASの適切な治療を受けることで改善されていきます。

-睡眠
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