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睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策

SASの克服でアンチエイジング
●「寝る子は育つ」その秘密
まず、SASの克服とアンチエイジングの関係をひもとく前に、睡眠と密接に関わるあるホルモンの説明から始めます。
成長ホルモン(Growth Hormone :GH)は、脳の下垂体から分泌されるホルモンのひとつです。文字どおり、成長を促すことを主な役割としています。成長ホルモンは主に肝臓にはたらきかけて、軟骨細胞を増殖する作用のあるインスリン様成長因子(IGF-1)を分泌して、骨の成長を促します。さらに、直接軟骨細胞にもはたらきかけ、IGF‐1の分泌を促進しているのです。
簡単にいえば、成長ホルモンがIGF‐Iにはたらきかけることで、骨が長くなり、身長が伸びるというわけです。「寝る子は育つ」と昔からよくいわれているのは、成長ホルモンは寝ている間に最も分泌されるものなので、よく寝る子どものほうがこのホルモンの分泌量が多く成長が著しいということなのです。
事実、最も大切な成長期に成長ホルモンのバランスが崩れてしまうと、低身長症や巨人症になってしまったりするため、成長ホルモンは人間の成長にとって、最も重要な要素のひとつなのです。
また、成長ホルモンは筋肉でタンパク質合成を促進したり、心臓などさまざまな臓器や器官の発育にも関わっているため、私たちの体づくりにおいてとても重要な役割を担っているのです。
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●成長ホルモンの役割
これまでは、成長ホルモンは成長期が過ぎれば、重要な役割はないと考えられてきました。しかしこの物質は、私たちの基本的な生体活動である代謝に大きな影響を与えていることがわかっています。
脂肪の分解や、タンパク質の合成を促したり、糖質(炭水化物)、骨、水分やミネラルなどさまざまな代謝を調節しながら、体が常に一定の状態に保たれるよう、バランスを保つ役割を果たしてくれているのです。
成長ホルモンを分泌する器官である脳下垂体に腫瘍ができたため、摘出手術を受けた患者がいます。その人は脳下垂体を摘出してしまったため、成長ホルモンの分泌ができなくなり、IGF-1の分泌量も極めて低くなってしまいました。健康的でうるおいのある皮膚をつくったり、しわを減らしたり、骨を丈夫にしたりするエネルギーレベルや性的な能力を高めるはたらきが弱ってしまうのです。
それだけでなく、免疫力や心臓の力も弱まり、視力が低下したり、ときには健康感がなくなったり、記憶力が衰えるなど、成長ホルモン分泌能力低下の影響はあらゆるところであらわれてきてしまいます。当然、生活の質(QOL)は低下し、老化が早まったかのような症状があらわれてきてしまうのです。

よい睡眠が成長ホルモンの分泌を促す

人体は、深夜の睡眠中に分泌される成長ホルモンによって疲労を回復し、覚醒後の活動に備えるようにプログラムされています。成長ホルモンは一晩に1〜2回分泌され、眠りが深いほど1回の分泌量が多くなるといわれています。
深い眠りとはつまり、ノンレム睡眠のことです。主にそのときに成長ホルモンが分泌されるということなのです。
成長ホルモンは人間の体内時計に従って分泌時間がコントロールされていますが、一番多く分泌されるのは深夜の2時前後だといわれています。つまり、この時間帯に深い眠りに人っていれば、体の疲れもとれやすく、体調の維持・向上に効果があるというわけです。
最初のノンレム睡眠が訪れるのは眠りに入ってからおよそ30分後と考えられています。ホルモンを自在に分泌させることはできませんが、ホルモンを多く分泌させるための条件を整えることは十分可能ということです。
十分に眠っているつもりでも疲れがとれにくいのは、睡眠が足りていないか、あるいは質の悪い睡眠によるものであること、つまり、成長ホルモンの分泌不足によるものだと考えられるのです。
●睡眠不足が肌荒れを招く理由
前述したように、成長ホルモンには、大きく分けて「成長」と「代謝」に関する2つの役割があります。
代謝に関する役割といってもピンとこない方も多いと思いますが、それは「代謝促進」「血糖値上昇」「恒常性の維持」「体脂肪動員の促進」のおおむね4つの作用に分けられます。
まず代謝促進とは、炭水化物や画質、タンパク質の代謝を促進することで、新陳代謝を活性化する作用です。次の血糖値上昇とは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、血糖値を下げるインスリンのはたらきを抑制することで、血糖値を上昇させる作用のことです。3つめはカルシウム濃度などを一定に保ち恒常性を維持する作用です。恒常性とは、体の状態を一定に保つこと。つまり健康維持には欠かせない大切な要素です。最後の体脂肪動員の促進とは、脂肪を燃焼させるはたらきのことをいいます。
睡眠不足などによって成長ホルモンのバランスが崩れると、こうした作用がはたらきにくくなり、体や生活にさまざまな悪影響を及ぼしてしまうのです。
女性の多くは経験的に知っていると思いますが、睡眠不足は肌荒れを招きます。これは、代謝を行う成長ホルモンがきちんと分泌されていないからこそ起こるものなのです。成長ホルモンが不足すると、画質やタンパク質、糖質、骨、水分やミネラルなどの代謝がうまくいかず、次のような不快な症状があらわれます。
●体脂肪の増加、ぽっちやりとした肥満
●コレステロール値の上昇
●骨量の減少(骨粗しょう症)
●筋量の低下、運動能力の衰え
●心臓や腎臓の機能低下
●全身倦怠感、疲れやすい
●気力の低下、うつ状態
●性欲の減退
●皮膚がカサカサする
●手足の冷え
質のよい睡眠がとれていれば、以上のような老化現象ともいえる諸症状を抑えることができるのです。良質の睡眠は、健康によいだけでなく、美肌にも効果的です。
睡眠中に成長ホルモンが分泌されると、それによって肌の細胞が分裂を起こし、新しい肌がつくられます。より深い眠りは、成長ホルモンの分泌を促し、美肌をもたらしてくれるのです。快眠によって老化現象を抑え、肌つやもよく、スリムなボディを保ち、いつも快活で何ごとにも前向き、といったようにいつまでも若々しくあることが可能なのです。

よく寝るとやせる理由

成長ホルモンには、健康保持に欠かせない大切な作用があることがわかりました。なかでも、最近最も注目されているのが、脂肪を分解するはたらきです。
成長ホルモンの投与は除脂肪組織、とくに筋肉の断面積の増加を引き起こし、体脂肪(主に内臓脂肪)を減少させ、体液(主に細胞外液)を増加させることが知られています。
10代の若者が基礎代謝量以上の食事を続けても、40代の人のように太りにくいのは、成長ホルモンによる活発な脂肪分解作用が勝っているためです。このホルモンは内臓脂肪の減少作用やコレステロール値の最適化作用が高いことが近年の研究によって明らかになっています。
成長ホルモンにダイエット作用があることはよく知られていることですが、それは成長ホルモンに、基礎代謝量の増加と強い脂肪分解作用があるからです。
30代を過ぎると、自然と基礎代謝量が落ちてきます。若い頃に比べて摂取するカロリー量があまり減らないと、毎日少しずつ体内に脂肪が蓄積されることになります。
10代の頃は基礎代謝量が多いため、脂肪は蓄積されにくいのです。多少の脂肪は体内の成長ホルモンが素早く分解してくれるので、体内にとどまり続けることは少なかったのです。
しかし、成長ホルモンの分泌量が減少し始めると、代謝量は減り、脂肪分解作用も急速に衰えるため、急に体脂肪が増えてしまうのです。
もちろん、睡眠不足などにより、成長ホルモンが極端に減ってしまえば、年齢とともに徐々に脂肪が増えていくよりも数段早く体内に脂肪が蓄積され、肥満を引き起こしてしまいます。
体脂肪の増加は、成長ホルモン不足や、SASを誘発するだけでなくメタボリック・シンドロームの危険因子にもなります。これがいかに危険であるかを認識し、規則正しい食生活や、代謝を促すための定期的な運動を心がけ、さらに、上質の睡眠をとることが最も大切なのです。
●上質な睡眠が若さを保つ
成長ホルモンは質のよい睡眠をたっぷりとることでより多く分泌されます。
また、成長ホルモンの分泌不足は睡眠不足だけでなく、運動不足やストレスによっても引き起こされると考えられています。SASの要因もこれとほぼ同じであると考えられているため、片方を予防することはもう一方の予防にもつながるわけです。
成長ホルモンが分泌されるのは、眠っているときだけではありません。
近年、加圧式トレーニングというものが注目されています。これは、成長ホルモンが運動した後にも分泌されるという観点から考え出されたトレーニングです。
運動により筋肉組織が壊れると、それを修復しようと成長ホルモンが分泌されます。加圧式トレーニングとは圧力を加えることで血流を適度に制限し、短時間でもハードなトレーニングをしたのと同じ効果を与えるもの。それによって成長ホルモンの分泌はより促進されるというわけです。
このトレーニングのメリットは、加圧しない場合よりも成長ホルモンの分泌量が多くなるということのみならず、実際に重い負荷をかけるわけではないので、関節や靭帯にかかる負担が軽くてすむということにもあります。
脂肪を分解し、筋肉を増強するこうしたトレーニングは、太りにくい体質をつくるという意味でも、SAS予防に効果的です。
このホルモンを上手にコントロールすることは、数多くの病気を予防することにもつながります。また、より健康でいつまでも若々しくいられるため、生活の質の向上にもつながるのです。
成長ホルモンの分泌不足が改善された人のなかには疲労感がなくなり、体が軽くなったと感じる人、将来への夢と希望にあふれるようになったという人もいます。上質な睡眠が成長ホルモンの分泌を促すと、ポジティブな気分になるという精神的効果もあらわれるのです。「老い」は成長ホルモンの減少によって始まるものだとすれば、規則正しい生活を維持することによって、老いの訪れを遅くすることは不可能ではありません。質のよい睡眠は若さを保つ、ともいえるのです。
「告白ー睡眠時無呼吸症候群?ドキュメント⑤」会社員Fさん(41歳)
●肥満は一番の危険因子
Fさんは他の患者と同じように、肥満体型で以前から大きないびきをかいていました。音が大きなこと以外、いびきについては別に気にしてはいませんでした。しかし、今から2〜3年前に「あんたのいびき、ちょっとおかしいわ。呼吸が止まっているかもしれない」と奥さんに指摘されたのです。
しかしFさんは、無呼吸があるとわかっても、とくに気になる自覚症状もなかったので病院には行きませんでした。熟睡感がないことや、会議中など昼間不意に眠くなるのも、仕事が忙しく残業が深夜になることがたびたびあったので、睡眠不足のせいだろうと考えていたからです。
眠気が強いときには、仕事中にガムを噛んだり、水を飲むなどして、強烈な眠気に堪えていました。ただ、夜中の無呼吸を少しでも解消するために、横向きに寝て気道を確保するなどの工夫をしていたそうです。
しかし、ここ1年ほどは明らかな体調の変化があらわれ始めたそうです。まず、起床時の頭痛が激しくなり、急に疲れやすくなりました。会社の健康診断でも、血圧が160/110と高血圧を指摘され、SASの検査を受けることにしたのです。血圧は夕方に高くなるのが普通ですが、検査によるとFさんの血圧は朝方に高くなる傾向がみられました。これはSASの典型的な症状のひとつです。
AHI(無呼吸・低呼吸指数)が50回/時間を超えていたFさんは、重度のSASと判定され、さっそくCPAP(シーパップ)治療を導入することになりました。1日目の感想は「熟随感があり、すっきりした」でした。
これまで高血圧のために、1日1回、24時間効果のある薬を毎朝のんで血圧をコントロールしていましたが、CPAP治療の結果、Fさんの場合、最も高くなる朝の血圧が160/110から140/86に下がっていました。「これからもCPAP治療を続けていきたい」と、治療継統への意欲は逆に上がったようです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)にならないために

●正しいダイエット
SASの患者の70〜80%は肥満です。そして肥満はSASの原因となるばかりではなく、糖尿病や心臓病、脳卒中などの生活習慣病を招く危険因子です。SASの予防のみならず、生活習慣病予防の観点からも、肥満を解消するにこしたことはありません。
そのためにも常日頃から体重を測定し、適正体重に近づけるよう努力することが重要です。おおよその適正体重は、「身長(m)の2乗」×「22」で求められます。
肥満の解消のためには、病院での治療が必要な肥満でない限り、日常習慣のなかで努力し減量に努めるしかありません。最近はやりのダイエット食品等を食べ続けたり、無理に食事を抜いたりするなどの、普段の生活から懸け離れたダイエットはむしろ健康を害する危険が大きいのでやらないほうがいいでしょう。
肥満解消はあくまで日常の習慣を改善することによって、自分の体を健康体へと変えていくことにほかなりません。それには、バランスのよい食事や、適度な運動が欠かせないのです。
まずは日常の食生活についてです。肥満を防止し、解消するポイントは次の項目です。
①バランスのよい栄養摂取
②脂質や糖質(炭水化物)を減らし、摂取カロリーを減らす
③一日三食を心がける
④間食はせず、深夜、とくに寝る間際に食べ物を口にしない
⑤アルコールを控えめにする
●運動不足の解消
食生活の改善とともに不可欠なのが適度な運動です。現代人は運動不足が指摘されています。ではどのようにして運動を生活のなかに取り入れたらよいのでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、ウオーキングです。ランニングのように心臓や足腰に負担をかけることなく、ただ歩くだけで体にたまっている脂肪を燃やすことができ、肥満解消に絶大な効果を発揮します。
ウオーキングは早足でもよいですし、もちろん普通の速度でもかまいません。できれば毎日30分、無理なときは10分ぐらいでも続けるようにしてください。帰宅時に一駅前で降りて歩いたりすることもできるはずです。エスカレーターを使わずに階段の昇り降りを心がけることや、オフィスで適度に軽いストレッチをすることなどもいいでしょう。
自発的に体を動かしてみるという積極性とちょっとした工夫によって、運動を習慣化することは十分可能です。まずは自分のできる範囲から、少しずつ始めていくようにしましょ

横向きに寝ていびきを防ぐ

いびきや無呼吸の原因は仰向けに寝ることで気道が閉じてしまうことにあります。横向きに寝ることができれば、症状が軽くなったり、場合によっては解消されたりすることもあります。
ただし、これらの改善策は症状が軽い患者に有効なもので、それよりも症状の重い患者にはほとんど効果がみられません。
横向きに寝ていても、寝ている間に寝返りをうっていつの間にか仰向けになってしまうことがあります。それを防ぐために、たとえばふとんの下に片側だけ座ぶとんを敷いて段差をつけたり、枕も同様に左右高さを変えてみたりするのが効果的でしょう。抱き枕を使うのもいいかもしれません。
また、いびき防止用に市販されている寝具や、鼻孔拡張テープや、マウスピースなどのいびき防止グッズを試してみるのもよいでしょう。
●自分に合った枕を選ぶ
「枕が高いといびきをかく」といわれますが、これにはあまり根拠がありません。たとえ枕が低くてもいびきをかく人はかきます。問題は枕が高いか低いかではなく、枕が自分に合っているか合っていないか、なのです。
枕の語源は「魂の倉」だという説があります。昔の人は眠っている間、魂は枕に納められている、と考えるほどに枕を神聖視していました。ところが現在、どんな枕を使っているか、という質問に即座に答えられる人はいったいどのくらいいるのでしょうか。最近は枕にこだわりのある人が増えているとはいえ、まだまだその数は少ないような気がします。
人間は一日の4分の1ほどの時間を睡眠に費やし、その間中はずっと枕に頭を預けているのです。そう考えると、自分に合った枕を選ぶと、無呼吸やいびきが改善されるというのは少しも不思議なことではありません。SASへの対処としても当然のことながら、質の高い睡眠を得るためには自分に合った枕を選ぶことが不可欠です。
合わない枕を使い続けた場合、頚椎を傷める原因になったり、肩こりを起こしやすくなります。当然のことながら、寝心地も悪く、質の高い睡眠を得ることは難しくなってしまいます。自分に合った枕を選ぶことは、健康維持の重要なポイントです。無呼吸やいびきに悩んでいる方には、一度自分が使っている枕を見直すことをおすすめします。
自分に合った枕を選ぶうえで重要な要素が3つほどあります。それは「高さ」「硬さ」「吸湿性」です。枕の目的とは、本来寝ている間も立っているときと同じような姿勢を保つことにあるため、その「高さ」は最も重要なポイントです。
たとえば、低すぎて頭が沈んでしまうような枕ですと、類推に負担がかかるとともに脳への血流が悪くなってしまい、脳を休息させにくくなります。逆に、枕が高すぎる場合は頚椎に負荷がかかるために、寝違えたり、肩こりを誘発してしまい、気道が圧迫されることからいびきを起こしやすくします。
また、枕は頭を支える役割も果たしているので、寝返りを打ったときなどに形が崩れ、頭をきちんと支えてくれないものでは困ります。適度に硬く、形状を安定させられるものがいいでしょう。最近は、それぞれの頭や首の形にフィットしてくれる低反発素材のものがあるので、検討してみてはいかがでしょう。
また、意外に重要なのが「吸湿性」です。人間は寝ているときに多量の汗をかきます。快適な睡眠を得るためには、熱を首や頭にこもらせないことが重要です。
「吸湿性」や「放熱性」にもこだわり、本当に自分に合った枕を選ぶことは、より快適な睡眠をもたらします。
●ベッドの選び方
快適な睡眠を得るためには、枕のみならずベッドをも見直しましょう。ベッドも枕と同様、慎重に選ばなければ快適な睡眠を得られないだけではなく、健康を害する可能性すらあるのです。
体の構造を考えると、安眠を得るためには、仰向けで寝た場合、頭、腰、背中の3点をうまく支えてくれるベッドが好ましいでしょう。その案配が重要です。
硬すぎるものでは、体を傷めてしまうことになりますし、柔らかすぎるものでは、睡眠中の力の抜けた体は腰が沈んでしまうため、腰痛の原因になってしまいます。そこでどれぐらいの硬さ(柔らかさ)のベッドがベストなのか、ということになりますが、「実際に横になったとき、腰の下に掌(てのひら)が入るぐらいがちょうどよい」とされています。
腰の下に程よいスペースがなければ、腰が沈み込みすぎて、痛めてしまう可能性があるからです。
ベッドの大きさは大きければ大きいほど好ましいので、寝室の広さとの兼ね合いで決めればよいでしょう。
長さは、身長よりも20S程度長いものが最適です。幅は寝返りを妨げない程度。パートナーがいる方はお互いが邪魔にならず、寝心地に影響を与えない程度が理想です。
スプリングベッドではなくウオーターベッドも悪くありません。常に体にかかる圧力が一定であるため、1カ所に負担がかかることもありませんし、体が沈み込んでしまう心配もありません。
これらの点を考慮して、自分に合ったベッドを選んでみてはいかがでしょうか。

快適な睡眠に向けて

質の高い睡眠を得るための要素は、2種類に分けられます。それは前述した枕やベッドによってつくられる「寝床内の環境」。もうひとつは「寝室の環境」です。寝具によってつくられる環境は、購入した時点でほぼ完了ですが、後者は日々、質の高い睡眠を得るためにつくり上げていかなけれぱならないため、終わりはなかなか見えません。
ちなみに、睡眠の質を左右する寝室環境の要素には、室温、湿度、光、音、香りなどがあります。
快適な睡眠を得るために最も適した環境とは、冬は15℃、夏は25℃くらいの室温に、湿度は50%、部屋の明るさはなるべく温かみがあって調節可能な照明でやや暗め(1〜30ルクス)。また、外の音が聞こえない工夫も必要です。インテリアも人間が落ち着ける、刺激の少ない色で整えて「寝室の環境」づくりを万全にしましょう。
●睡眠時間の目安
睡眠には、疲労を回復し、ストレスを解消するはたらきがあります。質のよい睡眠は、明日の健康の源です。睡眠環境を整えることは、適切な食事と運動を行うのと同じくらいに重要なことです。そこで、最新の研究成果をもとに、質のよい睡眠をとるためのポイントを解説します。
まずは睡眠時間についてです。
日本人の平均睡眠時間は約7時間半といわれています。では6時間だと短すぎるかというと、個人差がありますので一概にはそうともいえません。
睡眠時間は、それぞれの生活スタイルや季節によって異なります。春から夏にかけての時期には睡眠時間は自然に短くなhソ、逆に秋から冬は長くなります。疲れているときや、睡眠不足が続いた後には、より長い睡眠時間が必要になります。
とくに年齢の影響は大きく、10代では8〜10時間、成人以降50歳までは、6・5〜7・5時間、60歳以上では平均6時間弱と、高齢になるほど必要な睡眠時間が短くなることが報告されています。
無理に長時間眠ろうとすれば、かえって睡眠の質を低下させることもあります。目安は、朝の目覚めがさわやかで疲労感もなく、日中眠気を感じることなく過ごせているかどうかです。睡眠時間がたとえ短くても、いかに質の高い睡眠をとるかということが重要なのです。
健康・体力づくり事業財団の調査によれば、日本人の多くの場合6〜7時間の睡眠で足りていると感じており、6時間を割ると睡眠不足を感じているようです。

日本人の睡眠時間の分布

日本人の睡眠時間の分布


 
●1日7時間が最も長生きする!?
睡眠時間と死亡率に関する興味深いデータがあります。2002年2月、米国の「アーカイブス・オブ・ジェネラル・サイキアトリー(Archives of General Psychiatry)」 に発表された研究結果ですが、米国ガン協会のガン予防試験Hは、6年間にわたって100万人以上の参加者を追跡調査した結果、最も生存率が高かったのは、1日約7時間睡眠の人々で、最も低かったのは、睡眠時間が4・5時間以下の人々でした。9時間以上の長すぎる睡眠も、高い死亡リスクと関連していた、というものです。
1日に7時間の睡眠をとっていた人が最も長生きするというわけです。100万人というサンプル数の規模が、この調査を無視できないものにしているといえるでしょう。
また、米国で行われたある研究によれば、学生時代に不眠症を訴えていた医師が、30年後にうつ病になる確率は、十分に睡眠をとっていた医師の約2倍だったそうです。良質な睡眠を心がけることは、今日明日の休息のためだけでなく、10年後、20年後の健康のためにも重要であることがわかります。
●昼寝をするなら午後3時前に短めに
睡眠には深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠があります。この2つの睡眠が一晩の間に、ほぽ90分に各1回ずつのリズムで繰り返されます。
眠り始めはノンレム睡眠が長く、明け方に近づくに従ってレム睡眠が長くなっていきます。快適な睡眠を得るには、このリズムを味方につけることが重要です。
そうした意味では必ずしも7時間とか8時間連続して眠る必要はなく、昼と夜に半分ずつ分ける「分断睡眠」でも、健康に支障はないといわれています。
昼食を食べて、ほっと一息ついた頃に眠くなることはありませんか? この時間に眠くなるのは人間の体のリズムによる自然な現象です。睡眠不足なら、それが顕著になります。その時間帯さえ過ぎてしまえば、眠気は覚めていきます。短い昼寝でリフレッシュすることは、午後の眠気をやり過ごし、すっきり過ごすのに役立つことがわかっています。
ただ、注意しなくてはならないのは、昼に寝すぎて夜に寝つけなくなってしまい、逆に疲れをうまく解消できなくなってしまうことです。
昼寝をするなら午後3時前の20〜30分以内が効果的です。これ以上眠ってしまうと、体と脳が本格的に眠る態勢になってしまうため、目が覚めた後もぽんやりしてしまいます。さらに、長い昼寝や夕方以降の仮眠は、その後で目が冴えてしまうので、就寝時間になってもなかなか眠りにつくことができず、体に悪影響を及ぼしかねません。自分に合った睡眠法を見つけて、そのリズムに合わせて睡眠をとるのが一番だということです。

眠れない! そんなときは?

夜なのになかなか眠れない、というのは誰にでもあることです。たとえば、「明日早いから今日は早く寝よう」といつもより早く床についても、さっぱり眠くならない。そんな経験はありませんか?それもそのはず、普段、眠りにつく2〜4時間前は最も寝つきにくい時間帯です。「今夜はもう寝なくては」と力んで眠ろうとするのは逆効果です。眠くないのに床につき目を閉じても、時計の針が動く音が気になったり、外の騒音が気になったり、やり残した仕事のことが気になったり、些細なことが頭を離れなくなり、目が冴えてしまいます。
そんなときは、自分なりのリラックス法で、眠気を感じてから再び床につけばよいのです。就寝時刻にはこだわりすぎず、眠くなったら床につけばいいと、気楽に考えることが、快適な睡眠をもたらすはずです。
「眠れない」ということは神経が興奮しているということです。アルコールや睡眠薬に頼る前に、まずは自分なりのリラックス法を試してみましょう。たとえば、ゆったりとした心地よい音楽をきいたり、アロマテラピーを試したり、軽いストレッチをしたり。いずれもリラックス効果があり、眠気を誘ってくれるでしょう。ぬるめの入浴も効果的です。どうせ眠れないからといって、テレビやパソコンでゲームなどを始めるのは避けましょう。
本を読んでいると必ず眠くなるという人には、読書がよいかもしれません。ただし、時間が経つのを忘れて夢中で読んでしまうものはさけるべきです。
●寝る4時間前には刺激物をさける
起きている間に摂取した刺激物が原因で眠れなくなることもあります。刺激物の代表的なものはカフェインです。日本茶やコーヒー、紅茶、ココアはもちろん、コーラなどのソフトドリンクや栄養・健康ドリンク剤、チョコレートなどにも含まれています。
夕食後の家族の団らん時、とくに寒いときなどついつい温かいコーヒーが飲みたくなるものです。しかし、この一杯のコーヒーが睡眠の質を低下させてしまうのです。
カフェインの覚醒作用は、服用後4〜5時間程度持続します。ですから、寝つきが悪い人はとくに、カフェインを摂取する時間帯に気をつけるべきです。
晩酌をしながらの一服は、喫煙者にとっては至福のひとときかもしれません。しかし、タバコに含まれるニコチンにも神経を興奮させる作用があるので、喫煙のタイミングにも要注意です。
●寝酒は百害あって一利無し
それでもどうしても眠れない、そんなとき、ついアルコールに手を伸ばしてしまう人は少なくありません。むしろ、お酒を一杯飲まなければ眠れないと信じている人もいるでしょう。しかし、これは大きな間違いであり、実はたいへん危険なことでもあるのです。
睡眠薬代わりの寝酒は、たしかにアルコールの力によって寝つきそのものはよくなるかもしれませんが、その反面、眠りが浅くなり、トイレが近くなって断続的になるなど、睡眠の質を低下させます。
また、毎晩寝酒を飲んでいると、アルコールに対する耐性がついてしまい、同じ量では寝つけなくなります。寝酒の習慣のある人は、飲酒量が急速に増えていく傾向があり、肝障害やアルコール依存症に陥ることも少なくありません。
ナイトキャップといわれる程度の軽い飲酒であれば、問題ないかもしれません。百薬の長といわれるお酒ですが、寝酒だけは避けるべきです。睡眠前の過度の飲酒は肥満の原因にもなります。寝酒は百害あって一利無しなのです。

睡眠薬は医師の指示に従って服用する

あまりに寝つきの悪い人は睡眠薬を服用することをおすすめします。睡眠薬には、「使い続けると量を増やさないと効かなくなる」「睡眠薬は体によくない」などネガティブな印象を抱いている人も多いと思います。
そのような睡眠薬が存在することもたしかですが、現在一般的に使われている睡眠薬(主にベンゾジアゼピン系)は、効き目もマイルドで、副作用の心配もほとんどありません。効き目も安全性もアルコールの比ではありません。
ただし、服用の際は、ほかの薬と同様、医師や薬剤師の指示をしっかり守ることが大切です。一定の時刻に睡眠薬を服用したら、30分以内に床につきます。アルコールとの併用は厳禁です。
アルコールは脳内でその効果を発揮する場所が睡眠薬と似ているため、併用すると思わぬ強い効果、副作用が出てしまうことがあります。また、自分の判断で勝手に睡眠薬をやめると、かえって不眠が悪化することがあります。医師・薬剤師の指示を守って服用することが肝要です。
●休みの日でも同じ時刻に起床する
朝の時間を有効に活用するために「早寝早起き」を実践している人も少なくありません。
最近の研究によれば、早起きが早寝に通じることがわかってきました。人間の脳には、生体リズムをコントロールする体内時計があります。私たちが朝起きて光
を浴びると、目から入った光の情報は、視神経を通じて脳内の視床下部にある視交叉上核という神経細胞の集まりに至ります。視交叉上核の中には体内時計があって、このタイマーは光によってリセットされます。
時計がリセットされた視交叉上核から、脳の松果体というところに、今から約14時間後に「メラトニン」というホルモンを分泌するよう指令が出されます。
夜になってメラトニンが分泌されると、体温や脈拍、血圧が下がり、眠気に誘われるようになります。メラトニンには、他のホルモンの分泌を調節するはたらきもあります。夜、人間が眠くなるのは、メラトニンとその分泌をコントロールする体内時計のはたらきによるものなのです。
したがって、早寝早起きのパターンにしたいときは、毎朝決まった時間に早起きして適度な日光を浴び、体内時計をリセットし、メラトニンが決まった時刻に分泌されるようにすればよいのです。昔からいわれているように、三文どころか、早起きは何にもまして、得な習慣ということが改めてわかってきます。
入眠の14〜16時間前に起きて日光を浴びる
朝の光を浴びる→体内時計リセット→14時間後にメラトニン分泌→2時間以内に眠気
●週末の寝だめは逆効果
メラトニンは2500ルクス以上の明るい光を浴びると脳内で生成されます。午前中に太陽の光を浴びることが大切です。たとえ雨や曇りの日でも、屋外は室内より5〜10倍程度明るいので、外に出るか窓側で太陽の光を浴びるように心がけましょう。
日が暮れて、夜、暗くなればなるほど、メラトニンの分泌量は増え、私たちを眠りへと誘います。したがって、夜の室内照明は明るすぎないほうがよいですし、睡眠中の室内は暗いほうがよいということになります。
日中、長い時間屋内にいると体が光を浴びる時間が短くなります。もともと春から夏の季節に比べて、冬季の睡眠時間は長くなりやすいのですが、日光に当たる時間が少ないと、体が「今は冬だ」と勘違いしてしまい、必要以上に眠ってしまうことがあります。週末に日頃の睡眠不足を解消しようと、昼近くまで寝ていると、かえって体のリズムは崩れ、その晩の寝つきが悪くなってしまいます。よく「週末に寝だめするから大丈夫」という人がいますが、かえって逆効果になってしまうことがあるのです。休みだからといって、朝寝せずいつもの生活のリズムを守り、早起きして散歩でもしましょう。毎日決まった時間に起きて、朝の光を浴びること。これが、快眠の秘訣です。
●規則正しい一日三食ですっきり目覚め
忙しいサラリーマンやダイエット中の女子学生など、朝食を抜いてしまう人が多いと間きます。

食の欠食率の年次推移(1歳以上総数)

食の欠食率の年次推移(1歳以上総数)


 
朝食抜きはダイエットにも逆効果ですし、朝の目覚めをも悪くしてしまうのです。
規則正しく毎日朝食をとると、朝食の1時間ほど前から胃腸のはたらきが活発になり、自然と目が覚めるようになります。
逆に夜はごく軽めがよいようです。食物の消化が終わっていないと、眠っている間も胃腸ははたらいているため、夜中に目が覚めたりするなど、睡眠の質が悪くなります。ただ、空腹で寝つけないときもあるでしょう。そんなときは、牛乳など、消化によい軽いものを少しだけとるようにしましょう。
食事とともに昼間の適度な運動も、快眠には欠かせません。30分程度の散歩や軽いランニング、水泳、体操、ストレッチなど、軽く汗ばむ程度の適度な運動は、心地よい眠りをもたらします。
激しい運動は逆効果です。好みや体力に応じて、長続きできる運動を心がけましょう。
食事も運動も規則正しく、習慣化することが快眠の秘訣です。
ちなみに私の睡眠時間はいつもだいたい7時間です。毎晩H時から12時の間に就寝し、毎朝6時に起床します。まず、最初にすることは、太陽の光をたっぷり浴びること。これで体内時計をリセットします。それから1時間ほど、ジョギングをしたり、ゴルフの素振りをして、朝食をきちんととってから出勤しています。このような睡眠重視の生活を始めて8年が経ちますが、以前のような疲れやイライラを感じなくなりました。いつでも心身ともにすっきりし、仕事にも趣味にも全力で打ち込むことができているのは、快眠のおかげだと思います。
以上が私のおすすめする快眠テクニックです。あまり睡眠時間の長さにこだわる必要はなく、朝の寝覚めもよく熟随感があれば、それでよいのです。ただし、たっぷり眠っているつもりでも、仕事や運転など日常生活に支障が出るほどの眠気がある場合は、睡眠の専門医に相談することをおすすめします。
「告白ー睡眠時無呼吸症候群ードキュメント⑥」会社役員Gさん(69歳)
●生まれ変わった自分に自信
夕食後、家族で過ごすリビングでのひととき。家族が楽しい会話を交わしているなか、ひとりだけいつの間にか眠っていました。テレビを見ていると、お酒を飲んでいるわけでもないのに、途端に眠くてたまらなくなるのだそうです。
夜だけではありません、昼間の重要な会議中にも、何度も居眠りを繰り返していました。この堪え難い眠気が気になりだしたのは、今から7〜8年前のこと。
いびきをかいていることは知っていましたが、たかがいびきだろうと、少しも気にしていませんでした。ただひとつ、気になっていたのは高血圧の症状でした。165/110の血圧は、高いときには上が「190にもなっていました。
あるとき、そんなGさんの症状を間いた医療に詳しい友人が、「SASの検査をしたほうがいい」というのです。驚いたGさんは、友人のすすめる虎の門病院を受診しました。自覚症状や血圧の状態から、SASが疑われたので、精密検査を受けたところ、なんと結果はAHI(無呼吸・低呼吸指数)50回/時間の重度のSAS。さっそくCPAP治療が開始されました。
「こんな機械をつけて眠れるわけがない」治療を始める前にGさんはそう思ったそうです。「ぐっすり眠れるから」とその効果を説明する医師の言葉にも、疑念をもっていたとも。しかし、どうでしょう。最初のうちは確かに違和感があったものの1週間から10日ほどでマスクにも慣れ、何よりいびきをかかなくなり、ぐっすり眠れるようになったのです。それからというもの、このマスクはGさんにとって手放せないものとなりました。
治療を開始して2年以上が経過した今、Gさんは、その効果を十分に実感しています。
まず、体重が少しずつ落ち始めました。それにCPAP治療を始めてから2年間、風邪を一度もひいていません。お酒の好きなGさんですが、飲みすぎたと思った次の日もまったく二日酔いにならなくなり、体力も戻り、生まれ変わったような自分に自信がわいてきたそうです。生活のすべての面で若かった頃の活力が戻ったようだといいます。「老い」は、年齢のせいだけではなく、質のよい睡眠がとれていないせいだったようです。それがCPAP治療を始めたことで上質の睡眠をとれるようになり、さらに健康的な生活が送れるようになったのです。Gさんは今、第二の人生を健康な体で元気に思う存分楽しんでいます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策の現状

●潜在患者はもっといる!
SASに対する人々の理解はひと頃に比べれば格段に深まっていますし、患者の数も年々増えているのも事実ですが、日本におけるこの病気の実態は正確には把握できていません。
山陽新幹線の居眠り運転でSASが注目された2003年当時、約2万人だった国内のSAS患者数は、現在およそ十数万人。過去の研究からSAS患者は人口の3〜4%と推計されていますが、筑波大学の調査によれば、中年層の一般市民で9%がSAS患者であるとするデータがあるように、実際にはもっと多くの潜在患者がいると考えるべきかもしれません。
2007年4月下旬に発表された東京地下鉄保健医療センターの調査によれば、東京メトロに勤務する全運転士を対象に、PSG(睡眠ポリグラフ検査)で精密に検査したところ、適度な眠気や倦怠感などの症状があり、治療を必要とするSASと診断された者(中等症〜重症)は10・4%(1303人中135人)にも上りました。このように運転士など職業ドライバーの場合、中高年男性が多く、しかも昼夜の勤務交代が多いため、この病気の患者の割合は一般よりも高いと考えられます。こうした潜在患者の掘り起こしのために、国や企業によってさまざまな取り組みが行われていますが、その対策は十分とはいえません。
●SAS患者は事故を起こしやすい
「高速道路を運転していて、気がついたらフェンスが目前だった」SASのトラック運転手の多くはこのような体験をしているといいます。その大きな原因である眠気についても、不規則な仕事によるものだと勘違いしているドライバーが少なくありません。
これまでの多くの研究によれば、SASは運動能力を低下させる、SASによる居眠り運転が原因で発生する事故はとくに、
・ひとりでの運転中
・高速道路や郊外の直線道路を走行中
・渋滞での低速走行中
に多いといわれています。また、重度のSAS患者は短期間に複数回の事故を引き起こしがちだともいわれます。SASの症状別に、過去5年間の事故発生率を調査したところ、一般の平均事故発生率が5・5%だったのに対して、「睡眠1時間当たりの平均無呼吸・低呼吸回数」が、「5〜15回」で7・3%と一般の平均をヒ回り、「60凹」を超える重症患者では、25・5%と、一般人の約5倍にもなりました。
逆に、CPAP(シーパッブ)治療後には自動弔事故のリスクを減らすことができるとするデータもあります。アメリカのFindleyらの運転シミュレーターを用いた研究によれば、患者の衝突回数はCPAP治療後に半減し、さらにGeorge QのSAS患者の運転記録の研究では、CPAP治療開始前後3年間の衝突回数を比較すると約3分の1に減少し、その数値は健康な人たちとほぼ同じになることがわかっています。

SAS患者の衝突回数はCPAP治療により半減する

SAS患者の衝突回数はCPAP治療により半減する


これまで述べてきたように、SAS(睡眠時無呼吸症候群)は単なる睡眠障害とは違い、さまざまな重大な疾病の要因にもなります。これだけ多くの人が、この病気に気づかないままでいることは、個人にとっても、社会にとっても多大な損失です。とくに、事故が人命に直結してしまう交通・運輸関係では、潜在的な患者を掘り起こす対策を進めることは急務であると考えられます。
●患者絞り込みの難しさ
2003年山陽新幹線の居眠り運転をきっかけに、交通や運輸など職業運転手を抱える業界では、SAS患者がいないか確認作業を行い、国土交通省も業界に従業員へのSAS(睡眠時無呼吸症候群)検査の徹底を通知。マニュアルを作成し、昼間の眠気度をチェックするESSの質問票を添付して、いびき、呼吸停止、日中の眠気、集中力低下など11症状の状況と合わせて運転手に自己診断を求め、SASが疑われる場合は、ただちに医師の精密診断を受けるように指導を行ってきました。
このとき、鉄道各社は国土交通省の実態調査を受け、同省が推奨するESSに取り組みました。JR西日本では全運転士3247人のうち、最終的にSASの疑いありとされたのはわずか17人、全体のO・5%に過ぎませんでした。なぜこのような不自然な結果が出てしまったのでしょうか。それは、「SAS(睡眠時無呼吸症候群)と診断され
たら、乗務できなくなるのではないか」と誤解した運転士の多くが、嘘の回答を記入したからにほかなりません。
ESSは自己診断によるチェックテストですから、正直な申告がなければ、役に立ちません。
実はその有効性について、医療現場からは早くから次のような声があがっていました。
①ESSのような自己診断では、職業運転手は仕事上の差別を恐れて正直に申告しないのではないか。
②慢性的な眠気を疲労と誤解している可能性がある。
③慢性的な睡眠不足に陥り眠気を自覚できなくなっている可能性がある。
このように、ESSの有効性には当初から疑問符がついていました。結果は危惧されたとおりのものとなり、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の発見が遅れる危険性の認識不足という現状が浮かび上がったのです。
●自己診断テストには限界がある
自己診断テストだけに頼れない理由はほかにもあります。
私が勤務する虎の門病院に来院したSAS(睡眠時無呼吸症候群)の患者102人を対象に、PSG検査のための入院時と、CPAP治療導入Iカ月後、及びこの時点で治療前の状態を思い起こして再調査したESSの値を調べ、比較してみました。
入院時におけるESSの平均点数は10点ほどですが、CPAP治療を行うとおおむね5点程度に減ります。この時点でもう一度、治療前にどの程度眠気があったのかということを回想してもらい、再度ESSの点数をつけると、当初の初診時の点数に比べて点数が増える傾向がみられました。
このことから、CPAP治療前の本当の熟睡を知らない患者では、ESSの点数が低めになる傾向があり、点数がそれほど高くないからといって、自分は無呼吸でない、と安心し放置してしまうという問題点が浮き彫りになりました。
眠気の自覚と睡眠呼吸障害の有病率との関係

眠気の自覚と睡眠呼吸障害の有病率との関係


注1)睡眠呼吸障害とは、睡眠中の無呼吸や低呼吸などの呼吸障害のこと
注2)RDIとは、「呼吸障害指数:Respiratory Disturbance lndex」の略であり、記録1時間あたりの無呼吸と低呼吸の数の和のこと

ESSだけに頼れないもうひとつの理由

ESSだけに頼れないもうひとつの理由があります。
近年の研究では、中等度〜重度のSASに罹患している場合であっても、日中に強い眠気を感じない人が、多くいることが判明しています。
2006年に筑波大学において、トラック運転手5247人を対象に眠気の自覚と睡眠呼吸障害との関係を調査したところ、たしかに日中に強い眠気を感じている人ほど重度の睡眠呼吸障害のある割合が高いのですが、眠気を感じない人のなかにも中等度〜重度の睡眠呼吸障害があるケースが多くみられました。
これはSAS(睡眠時無呼吸症候群)による慢性の睡眠不足状態により、自覚的な眠気を強く感じない状態になっていることや、コーヒー、紅茶、清涼飲料水に含まれるカフェインや喫煙でのニコチン摂取による覚醒効果の結果だと考えられています。日中に強く眠気を感じない人であっても、SAS(睡眠時無呼吸症候群)が疑われる場合は、病院で検査を受ける必要がある、というわけです。
こうした実情を受け、国土交通省は、主にESSだけに頼る従来の手法を改め、2007年6月に改訂されたマニュアルでは、早期発見のために、より精密なスクリーニング検査の必要性を打ち出しています。
●改訂のポイント
2007年6月1日に国土交通省から通知された今回のマニュアル改訂には、いくつかの注目すべきポイントがあります。
もともとのマニュアルは、山陽新幹線における事件を受けて、その約1ヵ月後の2003年3月18日に定められた「『睡眠時無呼吸症候群』に注意しましょう!」という事業者・運転者向けの平易なものでした。しかし、作成から4年という年月が経ったこと、また近年の研究成果を反映させるため、今回大幅にその内容が見直されました。
この新しいマニュアルでは、前述の中等度〜重度のSAS(睡眠時無呼吸症候群)に罹患していても日中に強い眠気を感じないという事例が近年の研究によって判明したことを強調し、自覚症状がない人でも、スクリーニング検査を受けることの重要性を説いています。
また、その際のスクリーニング検査の方法として、従来のパルスオキシメトリ法に加え、フローセンサ法を紹介しています。
今回のマニュアル改訂は、国家のSAS(睡眠時無呼吸症候群)対策のこれからに期待が持てるできごとといえそうです。
●自宅でもできるスクリーニング検査
確定診断のための精密検査をするなら、病院に1泊する必要があり、しかも2万〜4万円の費用がかかってしまいます。そこでおすすめするのがスクリーニング検査です。これは、SASの早期発見を目的に、より多くの人を対象として、精密検査が必要かどうかを判断するための簡易な検査です。
現在主流の「パルスオキシメトリ法」や、「フローセンサ法」などのスクリーニング検査で使用される機器は、いずれも小型で軽量なので、自宅に持ち帰り普段通りの生活のなかで検査を行うことができます。ちなみに、この検査で使われるパルスオキシメーターは、2006年の診療報酬改定によって保険適用となっています。
なかでも、フローセンサ法によるスクリーニング検査は、企業検診を中心に広まりつつあります。使用される機器は、自費で5000円の負担ですみ、患者が医療機関に出向く必要がなく、呼吸の停止回数がわかるため精度が高いのがメリットです。企業検診を中心に広まりつつあるようです。
これらの結果をもとに、睡眠ポリグラフ検査、あるいは簡易型PSG検査を用いて精密検査を実施し、SAS(睡眠時無呼吸症候群)か否かの確定診断が行われ、その重症度が判定されます。ESSの点数はあくまでも参考として、SAS患者によくみられる肥満や高血圧などの症状、状態、またはいびきや無呼吸が指摘されているのであれば、迷わずにこれらのスクリーニング検査を受けてみるのがいいでしょう。
ちなみに、フローセンサ法を採用しているのは筑波大学大学院准教授の谷川武氏が代表を勤めるNPO法人「睡眠健康研究所」です。同研究所では現在、睡眠医学に対する専門情報を一般に提供していくとともに、希望者に対するSASのスクリーニング検査を行っています。
検査に使われるのは自宅で簡単にSAS(睡眠時無呼吸症候群)を検査できる簡易機器「ソムニー」です。この機器には睡眠中の気流状態を測定するフローセンサ法が使用されているため、従来のパルスオキシメータ法のように被験者の体型、性別などによって結果に差異が出ることがなく、睡眠中の無呼吸の程度をより確実に測定してくれます。
使用方法はいたって簡単で、睡眠健康研究所から送られてきたソムニーを鼻の下に粘着テープで貼付けて、そのまま一晩寝るだけ。あとはこれを同研究所に送り返し、判定結果を待つのみです。
ソムニーを研究所に送ってから判定が出るまでに要する期間は約2週間。検査結果は「A=正常」から「E=要医療機関受診」までの5段階で判定され、結果によっては医療機関の紹介もしてくれます。ソムニー返却時の送料は受診者負担ですが、検査費用は個人の場合で5500円、法人からの依頼の場合はI人当たり5000円という低価格に設定されています。
このソムニーによる検査のメリットは、なんといってもその利便性にあります。ひょっとしたら自分はSASではないだろうか、という疑問を持ってはいても、日々の忙しさから医療機関に行く時間を捻出できない、という人は多いでしょう。しかしながら、気のせいかもしれない、とか、ちょっと疲れがたまっているだけ、などと言い訳を作って検査をせずに放っておくと、SAS(睡眠時無呼吸症候群)は知らないうちに進行していきかねません。何度も述べていますが、SAS(睡眠時無呼吸症候群)はそれ自体でも十分健康に害を及ぼす上に、恐ろしい合併症をも引き起こす病気です。放置しておいては命の危険にもつながりかねません。
ソムニーによる検査ならば、医療機関に直接足を運ぶ必要はなく、検査自体も睡眠中に行うものなので余計な時間を取られることもありません。少しでもSAS(睡眠時無呼吸症候群)ではないか、という心配を抱いている人には是非利用してもらいたい検査方法です。
●より徹底した潜在患者の掘り起こしを!
以上のような背景から、業界団体では積極的な取り組みが進んでいます。その代表例が、社団法人全日本トラック協会の取り組みです。同協会では、1人でも多くのSAS(睡眠時無呼吸症候群)患者の早期発見、早期治療を目指し、2005年よりSASスクリーニシグ検査費用の半額を助成しています。
各都道府県のトラック協会もそれぞれ意欲的な取り組みを見せています。埼玉県トラック協会では全日本トラック協会からの予算枠とは別に独自枠を設けて、事業者負担をドライバー1人当り500円にまで削減。茨城県のトラック協会は県の予算獲得により、全日本トラック協会の助成金とあわせて事業者負担をゼロにする助成を行っています。このように、半数以上の各都道府県トラック協会は独自の助成を行っています。
SASへの積極的な取り組みは業界団体によるものだけではありません。日本通運株式会社では、2007年3月より同社グループ内の全運転手(日本通運18000人、関係会社7000人の合計約25000人)を対象に、スクリーニング検査を実施しています。検査費用の約5000円の全額を会社(一部を全日本トラック協会のSASスクリーニング検査助成制度を活用)が負担しています。検査は都道府県トラック協会の指定検査機関もしくは全日本トラック協会が指定するNPO法人睡眠健康研究所に依頼しています。今後は5年に一度の定期検査をしていく予定とのことです。
業界での対策には、まだまだその取り組みに差がありますが、以上で紹介したような客観的なスクリーニング検査が実施されるべき時代が到来したといえます。
●事業者が果たすべき役割
SAS(睡眠時無呼吸症候群)は適切な治療を行えば、確実に効果が期待できる病気です。にもかかわらず、SAS(睡眠時無呼吸症候群)患者がそれを放置したまま運転業務を続けることは、自分だけでなく他人の命も大きな危険にさらすことになります。とくに、職業運転者は、安全運転が社会的な使命であり、SAS(睡眠時無呼吸症候群)だとわかった場合、適切な治療を受けることが運転業務を継続するうえで不可欠になります。
たとえば、鉄道のATS(自動列車停止装置)で何百億円というお金を使うのであれば、スクリーニング検査を実施するほうが、それよりもはるかに少ない金額で多くの人を確実に救うことができるでしょう。とくに鉄道運転士は全国でも二万数千人ほどしかいないので、1億円もかければ十分な検査ができると思います。事業者には、運転者や家族と一体になって、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の早期発見・早期治療に取り組む社会的責任があります。
民法では、個人が社会に損害を与えた場合、監督義務を負う職場や使用者の責任を問うこともあると規定されています。つまり、SAS(睡眠時無呼吸症候群)を放置すれば、企業や団体が監督責任を問われる可能性もあるのです。
当然のことですが、治療すれば健康な人と同じように安全運転を続けていくことができるので、疑いがあるから、またはそれと判明したからといってただちに業務からはずすなどという差別的な扱いは厳禁です。SAS(睡眠時無呼吸症候群)と診断されることによって不利な扱いを受けることがあっては、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の早期発見の妨げとなってしまいます。CPAPは、近視の人がメガネをかけて運転しているのと同じことなのですから。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)による交通事故や労働災害の損害は、潜在患者の早期発見や早期治療によって、回避できるものです。患者をとりまく企業や業界、社会が一丸となって取り組むべき課題だといえるでしょう。
SASであることを隠し、治療を受けずに運転業務を続けることが、本人だけでなく会社、社会のいずれにとっても非常に不幸なことであるということをあらためて知っていただきたいと思っています。
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