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睡眠

睡眠障害とは何か?

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睡眠障害

不眠症だけが睡眠障害ではない

「睡眠障害」とは、人間の睡眠と覚醒に関連する多様な疾患のすべてを指す用語です。俗にいう″不眠症″は、曖味にいえぱその全体を指すことになりますが、厳密にいえばその一部を指すことになります。睡眠障害のなかには、高次の精神活動にかかわる異常から、身体上の末梢的な疾患に起因する二次的な異常まで、さまざまな障害が多数台まれていま
す。
睡眠障害を分類して、診断の基準とするために、アメリカの睡眠障害連合会(当時)が中心となり、ョーロッパ、日本、ラテンアメリカの睡眠学会が協力して、一九九〇年に作成した「睡眠障害国際分類」があります。先行する「睡眠覚醒障害診断分類」(一九七九年)や後続する修正版もいくつかありますが、現在この国際分類が最も妥当なものと位置づけられています。この分類法によれば、睡眠障害は四つの大項目に分けられ、合計するとその数は八八種類になります。
第一の大項目は、「睡眠異常」です。これは過眠症と不眠症を意味します。つまり、活動時間域の眠気と休息時間域の不眠を特色とする睡眠障害です。従来は、睡眠異常という用語は睡眠もしくは覚醒のすべての障害に適用されていました。しかし、一般的な意味ですべての睡眠障害を指す用語としては、睡眠障害が用いられることになったのです。
第二の大項目は、「睡眠時随伴症」です。ここには、睡眠に伴う各種の異常が含まれます。
第三の大項目は、「内科および精神科的障害に伴う睡眠障害」です。特定の病気があるために、それが引き金となっておこる睡眠障害です。
第四の大項目は、「提案検討中の睡眠障害」です。上の分類から漏れた睡眠障害すべてをまとめたものです。

睡眠異常ー不眠症は過眠症でもある

睡眠異常とは「睡眠開始と維持の障害および眠気過度障害を指す」と定義されます。つまり、睡眠異常は不眠症と過眠症が混在します。これはなぜでしょうか。じつは、過眠と不眠とは表裏一体のものなのです。
夜間の睡眠が好ましいものでないならば、その結果として日中に過度の眠気を生じて、居眠りが頻発することになります。その結果はさらに夜間の眠気の低下として反映され、不眠を助長することになります。このような悪循環が不眠症と過眠症の根底にあるのです。
しかし、問題はそれほど単純ではありません。不眠症と過眠症には、三三種類もの疾患が合まれていて、これらは三群に大別されます。
睡眠障害の国際分類
1.睡眠異常
(1)内在因性睡眠障害
1.精神生理性不眠症
2.睡眠状態誤認
3.特発性不眠症
4.ナルコレプシー
5.反復性退眠症
6.特発性退眠症
7.外傷後退眠症
8.閉塞性睡眠時無呼吸症候群
9.中枢性睡眠時無呼吸症候群
10.中枢性肺胞低換気症候群
11.周期性四肢運動障害
12.むずむず脚症候群
13.特定不能の内在因性睡眠障害
(2)外在因性睡眠障害
1.不適切な睡眠衛生
2.環境因性睡眠障害
3.高地不眠症
4.適応性睡眠障害
5.睡眠不足症候群
6.しつけ不足睡眠障害
7.睡眠開始随伴障害
8.食物アレルギー性不眠
9.夜間摂食(飲水)症候群
10.睡眠薬依存睡眠障害
11.中枢神経刺激剤依存睡眠障害
12.アルコール依存睡眠障害
13.毒物起因性睡眠障害
14.特定不能の外在因性睡眠障害
(3)概日リズム睡眠障害
1.時間帯域変化(時差)症候群
2.交代勤務睡眠障害
3.不規則型睡眠・覚醒パターン
4.睡眠相後退症候群
5.睡眠相前進症候群
6.非24時同型睡眠覚醒症候群
7.特定不能の概日リズム睡眠障
2.睡眠時随伴症
(1)覚醒障害
1.錯乱性覚醒
2.睡眠時遊行症
3.夜驚症(睡眠時驚愕症)
(2)睡眠覚醒移行障害
1.律動性運動障害
2.睡眠時ひきつけ(ぴくつき)
3.寝言
4.夜間下肢こむらがえり
(3)通常レム睡眠に伴う睡眠時随伴症
1.悪夢
2.睡眠麻捧
3.睡眠間違陰茎勃起障害
4.睡眠間違疼痛性陰茎勃起
5.レム睡眠関連濁停止
6.レム睡眠行動障害
(4)その他の睡眠時随伴症
1.睡眠時歯ぎしり
2.睡眠時遺尿症
3.睡眠関連異常幌下症候群
4.夜間発作性ジストニア
5.説明不能の夜間突然死症候群
6.原発性いぴき
7.乳児睡眠時無呼吸症
8.先天性中枢性低換気症候群
9.乳児突然死症候群
10.良性新生児睡眠時ミオクローヌス
11.特定不能のその他の睡眠時随伴症
3.内科/精神科的障害に伴う睡眠障害
(1)精神障害に伴う睡眠障害
1.精神病
2.気分障害
3.不安性障害
4.恐慌性障害
5.アルコール症
(2)神経疾患に伴う睡眠障害
1.脳変性疾患
2.痴呆
3.パーキンソン症候群
4.致死性家族性不眠症
5.睡眠関連てんかん
6.睡眠時てんかん性発作波重積
7.睡眠関連頭痛
(3)その他の内科的疾患に伴う睡眠
障害
1.嗜眠病
2.夜同心虚血
3.慢性閉塞性肺疾患
4.睡眠関連喘息
5.睡眠関連胃・食道逆流
6.消化性潰瘍病
7.結合組織炎症候群
4.提案検討中の睡眠障害
1.短時間睡眠者
2.長時間睡眠者
3.覚醒不全症候群
4.部分ミオクローヌス
5.睡眠時多汗症
6.月経随伴睡眠障害
7.妊娠随伴睡眠障害
8.恐怖性入眠時幻覚
9.睡眠関連神経因性頻呼吸
10.睡眠間違喉頭痙學
11.睡眠時窒息症候群
 
第一群は、「内在因性睡眠障害」です。睡眠障害の原因が身体内にあって、さらにそこから進展するものです。つまり、心理的あるいは内科的な障害によるものです。ここには、睡眠時無呼吸症侯群はじめ精神的なストレスに起因する不眠症や、遺伝病であるナルコレプシーなどが合まれます。
第二群は、「外在因性睡眠障害」です。睡眠障害の原因が身体外にあって、さらにそこから進展するものです。ですから、外因が取り除かれると、ふつう睡眠障害の解決につながります。ここには、睡眠環境が適切でなかったり、高山で酸素圧が低いためにおこる不眠や、睡眠薬やアルコールなどの薬物や食物を原因として派生する睡眠障害などがあります。
第三群は、「概日リズム睡眠障害」です。睡眠障害の原因が二四時間内の睡眠のタイミングにあるというものです。交代勤務やジエットラグなど睡眠時間のずれの影響によるものや、不規則な生活パターンによるものなどがあります。これは、高度技術社会がもたらした睡眠障害の新顔であり、概日リズムの発信源である脳内の生物時計の変調がもたらす病気です。
不眠や眠気にも国際基準がある
世間では、″不眠″とか″不眠症″ということぱがひんぱんに使われています。″眠気″もよく使われることばです。睡眠障害を扱うには、俗語と医学用語とを区別しなければなりません。ここでは、睡眠医学が国際基準で定義する「不眠」と「眠気」にふれておきましょう。両者とも、軽度、中等度、重度の三つに分けられます。
軽度の不眠とは、睡眠の量が不十分だったり、いつものように眠っても休息感がないという訴えが、ほとんど毎晩おこる場合に用いられます。このせいで、社会的または職業的な障害を伴うことは、まずありません。しかし、落ち着かない気持、いらだち、軽い不安、日中の疲れやすさ、疲労感と、しばしば関連をもっています。
中等度の不眠とは、睡眠の量が不十分だったり、いつものように眠っても休息感がないという訴えが、毎晩おこる場合に用いられます。このせいで、軽度または中程度の社会的または職業的な障害を伴います。落ち着かない気持、いらだち、不安、日中の疲れやすさ、疲労感と、つねに関連をもっています。
重度の不眠とは、睡眠の量が毎晩不十分だったり、いつものように眠っても休息感がないという訴えが、いつもおこる場合に用いられます。このせいで、社会的または職業的に重度の障害を伴います。落ち着かない気持、いらだち、不安、日中の疲れやすさ、疲労感と、強い関連をもっています。
軽度の眠気とは、休息時または注意集中の必要がほとんどない場合にかぎって、眠ってしまうときに用いられます。たとえば、静かな部屋で横になっているときとか、テレビをみていたり、読書をしていたり、走る乗物に客として乗っているときなどです。このせいで、軽度の社会的または職業的な障害をひきおこします。基準化された「睡眠潜時反復検査(MSLT)」という検査法で調べると、寝つくまでの時間(睡眠潜時)が平均して10〜15分になります。軽度の眠気は毎日生じるものではありません。
中等度の眠気とは、せいぜい中程度の注意が必要とされるような、ごく軽い身体的活動の最中に、眠ってしまうときに用いられます。たとえば、運転中、音楽会、映画、演劇、またはこれらと類似した集会の最中です。このせいで、中等度の社会的または職業的な障害をひきおこします。MSLTでは、睡眠潜時が平均して5〜10分になります。
重度の眠気とは、軽度または中程度の注意集中が必要とされる身体的活動のさいにも、毎日眠ってしまうときに用いられます。たとえば、食事中、相手と直接会話中、運転中、歩行中、身体的活動中です。このせいで、重度の社会的または職業的な障害をひきおこします。MSLTでは、睡眠潜時が五分以下になります。
睡眠時随伴症ー眠ると不快な現象が現れる
第二の大項目である「睡眠時随伴症」は、睡眠中におこる望ましくない身体現象の総称です。ですから、覚醒のほうの障害と睡眠段階が移行するさいに生じる障害が該当します。
睡眠時随伴症の多くは、中枢神経系の活動が高まって、骨格筋が異常に活動するためにおこります。睡眠時随伴症は四群二四種類に分けられています。第一群は、「覚醒障害」です。よく知られた例は、俗にいう夢遊病つまり睡眠時遊行症や夜驚症で、これらは古典的な覚醒障害に属します。このほか、錯乱性覚醒という障害があります。
第二群は、「睡眠覚醒移行障害」です。覚醒から睡眠あるいは睡眠から覚醒への移行期におこる障害が合まれます。寝言はここに合まれます。第三群は、「通常レム睡眠に伴う睡眠時随伴症」です。レム睡眠段階と密接に関係する障害で、悪夢とか夜間のペニスの勃起とか異常行動などに関連する障害です。第四群は、「その他の睡眠時随伴症」です。ここには、歯ぎしりとかいびきのほかに、乳児突然死症候群という社会的に話題の多い障害が合まれています。

内科/精神科的な障害と睡眠障害

第三の大項目は、「内科および精神科的障害に伴う睡眠障害」です。さまざまな内科的疾患と精神科的障害が、睡眠と覚醒の障害を伴います。内科、神経科、精神科のうち、どれに重点があるかによって、一九種類の睡眠障害が三群に大別されています。
第一群は、「精神障害に伴う睡眠障害」です。精神病、気分障害、不安性障害、恐慌性障害、アルコール症などの精神科的な障害は、睡眠障害の最も一般的な原因となります。第二群は、「神経疾患に伴う睡眠障害」です。脳変性疾患、痴呆、てんかん、パーキンソン症候群、頭痛などの神経疾患が睡眠障害を伴うものです。第三群は、「その他の内科的疾患に伴う睡眠障害」です。嗜眠病、夜同心虚血、睡眠に関連する喘息や胃腸疾患など、いくつかの内科的疾患がひきおこす睡眠障害が含まれています。
検討中の睡眠障害
大項目の最後は、「提案検討中の睡眠障害」です。ここには、睡眠障害と認定するには、まだ情報が不十分または不適切であるという理由で、全部で11種類がまとめられています。
たとえば、短眠者(短時間睡眠者)長眠者(長時間睡眠者)のように、まともな疾患であるのか、正常な範囲内の両極端であるのか、議論が決着していないものがあります。
また、睡眠時多汗症はいわゆる寝汗で、夜間の発汗を指しますが、寝汗などそれほど病的でないように思われるかもしれません。しかし、神経疾患や閉塞性睡眠時無呼吸症候群のような種々の基礎疾患によっても、睡眠時多汗症が生じます。この疾患には特発性の型がありますが、あまりくわしく解析されていませんから、暫定的にここに入れられているわけです。
ほかにも、月経随伴睡眠障害、妊娠随伴睡眠障害という女性に特有の月経や閉経または妊娠に関連して生じる睡眠障害も、体験的にはよく認識されています。しかし、基礎的な研究はようやく始まったばかりです。ちなみに、私の研究室では近年、産婦人科出身の医師たちと共同して、ラットをモデル動物として研究を進めた結果、驚くべき多彩な眠りの変化が性周期、閉経、妊娠、出産に関連して出現していることが証明されました。生殖活動に伴って脳下垂体や卵巣から分泌されるいくつかのホルモンや、妊娠中に放出される特定の免疫物質が、脳に作用して睡眠に影響を与えることがわかったのです。
これらの睡眠障害は、研究が進んで新しい情報が加えられ、その性質がはっきりすることが近い将来に期待されています。したがって、やがてはこの項目から出て、もっと主体性のあるしかるべき座におさまることでしょう。

アメリカの睡眠医療の歩み

睡眠研究は一九六〇年代に興隆期を迎えました。レム睡眠の発見(一九五三年)につづく研究のはずみや、脳波解析に必要な電子技術の発達が大きな支えとなって、関心が高まったのでした。いちはやく、一九六一年に睡眠精神生理学会が設立されました。しかし、神経生理学、心理学、精神医学、神経学、内科学といった伝統的な学問領域の枠内では、睡眠の研究や医療は不十分でした。これらをすべて包括する総合的な学問体系や、教育と医療のための専門的な施設が必要となったのです。
一九七〇年に、アメリカのスタンフオード大学に総合的な睡眠障害クリニックが創設されました。この大学は、精神医学を中心に、各種の睡眠障害、とりわけナルコレプシーや閉塞性睡眠時無呼吸症候群の研究を主導していました。そして、この睡眠障害クリニックが世界のさきがけとして、その後の全米の睡眠医療センターのモデルとなったのです。このクリュックを創設したウイリアム・デメント教授こそ、「アメリカよ、目覚めよ!」の国家事業推進の立役者です。
この睡眠障害クリュックが成功した背景には、睡眠の生理学を基盤に、それと関連させて睡眠障害の病態を総合的に扱っていく科学的な取り組み方があったからでしょう。そして、睡眠中の生理的あるいは病的な現象を客観的に解析するために、睡眠ポリグラフ検査(ポリソムノグラフイー、PSG)を採用し、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、必要に応じて呼吸運動、皮膚電気活動、酸素飽和度を記録したからでしょう。こうして、神経内科、精神科、呼吸器科、小児科、耳鼻科、歯科の医師たち、脳波解析
の専門技士(ポリソムノグラフアー)、さらには臨床心理学者が協力する体制が確立されました。
一九七五年には、当時全米で五つあった睡眠障害センターが合同して睡眠障害センター協会が創立され、やがてこれが、アメリカ睡眠障害協会に発展し、一九九九年にはアメリカ睡眠医学会と改称しています。
この間に、機関誌″SLEEP″の刊行、睡眠障害センターの基準づくり、ポリソムノグラフアーの資格設定を成し遂げました。ポリソムノグラフアーだけで組織する学会も設立され、認定資格を与えています。このほかにも、アメリカ睡眠学会という基礎的な睡眠研究者だけで組織する学会もあります。これらが連合して全米睡眠研究専門連合会を形成し、三者が協力して毎年学術集会と研修会を開催しています。
一九九一年には、睡眠障害の認定睡眠専門医資格がつくられました。また、アメリカ睡眠医学会は睡眠障害センターの認定もおこなっていて、二〇〇〇年三月末現在、公認されたセンターは三九四施設に達しています。こうして、睡眠専門医やポリソムノグラフアーは身分を保証されましたから、睡眠医学と睡眠医療に従事する人材が急激にふえました。
睡眠医学は、睡眠障害というかぎられた疾患を扱うだけでなく、睡眠をとおして社会の活動様式全殼にも影響をおよぼすような視点をもっています。たとえば、睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病とのかかわり、日中の眠気と社会生活とのかかわり、子どもや高齢者に特有な睡眠障害の研究、ジエットラグや交代勤務や夜間労働の扱い、といった現代社会のかかえるさまざまな問題に対して、分野の異なる専門家が共同して学際的に取り組める場をつくりだしたのです。
これらと並行して、種々の疫学調査をおこない、睡眠障害による国家規模での損失を算定し、啓蒙活動や患者教育を強く推し進め、連邦議会に働きかけるというキャンペーンを展開していったのです。

日本の睡眠医療の歩み

日本では一九七三年に、精神科の医師を中心に「睡眠研究会」が約二〇名の会員で発足し、一九七七年にはこれが「日本睡眠学会」となりました。日本睡眠学会の発展はめざましく、早くも二年後には、世界でE回目の国際睡眠学会(世界各国の睡眠学会が待ち回りで四年ごとに開催し、一九八七年まで継続。一九九一年以後は世界睡眠学会連合が主催しています)を東京に誘致して、そのホスト役を果たしました。その時点での会員数は約二五〇名でした。二〇〇
〇年六月現在ではハ○○名をすこし上回る数です。
睡眠科学や睡眠医学の研究でいえば、日本睡眠学会の会員による業績は世界のトップレベルにありました。しかし、睡眠医療の体制に関するかぎり、日本は先進諸国のなかで最も遅れていて、いくつかの問題をかかえたままになっています。そして、睡眠科学や睡眠医学の研究や教育を推進する体制にもいちじるしい不備があることは、すでに述べたとおりです。
現在、わが国では約四〇の医療機関に睡眠障害を扱う医師を擁する施設があります。しかし、それらの施設のほとんどは、既存の大学病院や総合病院の精神科のなかにあって、独立した睡眠専門のクリニックではありません。
日本で最初に睡眠クリニックを立ち上げたのは、小樽の望洋台医院で、一九九一年一〇月のことでした。小規模ながら本格的な睡眠障害専門の病院です。つづいて、一九九六年四月に沖縄・浦添の浦添総合病院に睡眠呼吸センターが開設されました。これは、一九九〇年八月から睡眠障害の検査を実施してきた同病院が、この施設を独立させたわけです。
一年後には、睡眠呼吸ストレスセンターと改称されています。北海道と沖縄という日本の北端と南端に、先駆的な睡眠クリュックが開設されたのは興味深いことです。そういえば、日本で睡眠医療の中核拠点となった場所も、一九七二年に発足した久留米大学精神科のなかの睡眠外米で、地理的にはいわば辺境の地にあるユニークな医療機関です。
日本の大都市で、最初に睡眠医療センターを立ち上げたのは、大阪の都心部に位置する大阪回生病院で、一九九八年四月のことでした。一九九五年に同病院の精神科のなかに開設されていた睡眠外来を独立させ、睡眠障害を専門に扱うことになったのです。ついで、一九九九年一一月には、東京にも睡眠呼吸障害クリュックが都心部に創設されました。こちらも、睡眠障害の医療に長い実績をもつ神経研究所が、このクリニックを附属の機関として独立させたものです。
関係者の話を聞くと、これらの睡眠クリニックには驚くべき多数の患者が殺到し、何週間も先まで予約がいっぱいになっていて、よほどの重症でないかぎりすぐには処置してもらえないとのことです。睡眠障害が蔓延していることを、この事実が如実に物語っています。
日本の睡眠障害対策の問題点
「最近、マスコミにおいて睡眠障害が取りあげられることがふえ、種々の疫学調査によっても相当数の患者が存在することがわかってきているが、日本においては睡眠医学という分野が確立しておらず、医療サイドがこれらの患者のニーズにじゆうぶん対応できてこなかった。
その理由として、構造的には、(1)従来の縦割の購座・標榜科目のなかだけでは診断・治療が完結しない、(2)患者側も睡眠についての訴えをもっていても、どの科を受診したらいいのかわからない、(3)医療従事者や健康管理従事者自身がその教育やトレーニングのなかでまとまった知識を得る機会がない、(4)安全な睡眠薬が開発されたために、不眠の訴えのある患者に対して、安易に投薬での対応がなされて事足れりとされている、などがあげられる。
また、わが国ではうつ病や神経症などの精神疾患の関連から、伝統的に精神科医が主体となって睡眠障害に取り組んできたために、一般の患者に対しては敷居が高く、一般内科の範囲内で対応が困難な睡眠障害が疑われる患者が、精神科の枠のなかでの睡眠外来(が一応あったとしても)に紹介しにくいことがある。
いっぼう、種々の睡眠障害の診断のなかで、終夜睡眠ポリグラフ検査(オールナイトポリソムノグラフイー、PSG)が大きな役割を占めるが、この検査そのものを日本で実施してきたのも精神科が中心であり、現行の医療保険制度内では低い診療報酬しか与えられていないといったこともあって、PSGを特殊なものとして、大学で一部の興味のある医師や研究者が研究費を用いて研究目的でおこなうのがやっとという状態であった。その結果、研究対象となる患者層に対応するだけで、大部分の患者にとってはこの検査を利用できないという状態が長期にわたってつづいている。
加えて、一九九〇年代に入るまでの日本社会は、高度成長経済のもと、過度に勤勉であることが求められ、健康維持・増進の三要素である栄養・運動・休息のうち、休息にはほとんど目が向けられてこなかった。したがって、国民の大部分が睡眠奪取状態にあるなかで、慢性的な疲労状態や居眠り、昼間の能率の低下や事故がおこっていてもそれに対して警告が発せられるようになってきたのは、ごく最近になってからである。しかし、この現状が医療従事者はもとより、国民全体にまで理解されつつあるとは、まだまだ言い難い現状にある。どのように日本でも睡眠医療なるものを実践していくべきかは、今のところ解答がない。」
「日本睡眠学会も現時点では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に取り組んでいる呼吸器科医が参入するまでには至っていない。異なった専門分野の医師を統合するかたちでの学会や団体は未だ設立されておらず、ただ、この流れのなかで、不利な条件のもとで睡眠という未知の分野に取り組んで、アメリカでの研究に伍していくだけの成果をあげてきた研究者があり、一九九〇年にPSGを保険適応にさせるまでに、夜、一人で寝ないでPSGをおこないながら、翌日も働いていた睡眠が好きでたまらない先人の努力があったことは、忘れられてはならない。
睡眠医学の領域にそれぞれ部分的にかかわってくる精神科医、呼吸器科医の一部(さらに人口としてはもっとすくなくなるが、耳鼻咽喉科、口腔外科、小児科、神経内科医の一部)が、それぞれの専門領域とオーバーラップしてくる睡眠障害を担っているのが現状である。
大きな問題点は、日本のどの大学にも睡眠医学講座なるものが存在しないことで、ある講座のなかに部分的な形での睡眠研究室があるかないかというところが大部分であるため、睡眠に関する医学教育はなされていないに等しい。
総合的なトレーニングを受けたり、多くの症例を短期間に経験したり、トレーニングの一環として研究に携わったりする機会は日本ではほとんどない。また、総合的な睡眠センターがほとんど存在しないこともあって、睡眠専門医ないしはポリソムノグラフアーとして生計をたてていくことは困難であり、職種としての身分保証がないという現実につきあたってしまう。
したがって、これからの睡眠医療をより望ましいものにしていくためには、職種としてのアイデンティティの問題、次世代にどのようにして技術や知識を伝えていくかといった問題にも目が向けられていく必要がある。
大多数の人が一生に1度はなんらかの睡眠障害で困ることがあると考えても過言ではない。睡眠医学は新しいが、これからますます重要になってくる分野である。たとえば、睡眠呼吸障害は、近い将来、生活習慣病としての地位を確立するであろうし、日本における日常生活での睡眠衛生の悪さ、夜間就労人口の増大、急増する高齢者といった現象は、ますます専門的な睡眠医療の必要性を増していくものと思われる。」
日本睡眠学会は、二〇〇〇年六月の定期学術集会で、「睡眠医療認定医(学会認定医)」「睡眠医療認定検査技士(学会認定検査技士)」「睡眠医療認定医療機関(学会認定医療機関)」の制度を設けようとしています。時代はすこしずつ前進しているようです。

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