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睡眠時無呼吸症候群は病気です

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睡眠時無呼吸症候群は病気です

●健康は寝ている間につくられる
「栄養」「運動」「休養」という3つは、いずれも健康づくりに欠かせない大切な要素です。
空前の健康ブームにある私たちの身のまわりには、体にいいとされる食事や運動方法など、健康に関する情報があふれているにもかかわらず、その三本柱のうち、私が最も重要だと考える「休養」には、これまでほとんど関心がはらわれてこなかったのが実情です。
適切な「休養」は、肉体的な疲労のみならず精神的なストレスをも解消してくれる、大切な要素であり、明日への活力の源になるものです。そのなかでも重要なものは、私たちが1日の4分の1の時間を費やしている「睡眠」です。
体にいいとされている栄養や運動があるように、睡眠にも良質な睡眠とそうでないものがあります。それでは、良質な睡眠とはどのようなものでしょうか?
良質な睡眠とは何か、睡眠が健康や日常にどのような影響を与えるのか、そしてこのページの主題でもある睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome :SAS)について解説していきます。
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●注目される睡眠の重要性
24時間眠らない社会が拡大し、私たちの睡眠を取り巻く環境は大きく変化しました。しかし本来、人間は日中に活動し、夜眠る動物です。睡眠は、神経系、免疫系、内分泌系などの機能と深く関わっており、人間を含む動物には絶対に欠かせないものなのです。
1990年代から、アメリカでは睡眠が健康に与える影響が注目され始め、睡眠に関する医療・研究態勢が急速に整えられています。それに伴い、主に睡眠障害と生活習慣病についての研究が進められ、睡眠の質が健康に与える影響の大きさが明らかにされつつあります。
日本において、「睡眠」が大きな注目を集めたのは、ある事件がきっかけでした。JR山陽新幹線で2003年2月26日に起きた、「居眠り運転」です。新幹線は、居眠りした運転士を乗せ、最高時速270kmで約9分間、約31kmにもわたり走り続けました。さらに、同年10月にも名古屋鉄道で居眠り運転による事故が発生し、こちらは乗客4人が負傷する事故となりました。
これらの事故が大きな注目を集めたのは、事故そのものの重大性だけではなく、運転士の居眠りが病気によるものだったことが明らかにされたからでした。
この運転士は数年前から熟睡できず、昼間の激しい眠気に悩んでいました。ちなみに、この運転士の体重は100kgを超え、高血圧気味だったこともわかっています。そして運転士の抱えていたその病気こそ、「睡眠時無呼吸症候群」だったのです。
●眠っている間に呼吸が止まる!?
睡眠中に何度も呼吸が止まってしまうという「睡眠時無呼吸症候群」(以下SAS)は、なぜこれほどまでに注目を集めるようになったのでしょうか。それはおそらく、この病気がけっして珍しいものではないこと、とくに中年男性の多くが身に覚えのある「いびき」が関連していること、睡眠中に呼吸が止まるということへの恐怖からではないかと思われます。
SASを引き起こす主な要因である「いびき」をかく人は中高年男性の約6割、日本全体では約2000万人いるとされ、そのうちSASの患者は300万から500万人ともいわれています。これは気管支喘息患者に匹敵する有病率(特定の集団内における、ある一時点でのその病気にかかっている人の割合)なのです。
近年では、成人男性の3分の2に睡眠障害がみられ、そのうち13%がSAS患者であると
いう従来の推定値をはるかに超える調査結果が発表され、社会に大きな衝撃を与えました(京都大学研究班/角谷寛准教授)。
しかし、実際に治療を受けている患者はわずかに十数万人程度にとどまります。つまり、残りの数百万人もの人がまだ治療を受けることなく、さまざまな症状に悩まされているはずなのです。
なぜなら、欧米に比べて睡眠医療の専門機関が少ないこと、また治療しても治らないと思い込まれているからです。
●「いびき」は病気のサイン
この病気の問題点は、本人に「SASである」という自覚症状がほとんどないことにあります。その症状がみられても、「たかがいびき」だろうと、それほど深刻に考えることなく、治療を受けずにすます人が多いのです。
しかし、「いびき」は、家族の眠りを妨害するだけでなく、人間の健康に致命的な影響を及ぼすことが近年の研究によって明らかにされています。
さらに主にいびきによって引き起こされるSASは、放っておけば生活習慣病やED(勃起障害)、うつ病などの重大な合併症を起こしかねない病気なのです。いびきはもはや、治療すべき病気であるといえるのです。

いびきのメカニズムと危険ないびき

いびきは、睡眠中の呼吸障害です。
風邪を引いたときや疲れているときなど、一時的には誰にでも起こりうるものです。しかし、何らかの原因でいびきが慢性化し睡眠中に呼吸障害が続くことになれば、体は慢性的な酸素不足に陥り、いびきは心身にさまざまな悪影響を与えていくことになります。
まずは、いびきの仕組みをみてみましょう。
人間が吸い込んだ空気は、空気の通り道を通って体内に入ります。鼻腔から気管支のあたりまでの空気の通り道は、上気道と呼ばれます。この上気道が、何らかの理由で狭くなり空気が通りにくくなると、いびきが発生します。
人ってきた空気が狭いところを無理やり通ろうとすると、当然、空気抵抗が大きくなります。そのときに、狭くなった部分の粘膜や分泌物が振動したり、摩擦音が発生します。これらの音がいびきなのです。

のどの構造

のどの構造


振動して音を出す部位は、主に軟口蓋(なんこうがい)や口蓋垂(のどちんこ)、舌根(ぜっこん=舌のつけ根)などで、なかでも軟口蓋がとくに振動しやすく、
いびきのほとんどはこの部分が原因とされています。
上気道には、狭くなっていたり凹凸があったりと、空気が通りにくくなっているところがあります。それは、人ってくる空気を温めたり湿らせたり、ほこりなどの異物を排除して肺に入れないようにするためのもの。気道は、ちょっとした障害が起こると空気の通り道がすぐに狭くなってしまう、いびきが発生しやすい構造となっているわけです。
もちろん、すべてのいびきが危険であるというわけではありません。
ただし、いびきが朝までひっきりなしに続く、仰向けで寝るといびきが大きくなる、さらに最近になっていびきが急に大きくなり音も変わってきたという場合は、SASを疑ってみるべきでしょう。
SASの患者がかくいびきのもうひとつの特徴は、しばらく止まったかと思うと、「ガガッガガッ」という苦しげな音とともに再開されること。いびきが止まっている間は、呼吸も止まっているため、本人は無意識のうちに空気を大量に取り込もうとします。「カハッ」という音は、このときに生じるものなのです。
●いびきに気づかない人のほうが多い
とはいえ、眠っているときの状態を自分で知ることはできません。いびきをかいていることを知らずにいる人のほうが実はほとんどなのです。
人に指摘されずとも、無呼吸に伴う窒息する苦しさや、いびきの音で自然と夜中に目を覚ます人もいますが、これは稀な例です。
まずは、寝室をともにする家族に寝ている間の自分の様子をみてもらうのがいいでしょう。実際、受診者の多くが、隣りに寝る配偶者からいびきを指摘されたと告白しています。
とくに配偶者の睡眠時の無呼吸やいびきの異常を発見するのは、妻であるケースがほとんどです。いびきをかくのは男性が多いですし、夫が先に寝てしまうことが多いからだと思われます。
一方、中高年の女性の睡眠異常はわかりにくく、重症で発見されることが多いのです。
とくに閉経後で肥満傾向の女性は要注意です。閉経後は女性も睡眠時無呼吸症候群になる人が増え、しかも男性以上に合併症が重いという報告もあるほどです。女
性でも注意をはらうにこしたことはありません。
気をつけたいこんないびき
○仰向けになると大きくなる
○強弱がある
○朝までずっと続く
○最近急に大きくなり音も変わった
○しばらく止まった後、「ガガッ」という音とともに再開される
●「閉塞型」と「中枢型」の無呼吸
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は「10秒以上続く無呼吸が、一晩(7時間以上の睡眠中)に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起こる」と定義されています。さらに、無呼吸が起こる原因によって、タイプが大きく「閉塞型」と「中枢型」の2つに分けられます。
「閉塞型」は、睡眠中に空気の通り道である上気道が閉じてしまい、呼吸ができなくなるもの。ほとんどのケースはこのタイプであり、本書でも、こちら(「閉塞型」)を対象に解説していきます。
健康な人の場合でも、睡眠中は筋肉が弛緩するので、仰向けに寝ると舌が垂れ下がって上気道は多少狭くなりますが、閉じることはありません。ところが、「閉塞型」の睡眠時無呼吸症候群の人は、その舌の沈下が引き金になって無呼吸が起こるのです。
「中枢型」は呼吸をつかさどる脳の中枢の働きが異常をきたして無呼吸を起こすもので、心不全の患者にも症状がみられます。「中枢型」の無呼吸によって心機能をさらに悪化させてしまう場合もあります。また、SASにはI回の無呼吸で閉塞型から中枢型に移行する「混合型」もあります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)をチェックする簡単な方法

前述のようにSASの特徴は、いびきがいったんやんだ後、しばらくして大きな音とともにいびきが再開されることです。これを睡眠中に何度も繰り返すのです。
静かになっている間、その人の呼吸は止まっています。再開されたときの「カハッ」というけたたましい発声は、無呼吸状態の息苦しさに耐えられず再び呼吸を始めたときのものです。
この状態が慢性化すると、心臓や全身の血管に負担がかかり、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など、体にさまざまな悪影響がみられるようになります。いびきをかく人でSASを疑うべきかどうかを自分で判断したい場合には、起床時の自覚症状をチェックするのがよいでしょう。
熟睡感がない、頭が重い、頭痛がする、前日の疲れがとれないなどの症状がある人はSASの疑いが濃厚です。
昼間にあらわれるSASの特徴的な自覚症状は、強烈な眠気です。仕事への集中力がみられない、意欲が持続しない、イライラしやすい、血圧が高いなどさまざまな症状も出てくるはずです。
これらの症状にあてはまる人、とくにいびきをかいている人は、SASの疑いがあります。早いうちに検査をしてみるべきでしょう。
とくに夜間顕尿は多くみられる症状です。無呼吸後の呼吸再開時に大きないびきをかくことで腹圧が上がり尿意をもよおすのです。
また、尿を出させないようにするホルモンの分泌が低下するために起こることもあります。そのため、前立腺肥大だと勘違いし泌尿器科を受診するケースが少なくありません。
SASの主な症状
○いびきがしばらく止まり、大きないびきで呼吸が回復
○寝つきはよいが、熟睡感がない
○睡眠中に息苦しくなり目覚めることがある
○夜中によくトイレに起きる
○起床時に眠気、だるさ、頭痛がある
●いびきや無呼吸は重力のせい!?
ではなぜ、睡眠中に呼吸が止まってしまうのでしょうか?
睡眠時の無呼吸は前述したように上気道が狭くなることで発生します。健康な人でも仰向けに寝たときには、のどの軟口蓋や口蓋垂、舌根などが重力で下のほうに下がってしまいます。
さらに、睡眠中はのどのまわりの筋肉がゆるみやすくなっているため、気道はより狭くなる傾向にあります。前述したように「いびき」は、狭くなった気道を、体内に入ってきた空気が無理やり通るときに起こる摩擦音です。気道が狭くなったところの粘膜や、ゆるんだのどの筋肉などが振動して発生します。
いびきや無呼吸の発生において重力が主な役割を果たしていることを裏付ける研究があります。2001年米国で発表されたスペースシャトルの乗組員5人が協力した研究によれば、重力のほとんどない宇宙空間では、睡眠中のいびきや無呼吸が激減することがわかりました。
スペースシャトルに乗り込む前に、地上での睡眠中のいびきの程度を測定したところ、5人の平均いびき時間は、睡眠時間の16・5%。ところが、宇宙空間でのミッション中は、O・5%まで激減。ほとんどいびきをかくことなく眠れていたというわけです。
このことからも、いびきは重力によって口蓋垂や舌根が沈み込み、上気道が狭くなって起こるものであることがわかります。

無呼吸発生のメカニズム

無呼吸発生のメカニズム


 
しかし、無呼吸の原因はそれだけではありません。肥満や東アジア人独特の身体的特徴もあるといわれています。
つまり、「大きなおなか」「短い首」「小さなあご」などの体型的条件が加わると、無呼吸が起こりやすくなります。さらに、飲酒や高すぎる枕、仰向け寝などの要因も無視できません。
呼吸が止まっている間は、気道が閉塞し、いびきをかきたくてもかけない窒息状態になっています。こうした無呼吸状態を一晩に何度も繰り返すのがSASなのです。
●年間1500億ドルの損失
ところで、SASは経済的にも国家規模の損失を与えることがあるのをご存じですか。たとえば、1993年に米国睡眠障害調査研究委員会が米国議会に提出した報告書「Wake Up America」(目覚めよアメリカ)は、多数の交通事故のほかに、石油タンカーの座礁事故やスペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故、スリーマイル島原発事故などの大惨事にも、睡眠障害が関連していると発表し、そのセンセーショナルな内容が大きな話題となりました。
この報告書では、これらの大事故だけでなく、日常生活の些細なものまで含めると、睡眠障害にかかる医療費などの諸経費は、1990年の1年間で159億ドルにのぼるとしています。
さらに、同報告書は睡眠に関連したミスや事故による補償コストについては、正確なデー夕はないとしながらも、保険関係エコノミストの試算として年間460億ドル。睡眠不足、睡眠障害による生産性低下となると年間1500億ドルもの損失があるのではないかとしています。
日本でも、不眠症や睡眠不足によって日本国内で生じる経済損失は、年間約3兆5000億円という試算が報告されています(日本大学医学部/内山真教授)。同調査によれば、作業効率の低下による損失は約3兆700億円、欠勤や遅刻、早退による損失は約1600億円、交通事故による損失は約2400億円にものぼるのです。
睡眠の問題による経済損失総計

睡眠の問題による経済損失総計


 

米国のSAS対策の進展

これらの報告を受けた米国政府は、SAS対策に莫大な予算を設け、国をあげて真剣に取り組み始めました。それ以降、米国全土に3000の睡眠センターが設置され、睡眠に対する教育システムが確立されるようになりました。
一方、わが国における対策は米国に比べ、遅れているといわざるをえません。しかし2003年、SAS患者であった新幹線運転士の居眠りによる運転ミスが大々的に報道されたことをきっかけに、大きな注目を集めるようになりました。
これを受け、国土交通省はSASの主な症状や診断・治療方法などを紹介するマニュアルを作成し啓蒙活動を開始。昨今では、職業運転手を雇用する運送会社などの企業もSASの早期発見、居眠り運転防止に本格的に取り組み始めています。
●睡眠不足の原因を探る
政府が推進する「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の報告書から、成人の21・3%が睡眠不足、21・4%が不眠、14・9%が日中の過剰な眠気に悩んでいることがわかっています。
さらに、このようなケースが事故につながった例は、人身事故を含む交通事故で15・4%、産業事故や重大な医療事故では50%以上ともいわれます。もちろん、すべてがSASによるものではありません。不規則な生活による睡眠不足なども含まれます。ただ、そのような睡眠不足は生活を改めれば解消されますが、SASの場合は治療が必要です。放置しておけば、さまざまな事故を誘発しかねません。その最たるものが交通事故でしょう。
●重症患者の事故率は約5倍!?
ここで注目したいのは、1988年、米国のt‘ln(11eyらによる調査です。少々古いデータですが、対象はバージニア州の運転・事故記録です。この調査からは、SASの恐るべき実態が明らかになりました。
なんと、SAS患者による事故の発生率は健康な人のおよそ7倍にもなるというのです。
しかも、この病気の重症度と事故率は比例するというではありませんか。
さらに、米国のある調査では、驚くべきことにハイウェイのトラック運転手の実に75%がSAS患者だったとの報告もあります。日本にも同様の報告があります。2006年に警視庁が都内の運転免許更新者3235人に行ったアンケート結果です。
この調査には、全体の6・8%が「自分はSASではないかと思う」、1・1%が「SASと診断された」と回答。「自分はSASではないかと思う」と答えた人の23%が居眠り事故を起こしたり、起こしそうになった経験があり、「診断された」人では、32%が実際に居眠り事故を起こしており、その割合は、SASと診断されていない人の約3倍でした。
このように、この病気と交通事故の間には、深い関係があることがわかっています。とくに重症患者ではその傾向は顕著です。
この患者を症状別に5つのグループに分け、一般ドライバーと過去5年間の交通事故発生率を比較した調査では、軽度の場合はそれほど事故発生率に差がなかったのに対して、睡眠時の無呼吸・低呼吸(呼吸によって取り込まれる空気の量が10秒以上にわたり、50%以上低下すること)が1時間あたり60回以上の重症患者ではその確率が約5倍に跳ね上がっていま
す。

SAS患者の無呼吸・低呼吸の回数別に見た事故率の比較

SAS患者の無呼吸・低呼吸の回数別に見た事故率の比較


「高速道路を走行中、気がついたら側壁に衝突していた」「一瞬目をつぶったつもりが、気がついたら前の車に衝突していた」「月にI回は運転中に居眠りしていた」……。これらはすべて過去に居眠り事故を起こしたことがあるSAS患者のコメントです。
この病気の恐ろしさは、眠りを妨げ健康に悪影響を及ぼすだけでなく、眠気や著しい集中力の低下が仕事上のミスや居眠り運転を招き、仙人の命をおびやかす大事故につながる危険性を秘めている点にあります。
●ホルモンの乱れが子どもの無気力を招く子どもの睡眠障害が成長の遅れや食欲不振を招いたり、イライラ、集中力不足となってあらわれたりするケースが多いことが、最近の研究でわかってきました。
テレビやゲーム、塾通いの影響で夜ふかしの子どもが増えると同時に、SASの子どもも増えています。実は、この病気の患者の約2%は、学齢期の子どもです。
成長過程にある子どものSASは、大人の場合よりもずっと深刻です。成長ホルモンの分泌が減少するために発育が遅れたり、極度の睡眠不足からくるだるさ
が不登校や引きこもりのきっかけになるなど、体だけでなく心にも深刻なダメージをもたらすからです。
成長ホルモン24時間分泌パターン

成長ホルモン24時間分泌パターン


心身の発育を妨げないためにも、子どもの「いびき」は要注意なのです。
文部科学省が2005年、全国の小学4年生から中学3年生までの約6300人に対して行ったアンケート結果によると、小4で5・1%、小6で11・8%が午前0時以降に就寝しています。中3ではその割合は64・4%にものぽっています。
大人の場合、睡眠が足りないと、日中に居眠りなどをして眠気を解消しようとしますが、子どもは、眠気を意識できないために、動き回ったり、イライラしたりして、眠気を打ち消すような行動をとることがあるといわれています。
「寝る子は育つ」という言葉に象徴されるように、子どもが健康にスクスク育つためには、睡眠が非常に重要なのです。なぜなら、骨や筋肉の成長を促す働きのある成長ホルモンが最も分泌されるのは、眠りが深くなるときだからです。
SASの子どもたちは、繰り返し起きる無呼吸のために眠りが浅くなり、成長ホルモンの分泌が停滞するなど、体の発育が阻害されがちです。
日常的に寝不足の状態になると、頭はボーツとしたままで、授業にも集中できず、成績にも悪影響を及ぼすことでしょう。慢性的な体の倦怠感から運動が苦手な子どもになってしまうこともあります。
こうした子どもは、いつもイライラしていたり、突然飲肌が起こしたりしがちです。また、眠気をまぎらわせるために無意識のうちに体を動かす傾向があります。いびきをかく子どもは、ADHD(注意欠陥・多勤性障害)になる可能性が、そうでない子どもの4倍高くなるという報告さえあります(米国シンシナティ子ども病院の研究チーム)。

子どものいびきの原因

このように、子どものいびきは恐ろしいものです。
ごく普通の風邪で扁桃腺を腫らしても、それによって気道が狭くなれば、一時的ないびきの原因になります。慢性的な子どものいびきやSASは、扁桃の肥大でのどがふさがれて起きるものがほとんどです。
また、両親のどちらかがいびきをかく場合、その子どもがいびきをかく確率は、両親がともにかかない子どもの3倍になる、という調査結果もあります(前述シンシナティ子ども病院の研究)。
しかし、これらは適切な治療を行えば治ります。子どもには、治療すれば治りやすいという特徴もあるのです。きちんと治療することで、情緒不安定や落ち着きがないなどの症状も改善された例が少なくありません。また、ADHDを疑われた子どもがSASだと診断され、治療によって問題となっていた行動も改善したという報告があります。
もしも、いつもいびきをかいているなど、子どもの睡眠に問題があり、さらには集中力不足や反抗的などの様子に気づいたら、とりあえず、睡眠の専門医に相談してみましょう。
子どものSAS早期発見のポイント
○寝ているときにいびきをかいたり、苦しそうに寝返りをうつ
○発育や学業の遅れがある
○注意力が散漫で落ち着きがなく、
○夜尿(おねしょ)を繰り返す
○無気力
○疲れやすく、すぐにイライラしたり不機嫌になる
○無呼吸時に胸が凹む
●新生児の突然死にも関係?
新生児の呼吸をつかさどる中枢神経は、とても未熟な状態にあります。そのため、呼吸が不規則になったり、ときには無呼吸を起こしてしまうこともあります。
新生児の無呼吸は、そう長いものではなく、5〜8秒ほど。生まれたばかりの赤ちゃんの約7割にこのような呼吸停止がみられます。生後4ヵ月あたりから徐々に規則的な呼吸ができるようになりますから、そう心配することはありません。ただし、呼吸停止の時間が異常に長い場合は、治療の対象となります。
生後間もなくから2歳くらいまでに原因不明の突然死に至る乳幼児突然死症候群(SIDS)とSASとの関連性が指摘されていますが、因果関係はまだはっきりとはわかっていません。
●CPAP治療で快活に
SASの子どもは、扁桃が肥大しているなど、気道が狭くなっているケースが多く、ひどい風邪をひいたりして、急性扁桃炎などを起こすと、気道が完全にふさがってしまう危険があります。
たとえば、小学校4年生のT君です。T君のいびきの原因は、やや大きめの扁桃腺と舌の形状にあると思われます。
小さい頃からいびきをかいていたT君ですが、家族がその異常に気づいたのは、海外旅行に出かける機内でのこと。眠りについてしばらくすると、T君は息をしておらず、その胸は極端に凹んでいたそうです。ご家族はさぞ驚かれたことでしょう。
検査の結果、T君は軽度のSASでしたが、外科治療ではなくCPAP(シーパップ)治療を選択しました。CPAPを使い始めて2ヵ月で、朝の寝起きもよくなり、授業での集中力も増したといいます。
「治療を始める前までは、塾に行くと眠くて仕方がなかったけど、今はぜんぜん眠くならないし、それに疲れにくくなった」というT君は、この2ヵ月で、顔色もよくなり、身長も仲びました。これも治療とは無関係ではないでしょう。
3歳の時点で寝る時刻が遅く、睡眠時間が少ない子どもほど、中学生の時点で、肥満になりやすいというデーータもあります(富山大学大学院/関根道和准教授ら)。育ち盛りの子どもにとって、睡眠は大人以上に大きな影響を及ぼすのです。

睡眠の問題が引き金になった世界の大惨事

★米スリーマイル島原発事故(1979年)
米国のペンシルベニア州スリーマイル島の原子力発電所で、疲労した作業員が機械故障を見逃したことが原因。半径8km以内の5歳以下の子どもと妊婦に避難勧告が出される事態となり、それ以降、島民にはガンが急増するなど、深刻な被害をもたらした。
★米スペースシャトル「チャレンジャー号」爆発事故(1986年)
スペースシャトル「チャレンジャー号」が、打ち上げ直後に爆発。NASA職員が長時間労働と睡眠不足で注意散漫となり、整備不良を発見できなかったことが原因とされる。これがきっかけとなり、米国全土に睡眠センターができ、睡眠に対する教育システムが確立された。
★チェルノブイリ原発事故(1986年)
定期点検中の原子炉で爆発が起こり、31人が死亡、数十万人が避難、世界中に放射能が広がった史上最悪の原子力発電所事故。原発周辺は約30’mにわたって人の住めない土地となった。疲労した作業員のミスが原因とされ、事故から20年以上経った今でも、多くの人がガンをはじめとしたさまざまな健康被害に悩まされている。
★アラスカ沖タンカー「エクソン・バルディーズ号」座礁事故(1989年)
過度の眠気によって居眠りをしてしまった航海士は、警告音に気づかず船は座礁。原油流出にともなって海岸線「1600kmが汚染され、清掃費用は21億ドル、死んだ海鳥は25万羽にのぼるなど、史上最悪のタンカー事故となった。
★客船「スター・プリンセス号」座礁事故(1995年)
乗客1568名、乗員639名を乗せた客船がアラスカ沖ジュノーで座礁。船底の損傷やオイルタンクの破裂で修理費総額は2700万ドル。NTSB(米国国家運送安全調査委員会)は航海士が、睡眠時無呼吸症候群のため疲労状態にあったと報告している。
「告白ー睡眠時無呼吸症候群ードキュメント①」会社員Yさん(56歳)寝覚めのよさに感動!
会社員Yさんの体調に変化があらわれ始めたのは、職場の配置転換によって環境が変わった8年ほど前からでした。当時は中間管理職という仕事上でも厳しい立場にあり、ストレスからか、うつ状態になり、精神科で治療を受けるようにもなっていました。
体重が増え始めたのも、ちょうどその頃。どんどん太りだし、結局その後の3年間で20kgも増えてしまいました。お酒の量が増えたことと、ストレスが原因だろうと考えていました。
いつ頃からか、強烈な「昼間の眠気」が気になり始めました。それまでに感じたことのない眠気です。電車やタクシーでの移動中も、部下との会話中、取引先との大事な打ち合わせのときでも、時と場所を選ばず居眠りをするようになっていました。
さすがにこれはおかしいと思い始めたYさんでしたが、以前から奥さんに指摘されていたいびきや無呼吸とは無関係だと考えていました。
しかし、あるとき異様な眠さに我慢できなくなったYさんは、精神科の主治医に相談してみました。するとSASの疑いがあるということで、その検査をすすめられたのです。
まさか自分がSASだとは思っていなかったYさん。AH1(無呼吸・低呼吸指数=睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数のこと)80回/時間と、重症のSASとの診断結果はショッキングなものでした。さっそく、CPAP治療を開始。鼻につけるマスクが気になって眠れないのではと少々不安でしたが、実際にはすぐに慣れ、途中で起きることもなくなりました。
なにより驚いたのは熟睡感でした。それまでに感じたことのない熟随感なのです。これまでの眠りがいかに浅いものだったかがわかったといいます。昼間の眠気もどこへやら。何ごとも前向きに考えられるようになったせいか、うつの症状も改善されたそうです。
治療を始めて3ヵ月。AHIは2〜3回に抑えられ経過は順調のようです。夜中に目が覚めて起きることもなくなり、体重も少しずつですが落ちているとのこと。ここまで症状がよくなったことに、驚きを隠せないYさん。そしてYさん以上にこの結果に満足しているのが奥さんです。Yさんの精神状態、体調がともによくなったことに加え、なによりいびきが消えたことで、奥さん自身もゆっくり眠れるようになったと喜んでいるようです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の徴候

●口臭の原因にもなるいびき
さきほどは、たかが「いびき」とあなどれないことをお話ししました。ここでは、「いびき」についてさらに詳しく解説します。
寝入りばなや疲れたとき、飲酒後に一時的に、などいびきには、さまざまなタイプがあります。最も注意が必要なのは、呼吸が止まった後、突然苦しそうにかく、大きないびきです。
SASは、こうした大きないびきと無呼吸を周期的に繰り返します。この無呼吸時に動脈中の酸素が減り、呼吸再開時に大きないびきをかくことで眠りが浅くなるのです。そのため、深い良質の睡眠がとれず、熟睡感がなくなってしまいます。日中の猛烈な眠気や、極度の疲労感の原因がSASであることは、少なくありません。
また、いびきをかく人は、寝ている間は口呼吸になってしまうため、口の中が乾燥し、のどが渇くだけでなく、口臭の原因にもなります。
いびきだけでなく、「夜、長時間眠っているのに、昼間はだるくて居眠りしてしまう」「朝起きると、頭痛や胸焼けがする」などの自覚症状も、SASの特徴のひとつです。
●SAS患者の寿命が短い理由
SASは、治療を受けずに放っておくと、命に関わるさまざまな合併症を招く危険な病気です。それだけでなく、昼間の眠気による交通事故など、この病気の患者は、そうでない人に比べ、平均寿命が短いというショッキングなデータもあります。
それはこの病気が、高血圧や狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患、脳梗塞などの脳血管疾患、心不全などの重大な合併症を引き起こすからです。近年の研究から、健康な人に比べて高血圧になる危険性が約3倍、心血管疾患の発症率は約2倍にもなることがわかっています。
これら生活習慣病の元凶となるのが、SASの患者にも共通してみられる「肥満」なのです。
●こんな人はSASになりやすい!
SASの患者には、共通する体型的な特徴があります。それは、「いびきをかく人」にも共通する、①大きなおなか、②短い首、③小さなあご、の3つです。
①大きなおなか
一般的にも「太った人にはいびきをかく人が多い」というイメージがあり、実際、患者のなかで最も多いのは、40〜60歳の肥満の男性です。太っている人は、口内の軟口蓋やのどにも脂肪がついているので、気道が狭くなりがちです。
このことは虎の門病院の睡眠センターで、SASの精密検査(PSG検査という)を受けた患者のデータからも明らかです。

PSG検査を受けた症例における年齢とBMI

PSG検査を受けた症例における年齢とBMI


②短い首
首が短い人も、気道のまわりに脂肪がつきやすい傾向があり、気道が狭くなりがちです。
③小さなあご
このタイプの人は、仰向けに寝ると、舌根(舌のつけ根)が普通の人よりのどの奥のほうに落ち込みやすいため、気道が狭くなってしまいます。
さらに、「舌の位置が高く後ろにある」場合も要注意です。鏡に向かい口を開けて自分でのどの奥をのぞいてみてください。のどの奥が見えないようなら、可能性が高いといえます。
●東アジア人特有の顔面骨格構造にさらなる原因が
欧米に比べて肥満者が少ない日本では、これまでSASの患者は少ないと考えられていました。現に約10年前の調査では、40〜60歳の3〜4%と、ほかのポピュラーな疾患とほぼ同じ程度であることがわかっています。ところが、最近の傾向を見ると、どうやら事態は変わってきているようです。日本人の患者4800例のうち約3割は、肥満度(体格指数:BMI)25以下(非肥満)という報告もあるように、日本人にとってこの病気はいわゆる太った中高年だけのものではありません。
これは、「短く平らな顔」「小さなあご」「のどが咽頭の近くにある」など、東アジア人特有の顔面骨格構造に原因があるようです。
のどが咽頭の近くにあり、かつ扁桃腺が大きいので気道が狭くなりやすいのです。親がいびきをかく場合、子どももいびきをかく率が高いのは、骨格の遺伝が原因だと考えられます。
また骨格構造に加え、柔らかい食べ物が増え、日本人はあごの発育がますます悪くなる傾向にあり、肥満も増加していますから、いっそうSASになりやすくなっているといえます。

SAS患者と肥満の関係

肥満は、脂肪の沈着により気道を狭くすることから、無呼吸を起こす原因となります。2003年度の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば、30歳から60歳までの男性の3割以上が肥満であり、成人男性では、20年間(1982年〜2002年)で肥満者(BMI25以上)は1・5倍と急増。その数300万人ともいわれます。
こうした状況が加わり、日本におけるSASの患者数はここ数年、急増しています。なかでも受診者数が増えているのが、働き盛りの30代男性です。仕事で連日不規則な生活と食事を強いられ、気がつけば学生時代より10kg以上太ってしまった人。若いのに血圧が高い人。午後の会議ではきまって居眠りをしてしまう。社員旅行にいけば、いびきがうるさいとまわりから疎まれてしまう……。
こうした人々は、日本中どこにでもいる、ちょっと冴えないサラリーマンの典型にも思えますが、その背後にはSASという恐ろしい病魔が隠れている可能性があるのです。
●サラリーマンを悩ます会議中の猛烈な眠気
国会中継を映すテレビ画面の中に、SASの患者を見つけ出すことは難しくありません。居眠りをしている姿がたくさんあります。全国放映されていることを知りながら、居眠りをしてしまうのですから、よほど無神経なのか、あるいはやる気がないか、そうでなければSASである可能性が高いと考えられます。
患者の多くが訴えるSASの代表的な症状は、昼間の極度の眠気です。仕事中に眠くなることは誰にでもあります。しかし、大事な商談や会議の際には、適度な緊張も手伝い、居眠りすることはまずないでしょう。
しかし、この病気の患者たちは、こうした重要な場面ですら強烈な眠気に襲われ耐えられずに寝入ってしまうのです。
ある企業の社長にこんなエピソードがあります。取引のある銀行の支店長が訪ねてきて商談をしていたときのこと。会話の途中で眠気を感じてしまった彼は少し
の間目をつぶっていました。閉じていた目を開けると、目の前には誰もおらず不思議に思っていると、机の上にメモを見つけました。そのメモには「お疲れのご様子ですから、日を改めてお伺いします」とあったそうです。
この社長は、ほんの数秒間だけ目を閉じていたつもりでも、実際には数十分もの間居眠りをしていたのです。社長をゆすって起こすわけにもいかず、支店長はメモを残し退散したというわけです。
みなさんにも、大事な会議で居眠りをしてまわりの顰蹙をかったり上司の信頼を失ったり、商談相手の前で眠りこけてしまった、というような体験に心当たりはありませんか?
それだけでなく、日中の眠気や居眠りが原因で命を落とす危険すらあるのです。工場や工事現場など危険がともなうところでは、一瞬の気のゆるみや判断力の低下が重大な労災事故につながりかねません。
しかし、患者の多くは、SASであることを自覚していません。そのため、周囲からは単なる怠け者と思われ、本人は理由もわからず悩んでいるケースがほとんどです。
●「最近急に体重が増えてきた」は危険な兆候急に体重が増えるのもSASの特微のひとつです。

肥満者(BMI≧25)の割合

肥満者(BMI≧25)の割合


ただの中年太りかと思っていたら、SASが原因だったというケースは少なくありません。私の患者に、定時制高校の教師をしているAさんがいました。Aさんの体調に変化があらわれ始めたのは、職場環境が変わった3年前から。ストレスからかうつ状態になり、精神科で治療を受けるようになっていました。
体重が増え始めたのも、ちょうどその頃でした。生活習慣が夜型に変わったことが原因だろうと本人は考えていたようですが、結局その後の3年間で204も増えたそうです。
「昼間の眠気」に異変を感じ、奥さんにいびきや無呼吸を指摘されていたこともあり、精神科の主治医のすすめでSASの検査をしてみたところ、案の定SASと診断されたのです。
●ダイエット失敗は意志が弱いから?
おりからの健康ブームを受け、書店にはダイエット法を紹介する無数の書籍や雑誌が並んでいます。なかには、複数のダイエット法を試したことがあるという人もいるでしょう。それなのに、なぜダイエットは成功しないのでしょう。現に、肥満者の数は年々、増えているのですから。
ダイエットが成功しない本当の理由は、意志の弱さだけではなく、睡眠の質にあるのかもしれません。実は、いびきをかく人は、やせにくいのです。
次にあげる項目のなかで、思い当たることはありませんか。
①体を動かすのが億劫で、気がつくと体重が増えている。
②どんなダイエットも長続きしない。
③「やせなくては」という気持ちは強いが、ダイエットを実行できない。
④ダイエットをしても、なかなか体重が減らない。
⑤昼間眠くて、しょっちゅう居眠りしてしまう。
⑥甘いものを無性に食べたくなり、つい間食をしてしまう。
これらの項目に多く当てはまる人は、いびきをかいていたり、SASである可能性が考えられます。ダイエットが成功しない本当の理由はSASのせいかもしれないのです。

寝不足だと食欲が増す!?

日中に眠気やだるさが残っていると、食欲が増します。これは食べるという刺激によって脳を起こして元気づけようとする身体反応のひとつです。そのため、間食が増えてしまったり、砂糖を入れたコーヒーを欲んだりして、その結果カロリー摂取が増え、体重が増加してしまうのです。
また、いびきをかくという行為は体の大きな負担になるので、睡眠中に十分な休息をとることができません。しっかりと眠っているつもりでも、朝起きたときから体がだるいため、昼間の運動量が減ってしまいます。当然、何をしてもすぐに疲れてしまうので、ダイエットも長続きしないのです。
SASの患者がやせにくくなる原因はもうひとつあります。
それは、眠りが深くなったときに分泌される成長ホルモンが原因だと考えられます。成長ホルモンは、体の成長と深く関係しているだけでなく、脂肪を分解す
るはたらきを持っており、一般に1日あたり約300kcal(脂肪釣42g相当)を分解するとされています。
いびきをかく人は、深い睡眠が得られないために成長ホルモンの分泌が少なく、分解されるべき脂肪が分解されず、太りやすい体質になってしまうというわけです。
●「SAS→肥満→SASの悪化」の悪循環
私の患者に、コンビニエンスストアの店主をしている男性がいました。彼は売れ残った商品を捨てるのがもったいないので、毎日食べ続けたところ、肥満になってしまいました。やがて、大きないびきをかき始め、睡眠中に呼吸が止まるなどの、SASの症状があらわれるようになりました。
肥満はSASを引き起こし、SASになると太りやすくなります。つまり、太る→SAS→さらに太る→SASの悪化→ますます太る……という悪循環が生まれます。
この患者は、悪循環の結果として体重が20kgも増加しました。SASに限らず、いびきをかいているうちは日中だるくなったり、間食が増えたり、成長ホルモンの分泌が阻害されたりするので、なかなかやせられません。ダイエットのためには、いびきと無呼吸、すなわちSASを治療することが先決なのです。
●「日中のだるさ」の原因
SASの患者の自覚症状のひとつに「日中のだるさ」があげられます。これは、きちんとした休息、つまり睡眠がとれていないという何よりの証拠です。
前項でもお話ししましたが、このだるさは肥満にもつながり、SASを悪化させる要因となります。それでは、この「だるさ」はいったいなぜ起こるのでしょうか。気道が狭くなって呼吸が妨げられると、いびきを生じると同時に、当然空気が肺に入ってきにくい状態になります。このとき血液中の酸素は通常よりも少なくなります。すると、心臓はより多くの血液を全身へ送り出そうとするため、血圧が上昇します。
同時に、より多くの空気を取り入れようと指令を出すために、眠っていた脳が活性化され、これによって深い眠りが妨げられてしまうのです。
このように、いびきの体への負担はたいへん大きなものです。十分な睡眠をとっているつもりでも、朝目覚めたときから休がだるく、何をしてもすぐに疲れてしまうのはそのためなのです。

できるビジネスマンはよく眠る

睡眠の質の低下は、日常生活に大きな障害をもたらします。倦怠感もそのひとつですが、さらに集中力の欠如、判断力の低下などは、ビジネスに致命的なダメージを与えてしまいます。眠る人ほど仕事ができるといえるでしょう。
いつも忙しく働いているビジネスマンの患者がいました。いつにも増して忙しい時期。当然睡眠不足に陥っていたその患者は、上質の睡眠がとれていなかったために、目の前のことに精一杯で、細かいことに気が回らなくなっていました。
次から次へと処理すべき仕事が押し寄せてきます。集中力は続かず、イライラはつのるばかり。そして、悪循環に陥り、とうとう大事な商談相手との待ち合わせ場所を間違えてしまったのです。
また、このようなケースでは、自分をブラッシュアップしようという意欲も低下してしまいがちです。女性の場合は、ファッションや髪型に気を遣わなくなるという傾向も見受けられます。そうなると、他人に与える印象が悪くなる可能性もあります。
決断力、判断力も鈍ってしまうため、経営者の場合は、企業戦略そのものに影響を与えかねません。しかし、これらは質の高い睡眠をとること、そしてSASを治療することによって改善されうるのです。
居眠りによる一瞬の判断ミスが大きな労災事故につながりかねない業界では、社員への啓発、医療情報の提供といったSAS対策が本格的に講じられ始めています。
●治療しても治らない夜間頻尿
SASが疑われる症状は、激しいいびきと無呼吸だけではありません。
「夜中によく目が覚める」「たびたびトイレに起きる」なども、SASの症状のひとつです。夜間頻尿はとくに多く、その原因は、無呼吸のあとの「ガガッ」という激しい呼吸再開による腹圧の上昇にあります。
さらに、利尿効果を高める心房性ナトリウムペプタイドの分泌量が増加するとともに、尿をコントロールするホルモンの分泌が低下するために、頻尿の症状があらわれるのです。
このような症状に悩むSAS患者の多くは、前立腺肥大だと勘違いして泌尿器科を受診することがありますが、前立腺の治療を行っても、症状はほとんど改善されないはずです。
また、男性ホルモンの影響からED(勃起障害)を引き起こすこともあるため、こうした症状に少しでも心当たりのある人は、SASの可能性を考えてみるべきかもしれません。
●無呼吸が眠りのステージを浅くする
ここまでお読みいただければ、睡眠の質がいかに重要なものであるか、おわかりいただけたでしょう。では、実際SASはどの程度睡眠を妨げているのでしょうか。
ここで簡単に眠りのメカニズムを説明します。
眠りは、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つに分けられます。
激しい眼球運動Rapid Eye Movement :REMがあるレム睡眠は、夢を見ている状態です。脳波は、半ば覚醒状態にあることを示します。
ノンレム睡眠は眼球運動のない睡眠で、深い眠りにある状態です。このとき、体も脳も深い眠りに入っています。ノンレム睡眠には4つのステージがあり、ステージー、2は浅い睡眠で、ステージ3、4は深い睡眠となります。
健康な人は、約90分周期でこの2つの睡眠を交互に繰り返します。まず眠りの始まりに多くあらわれるのは、深い眠りであるノンレム睡眠のステージ3と4です。やがて、明け方になるにつれ、レム睡眠が多くみられるようになり、次第に覚醒状態になっていくというリズムが典型的です。
ところが、SASの人は睡眠が浅く、ノンレム睡眠のステージ3や4の深睡眠がなく、ほとんどがステージ2どまりとなります。また、記憶を定着させるはたらきがあるとされるレム睡眠も少なくなっています。

健康成人とSAS患者の睡眠ステージ比較

健康成人とSAS患者の睡眠ステージ比較


そのため、睡眠時間は足りているはずなのに、熟睡感がないのです。これが昼間の猛烈な眠気を引き起こします。
脳が十分な休養をとれないため、集中力や判断力の低下、イライラ、うつ症状などの精神的な症状もあらわれます。
健康な人に比べると、睡眠のリズムがとても不規則です。これは明らかに睡眠の質が低いことを表しています。
「告白ー睡眠時無呼吸症候群-ドキュメント②」高校生H君(17歳)
●SASの恐怖-精神疾患との違い
H君が体調不良を訴えるようになったのは、小学校3年生の頃でした。朝起きると、いつも頭痛がするのです。眠りが浅く、慢性的な睡眠不足に陥っていたのでしょう。
6年生の「1学期頃になると、ひどい頭痛とだるさで体を動かすことができず、一日中、自分の部屋に閉じこもっていることもあったそうです。さらに、幻覚や幻聴という症状もあらわれ、混乱してしまうことも少なくありませんでした。
浅い眠りによる頭痛とだるさから、夜も眠れなくなるという悪循環で、2学期からは学校に行くことすらできなくなってしまいました。不登校の始まりです。
心配した家族は、H君を病院に連れていきました。しかし、どの病院を受診しても、症状が改善されず、病院を転々としました。あるところでは、夜驚症や自律神経失調症と診断されましたが、もちろんSASであるH君にそれらの病気に対する治療をしても、効果が出るはずがありません。まったく改善しない症状に不安を募らす毎日。2年が過ぎ、体重は60kgも増え、165cm110kgにもなってしまいました。
CPAP(シーパップ)治療を受け始めたのは、それから「1年以上経った、中学3年生の秋のことでした。偶然、新聞に載っていたSASの記事を読んだ両親が、H君の症状と酷似していたことから、虎の門病院を受診させたのです。
検査入院で睡眠状態を調べたところ、一晩の睡眠中に550回も呼吸が止まっていることが判明しました。翌日の夜の検査で、CPAPをつけて目を閉じて、次に目を開けたときには朝になっていたそうです。
これまで、眠るたびに夜中に何度も目を覚ましていたH君は、CPAPを装着することで、初めて熟睡を経験し、眠ることがいかに気持ちよく、体に活力を与えてくれるものかを知ったのです。
こうしてH君がCPAPを使い始めて1年以上が経ち、現在は通信制高校のサポート校に元気に通っており、野球部にも入部して学校生活を楽しんでいます。ただ、SASが完治したわけではないので、寝るときはCPAPを装着しています。
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