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睡眠覚醒リズムの乱れ

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睡眠覚醒リズムの乱れ

非24時間睡眠覚醒症候群

睡眠覚醒リズムについて一人の学生の症例を以前紹介した。彼の睡眠覚醒リズムは24時間よりも長く、もはや世間の正常な生活リズムを維持することができなくなっていた。つまり、外的環境との同調システムを体内時計が放棄してしまったために、就眠時間が毎日少しずつ遅い方へずれこんでいく–
まさにこれは睡眠覚醒リズムの異常であり、「非24時間睡眠覚醒症候群」と呼ばれる睡眠障害である。この種の睡眠障害は非常にまれにしか報告されないが、この症例から、私たちのふだんの睡眠は体内時計と外的環境がしっかり同期しているからこそ保たれるのだということがわかる。
もし、この同期システムがこわれ、体内時計が昼夜サイクルを無視して走り出してしまうと、その人間の生活は混沌におちいる。体内時計がたまたま昼夜サイクルと一致しているあいだはよい。患者は社会に合わせたスケジュールを立てることができる。ところが、何日かすると、体内時計が昼夜逆転し、昼間に体が眠るようになる。こうなると、まわりに合わせるどころか、自分の生活習慣そのものがめちゃくちゃになってしまう。
ただし、睡眠覚醒リズムが24時間より長くなったとしても、その周期が固定されてさえいれば、何とかスケジュールを立てることができる。つまり、そのリズムがつねに25時間周期と決まっていれば、毎日一時間ずつ就眠時間・起床時間がずれこんでいくことになるわけだから、そのスケジュールにもとづいて生活を組み立てればいいのである。たとえば、人と大切な約束をする場合、昼間に体がしっかり起きているような日を選べば失敗は少ないであろう。
だが、この種の睡眠障害において、体内時計がつねに一定の割合でずれていくことは少ない。それどころか、とつぜん何の前触れもなく、26時間周期になったり、29時間周期になったりすることが多い。こうなると、当然のことながら、もはや予定を立てること自体不可能となる。非24時間睡眠覚醒症候群は、非常にめずらしい病気である。私たちテクニオン睡眠研究所が診察した患
者の数は1万5000人を超えるが、この症候群にはほんの数例しか出会わなかった。そのうち2人は目の見えない患者だったが、これはさほど驚くべきことではない。非24時間睡眠覚醒症候群は、視力を失った人に多い疾患なのである。すでに述べたように、体内時計が外的環境リズムに同調するためには昼夜の明暗リズムがもっとも重要な刺激となる。したがって、光の明暗が感じられない場合、体内時計は自分のリズムで走り出そうとする傾向が強い〔ただし、目で受けた視覚映像と光の明暗情報は、それぞれ別の神経経路によって目から脳へ届けられるという。したがって、「目が見えなく」ても、脳に明暗を感じとる能力が残っているケースもある〕。

夜型人間の悩み–睡眠相後退症候群

睡眠覚醒リズム障害にはさまざまなタイプがある。もっとも普通に見られるのは「睡眠相後退症候群」である。つまり、非24時間睡眠覚醒症候群とは違って、睡眠時間帯が遅い時刻にずれこんで固定化し、どうしても正常なサイクルに戻すことができなくなる病気である。患者は極端な「夜型人間」となり、その睡眠習慣から抜け出すことができない。生活習慣が作り出す「夜ふかし・朝寝坊」であればさほど重大な問題ではないのだが、生体リズムが外的環境との同調を失ってしまった結果生じる「夜ふかし・朝寝坊」は本人の健康や生活に深刻な影響を与える。
睡眠相後退症候群は、何よりもまず、患者本人が訴える症状にもとづいて診断される。つまり、夜は深夜・早朝まで眠ることができない。入眠後は熟睡できるのだが、いったん眠り始めると、今度は昼頃までまったく目が覚めない。状況性不眠や慢性不眠であれば睡眠薬による対症療法が可能だが、睡眠相後退症候群の場合、薬剤による治療はあまり効果がないようだ。そうなると結局、患者はベッドの中でじっと「眠りの扉」が開くのを待ち続けるしかない。へたをすると、夜が明ける頃、ようやく眠りにつくことになる。
テクニオン睡眠研究所は、これまでに100人以上の睡眠相後退症候群の患者を診察してきた。その臨床体験を通じて、この疾患に関する特徴的な問題点がいくつか明らかになってきた。
睡眠相後退症候群の患者の中には、自分の睡眠覚醒リズムに合わせて無理なく生活できるよう、特殊な仕事についている人もいる。たとえば、ある女性患者は早朝まで営業するパーを経営し、自分にふさわしい生活のリズムを作り出していた。また、夜勤を続け、昼は眠るという生活を選んだ患者もいた。だが、問題は退職後の生活である。仕事をやめて世間一般の生活に戻ろうとしても、彼らは朝きちんと起きることができない。つまり、たいていの睡眠相後退症候群の患者にとっていちばんの問題は、普通の人が目ざめる時間に起きられないということだ。場合によっては、朝起きられないということの方が、眠れないことよりもずっと深刻な問題である。たとえば、たいていの会社は午前ハ〜9時から午後5時を勤務時間としているわけだが、夕方の4時にならないと目が覚めないような人間が、一般社会の中で生活していくのは至難の業である。
また、睡眠相後退症候群はかなり若いうちから発症することが多い。たいていの患者は、物心ついた頃からずっと夜型の生活を続けてきたと訴える。中には、幼い頃のことを憶えていて、夜になってもなかなか眠れなかった思い出を語る患者もいた。また、両親や家族の言葉が参考になることもある。たとえば、ある母
親の話だが、彼女は夜の一時や2時といった「尋常ではない時間帯」に、3歳の息子を連れて夜の散歩に出かけるのが日課であった。午前3時より早い時間に寝かしつけることはとうてい無理だったという。だが、この母親にとっていちぱんの気がかりは、いぶかしげな近所の目であった!
要するに、睡眠相後退症候群は、精神障害による不眠症などにくらべると発症の年齢が低い。私たちの睡眠研究所を訪れる睡眠相後退症候群の患者も、すでにあらゆる手をつくして、さまざまな治療法を試みてきたというケースが多い。だが、それでも結局たいした効果は上がらないのが普通である。
睡眠相後退症候群の患者には、精神科治療を必要とするような症状が認められることも多い。私たちは、睡眠相後退症候群そのものが原因となって行動異常を引き起こす場合もある、と考えている。つまり、幼い頃からまわりの人間の生活リズムに全然なじめない上、何とか普通の生活時間帯を維持しようと努力しても、
すぐもとに戻ってしまう。これでは、たえずフラストレーションを感じていなければならない。こうした状況に置かれた患者の一例を紹介しよう。学校に行っている頃、この男性患者は一時間目の授業に間にあったことがなく、そのせいで罰を受けることになった。その罰というのは、一時間目の授業より30分早く校長室へ来なさい、というものであった。当然、そんな芸当ができるはずもなく、たちまち放校処分を受けた彼は、特殊な教育施設へ移されてしまった。やがて彼も兵役に加わるべき年齢となったが、軍は彼の睡眠習慣とふだんの行動を問題視し、兵役への参加資格なしと判断した。ところが、この若者が私たちの研究所で治療を受けることになり、その結果、症状は大幅に改善されたのである。彼はこれまでの勉強の遅れを数カ月で取り戻し、最終的に軍の許可を得て、兵役についた。軍に受け入れられたことを、私たちはわが事のように喜んだものである。
睡眠相後退症候群の患者数について正確な統計はない。しかし、この病気についての社会の認識度は低く、どの患者も世間の無理解について歯がゆく思っているはずだ。たとえば、ベッドに横になった瞬間にもう眠っているような健康人にとって、眠りたいのに眠れないとか、起きたい時間に起きられないという人がいること自体、不思議でしょうがないのである。この考え方は、自分を基準にしてしか物事を評価できない偏狭な態度というほかはないが、私たちの研究所ヘカウンセリングのためにやってきた夫婦のあいだでも、そうした意見の衝突が頻繁に起こる。たいてい妻の側が不眠症に悩んでおり、夫がそれを否定するというパターンである。夫にとって妻の不眠症は、「眠れないと思いこんでるから眠れないにすぎない」。しかも、「本当に眠ろうと思ったら、眠れないわけがない」などと、不眠に対して自己流の考えを述べたりする。
たしかに、自分の子どもが毎晩夜中まで起きていて、翌朝かならず学校に遅刻するような生活態度を見せたりすれば、親としては、なぜきちんと起きられないのか不思議に思いたくなるだろう。そういうとき、勉強したくないからではないか、とか、親に対する反抗心のせいではないか、といった説明に落ちつくことが多い。生活態度全般がだらしないといわれてしまうことさえある。また、子どもに罰を加えたり、むりやり起こしたりすれば、結果として子どもの病気はひどくなる一方である。そのせいで精神科の治療を受けるようなことになれば、子どもの心には一生消えない揚が残る可能性もある。
したがって、子どもの睡眠習慣について、小さいうちから十分気をくばることが大切である。極端な朝寝坊や夜ふかしを、すぐ子どもの気まぐれな性格に結びつけたり、だらしないとか反抗的だと決めつけてはいけない。睡眠障害の可能性がある以上、専門家による診断が必要である。いずれにせよ、自分の睡眠習慣を他人に押しつけるべきではない。誰もが朝の6時にすっきりと目ざめ、元気に行動できるわけではないのだ。たとえどんなに健康な人であっても、睡眠時間を8時間と決めて、そのスケジュールどおりに一分一秒の狂いもなく目ざめるなどということが不可能なのは、自明のことであろう。それと同様、どんな人間でも朝早く起きられると思うのはまちがいである。
ここ2年間の診察経験からいうと、睡眠相後退症候群について理解を深めてほしいのは、まず小中学校・高校の先生方である。つまり、朝起きられず、毎日遅刻をするような生徒は、生体リズムの調整機構に問題が生じている可能性がある–学校の先生はこの点を十分理解し、その上で子どもたちに接していただきたい。
さて、睡眠相後退症候群とは逆に、睡眠相前進症候群と呼ばれる疾患も報告されている。つまり、体内時計が昼夜のリズムと同調せず、睡眠時間帯が早い時間へ繰り上がってしまうケースである。睡眠相「後退」症候群と睡眠相「前進」症候群では、時間帯のずれる方向が逆になるだけだから、患者の数も同じぐらいだろうと考える人もいるかもしれない。だが、じつは睡眠相前進症候群の方がはるかにまれである。私も、睡眠相前進症候群の患者には数えるほどしか会ったことがない。診察を受けにきた彼らは、みな似たような症状を訴えていた。彼らは夜の7時頃、もうベツドに入って寝てしまう。そして、午前2時か3時に起き出すのである。7〜8時間の睡眠時間をとった彼らは、真夜中だというのにすっきりと目ざめ、一日の活動を開始する。
中には、とくに治療を希望しない患者もいた。彼はただ、自分の精神状態に問題がないことを証明する診断書がほしかったのである。何とその書類は、理解のない妻へ向けての「証明書」であった。彼の妻は、夫の奇妙な睡眠習慣をまったく理解しようとせず、彼の精神状態を疑っていた。事実、夜のパーティーに夫婦で参加しても、彼は起きていることができない。そのことで夫婦は衝突していたのである。
また、40代の女性が同様の相談にやってきたこともあった。自分の睡眠習慣があまりにも一般の人とかけ離れていることが原因で、夫婦間でけんかが絶えないというのである。この患者の場合、事態がかなり深刻だったので、私たちは何とか症状を改善すべく治療に取り組んだ。
睡眠相後退症候群にくらべ、睡眠相前進症候群の患者の数は極端に少ない–この現象について、はっきりした説明はなされていない。しかし、すでに述べたとおり、私たちの体内時計は放っておくと24時間よりも長い周期で働こうとする傾向がある。したがって、生体リズムが外的環境との同調を失ったとき、睡眠時間帯は夜型へ変わっていく方が自然ではないだろうか。実際、次に述べるように、この現象を応用した治療法が効果をあげている。

時間療法と光療法

かつてニューヨークのモンテフィオーリ病院で働いていたエリオット・ワイツマンは、睡眠相後退症候群に対する治療法を開発した。ワイツマンは、睡眠科学が発達し始めた頃、研究を精力的に推し進めた中心人物の一人である。
ワイツマンは、睡眠覚醒リズムをコントロールするしくみに注目し、その原理を治療に応用した。ワイツマンによれば、睡眠相後退症候群の患者が夜型の生活から説することができないのは、体内時計が基本的に24時間より長い周期で働こうとするからである。つまり、もっと早く寝て早く起きようとしても、体内時計の強い抵抗に遭うことになる。
そこでワイツマンらは、就寝時刻および起床時刻を早めるのではなく、逆に少しずつ遅く起きるようなスケジュールを立て、睡眠時間帯を徐々にずらしていけば、やがて希望の時刻に寝起きすることが可能になるのではないかと考えた。たとえば、午前0時にベッドに入るものの、朝の4時まで寝つくことができない患者がいるとする。そこで2〜3日のあいだ、就寝時刻を午前8時に設定する。そして、そのまま、就寝時刻を、たとえば午後0時、午後4時、午後8時と徐々にずらしていき、最終的に午前0時に寝つくことができるようにするのである〔3時間ずつずらす治療法もある〕。睡眠相後退症候群の患者にとって、早めに寝るのは至難の業だが、就寝時刻を先送りにするのはさほどむずかしいことではないはずだ–ワイツマンらは、そう考えた。これを何日か続ければ、希望した時間に眠れるようになるのではないか。
この治療法は予想どおりうまくいった。就寝時刻をずらすことには何の困難もともなわなかったし、最終的に希望の就寝時刻までもっていき、そこで患者の睡眠習慣を固定させることに成功したのである。ただし、この治療法は少しずつ進めることが肝心なので、一ヵ月あるいはそれ以上の長期間にわたって患者は決められた時間にきちんと眠る必要がある。つまり、患者側の積極的な努力が不可欠となる。また、昼間からベッドに入らなければならない時期もあるため、仕事や家族生活との調整も重要になってくる。そして、最終的に希望の就寝時刻に達したら、以後、その習慣をしっかり守らねばならない。というのは、少しでも就寝時刻がずれてしまうと、ふたたび睡眠時間帯が元に戻ってしまうからである。時間療法は非常に効果的な治療法なのだが、治療を受ける側にもかなりの負担をしいるため、途中であきらめてしまう患者も多い。ところが、ある発見によって、睡眠相後退症候群に対するあらたな治療の道が開けた。すなわち、人間の体は2500ルクス以上の強い光を浴びると、睡眠覚醒リズムをコントロールする体内時計に変化が生じ、同時にメラトニンの分泌量が抑制されるというのである。この発見をもとに、次のような治療法が考え出さ
れた。たとえば、毎朝4時になってようやく眠っていた患者が午前0時に眠る体をつくるためには、朝のあいだに強い光を浴びておく。逆に、夜の8時に眠っていた患者が午前0時の就寝時刻を身につけるためには、夕方になってから強い光を浴びる。つまり、朝の光照射は睡眠相を早め、夕方の光照射は睡眠相を遅くする。光療法の効果の高さは臨床データによって証明されている・光を浴び始めてから何日かすると、睡眠時間帯にさっそく変化が生じる。この変化は徐々に進んでいき、2〜3週間もすると、希望の就寝時刻に到達する。治療用の光源としては、強い光を発する特別なランプを使用する場合もあるし、自然光を利用することもある。テクニオン睡眠研究所でも、夏のあいだは自然光を利用し、よい治療効果をあげている。
また、すでに述べたように、私たちは目の見えない人を対象とした実験も行なっている。中には、メラトニンの分泌リズムがこわれ、その結果、睡りが損なわれる場合もある〔ただし、目が見えないからといって、かならずメラトニンの分泌リズムに異常をきたすわけではない。というのも、視覚映像と明暗情報は、それぞれべつの神経経路によって目から脳へ伝わると考えられているからである〕。そこで私たちは最近、睡眠覚醒リズム障害に悩む患者のうち、健康な目をもつ人々に対してもメラトニンの投与をこころみている。その結果、まずわかったことは、メラトニンを適切なタイミングで投与すれば、希望した時間に「眠りの扉」が開き、望ましい時刻に眠気が訪れ、正しい睡眠リズムが得られるようになる、ということである。

夜も働く人々ー交替制勤務睡眠障害

人間は、太古の昔から、日の出とともに動き出し、日没とともに体を休める暮らしを続けてきた。ところが、エジソンによる白熱電球の発明が私たちの生活をすっかり変えてしまった。エジソン自身、ほとんど眠らない人間だったといわれているが、その真偽のほどはわからない。ともかく、エジソンによって人工光が発明され、急速に普及したせいで、私たちの生活は日の出や日没という枠組みから自由になった。要するに、現代社会は「24時間態勢」で回転しているのである。実際、一分たりとも休まずに連続操業する生産設備や、24時間中継続するサーヴィスが私たちの社会には存在する。夜間勤務を余儀なくされる仕事に従事すると、夜が明けてから睡眠をとることになる。仕事の種類によっては、その生活がずっと続くこともあれば、週や月単位で勤務時間が交替することもある。基本的に、24時間態勢を必要とする職種では、交替制勤務を導入することが多い。その多くは3交替制で、時間帯を日勤・夕勤・夜勤の3つに分け、所定労働時間をそれぞれ7〜8時間に設定する。交替制の具体的な内容は、国ごとに異なるし、個々の職場によっても異なる。
では、夜勤から帰って朝方から眠るのと、日動を終えて夜眠るのでは、どのような違いが出てくるだろうか? さまざまな研究データが示すところによると、どんなに理想的な環境で眠ってみても、夜勤後の昼の眠りは日勤後の夜の眠りにくらべ、2時間ほど短くなってしまうという。その理由としては、夜間勤務にともなって変化する睡眠覚醒リズムと、体にそなわる体温変動リズムの不一致が考えられる。すでに述べたとおり、人間の体温は早朝にもっとも低くなり、夜に入ってから最高点に達する。したがって、日動の場合、ちょうど体温が下がり始めた頃に眠りにつくことができる。一方、夜間勤務では、逆に体温が上昇しているときにベツドに入らなければならない。外界から隔離された部屋で生活すると、体温変動のリズムと睡眠のリズムがずれていく。そのとき、体温の下降と入眠のタイミングが合致したときは睡眠時間が長く、体温上昇中に眠りにつくと睡眠時間が短くなることが知られている。また、夜勤から帰ってベツドに入ったとしても、防音室でもないかぎり、日中の喧騒が耳に飛びこんでくる。部屋を完全に暗くすることもできない。睡眠を妨害する要素が周囲にいくらでも存在する。
結局、交替制勤務は、睡眠障害におちいりやすい状況を作り出している。そのせいで、労働者の体が勤務時間の変化についていかなくなってしまうことも多い。
この数年、テクニオン睡眠研究所は交替制勤務についてさまざまな角度から研究を続けてきた。そのおもな目的は、交替制にうまく順応するための睡眠プランを検討すること、そして実際に労働者の眠りを調べ、交替制への適応能力を調べることであった。ただし、研究室で睡眠実験を行なったのでは、彼らのふだんの眠りを調べることができない。そこで私たちは、継続的なモニタリングのために特殊な記録装置を用意した。つまり、被験者の腕に「行動記録装置」を取りつけたのである〔この装置は、日本ではアクチグラフという名で知られている〕。この記録装置は小型コンピューターを内蔵しており、被験者の腕の動きを24時間連続して記録し、メモリーに蓄える。最終的に、このデータはべつのコンピューターで処理され、被験者の睡眠覚醒リズムとして解析される。
調査結果をまとめてみると、勤務シフトが変わると睡眠パターンにも大きな変化が生じることがわかった。
つまり、夜動あけの眠りは、日勤後の眠りにくらべると持続時間が短い。具体的には、前者が約5時間、後者が約7時間であった。これは研究室での実験とも合致する結果である。また、夜勤の後は朝方から昼頃にかけて眠り、さらに午後に入って眠りなおす傾向があることも明らかとなった。つまり、2回、あるいはそれ以上にわけて睡眠をとる傾向が認められたのである。
さて、交替制勤務スケジュールの立て方だが、体の中の睡眠覚醒リズムになるべく無理のこないスケジュールを工夫すれば、働く側にとっても楽だろう。その際、考慮すべき点がいくつかある。中でもいちばん重要なポイントは、一交替期間の長さ(「直」の長さ)である。つまり、日勤や夜勤を何日間連続させるかという問題である。これは国によって慣習が異なっており、アメリカでは2〜4週間の長期交替制がとられているが、短期交替制が多く見られる国もある。とくに日本やヨーロッパでは、3〜5日の短期交替制が行なわれている。いずれのシステムも、長所と短所をもつ。
長期交替制の場合、体内の概日リズムが夜勤の生活リズムに同調するための時間的余裕がある。体内時計が夜中心の生活リズムに慣れるには7〜10日を要するので、一交替期間が終わるまでに夜勤への順応が完成するはずだ。だが、計算上はそう予想できても、実際の研究データによると、2〜3週間をすぎても、いまだ体が夜勤に慣れないという例は多い。これは、休みの日になるとつい、ふだんの睡眠習慣が顔を出し、夜になってから眠る生活に戻ってしまうからである。こうなると、もはや連続した長期交替制とはいえなくなる。こうなると結局、体内時計が夜勤のリズムに順応するまでには、予想以上の日数を要することとなる。
逆に、短期交替制の場合、体内時計が生活リズムに順応しているひまはない。つまり、体内時計はつねに外的環境と同期した状態を維持し、一定の状態を保つ。体内時計の恒常性–それが短期交替制のメリットである。研究者の中には、体内時計がつねに一定の状態にある方が交替制勤務は楽になるはずだし、長い目で見れば健康にもよい、と考える者もいる。
勤務シフトの送り順も重要なポイントである。送り順には、時計回りの「正循環」(日勤→夕勤→夜勤)と、逆時計回りの「逆循環」(夜勤→夕勤→日動)の2種類がある。現場の声を間くと、逆循環の方が人気が高い。これは、逆循環の方が、夜勤シフトから次のシフトに変わるときに連続して休める実質上の時間が
長くなるからである。しかし、すでに見たように、私たちの体内時計は放っておくと24時間よりも長い周期で勤こうとする。したがって、体内時計の自然な動きを尊重するためには、当然、就寝時刻がだんだん遅くなる「正循環」の勤務シフトを選ぶべきであろう。
勤務時間がたえず変化するために、体内時計が安定せず、作業能率が低下する–交替制勤務が強いる特殊な状況は、近年、大いに注目されている。交替制勤務に対する関心が高まった理由の一つに、特殊な勤務体制のせいで不注意による産業事故が多発し、社会に与える影響が無視できなくなったことがあげられる。
19世紀であれば、「夜間勤務」といえば、門衛や料理人といったところだろう。史料によれば、宮廷の仕立屋や料理人は、夜も働いていたという。とくに、国をあげての晩餐会や祭礼のおりには、彼らは眠るひまもなかったらしい。
だが今日、核施設や原子力発電所における夜勤作業員の指先一つで、何百万という数の人間の運命が左右される。1986年4月26日、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で事故が起こったのも、夜間勤務の人間が連続操作ミスを犯してしまったせいだ。これは午前2時のできごとである。だが、チェルノブイリの核事故は、さらに大規模の事故、想像もおよばない大事故につながる可能性もあった。そうなれば、地球上の生態系は徹底的に破壊されていたことだろう。アメリカのスリーマイル島での核事故、インドのボパールで起こったユニオン・カーバイド社の毒ガス事故–これらの事故の発生時刻も、早朝の時間帯であった。睡眠不足の夜勤作業員が、間違ったボタンを押す。その結果、広範囲の土地が放射能で汚染される。そんな恐ろしい事態を予防するためにも、夜間勤務についてさらなる研究が必要である。
時差ぼけ–時差症候群現代は、宇宙船が人を乗せて飛ぶ時代であり、もはや飛行機による外国への移動は日常茶飯事となった。
日々おぴただしい数の人間が国と国のあいだを飛行機で移動し、「時差ぼけ」という言葉もごく普通の単語となってしまった。
イスラエルからアメリカ、あるいはアメリカからイスラエルヘ移動すると、現地到着後しぱらくは夜眠れなかったり、昼間に眠気を覚えたり、日中の倦怠感に悩んだりする。現地の生活時間に慣れるまでに、早い人で1日から2日、遅い人だと一週間以上もかかる。時差ぼけは、人類のテクノロジーが生んだ負の側面という意味で、交替制勤務と同様の存在である。
時差ぼけの原因は、まず何よりも、突然の環境変化に体内時計がついていけなくなることにある。つまり、時差のある地域間を急激に移動すると、体内時計が現地の時間サイクルに同調するまでに、どうしてもある程度の時間を必要とする。
具体例をあげて説明しよう。イスラエル人のビジネスマンがテル・アヴィヴからニューヨークヘ直行使で移動するとする〔両地の時差は7時間〕。前日自宅のベッドでたっぶり7時間眠った彼は、午前6時にベン・グリオン空港へ到着。よく眠ったおかげで、気分は爽快である。機体は午前8時に離陸した。ビジネス・クラスの座席についた彼は、朝食をとってから、座席のテープルに書類を広げ、さっそく仕事に取りかかった。
午後2時、テル・アヴィヴを飛び立ってから6時間後、機体はイギリス上空にさしかかる。彼はヴィンテージもののワインを傾けながら、ヴォリュームのある昼食を平らげた。ワインのせいで少し眠気をもよおした彼は、座席をリクライニングさせ、窓のプラインドをおろし、アイ・マスクを取り出した。このアイ・マ
スクは、にこやかなスチュワーデスが配っていったものだ。座席の上で体を楽にした彼は、深い眠りに落ちていった・・・・。しぱらくして目ざめると、体はすっかり回復していた。何時間も眠ったように感じたが、時計を見ると一時間しか経っていない。驚いた彼が窓のプラインドを上げてみると、太陽はあいかわらず同じ高さにあった。実際、機体左手方向に見える太陽の高さは、テル・アヴィヴを出発したときとほとんど変わらぬように見えた。昼寝の後、彼はふたたび仕事に取りかかった。到着までに軽食が一度出され、映画の上映があった。彼は上映中少し居眠りをした。
ニューヨーク現地時間で昼の12時、機体はケネディ国際空港に無事着陸した。この日は、まず午後6時の会議に出席しなければならない。緊急を要する臨時会議だったため、こんな遅い時間に設定されたのである。指定された会議室に到着すると、すでに参加者は顔をそろえていた。アメリカ全土から集まった20人ものビジネスマンが、彼の到着を首を長くして待っていたのである。彼はさっそくプレゼンテーションを始めた。ところが、話しているうちに、だんだん意識が豚脂としてき
た。瞼が鉛のように重い。彼は突然の睡魔と必死に闘いながら、早く会議が終わらないかと腕時計に目をやった。ところが、なんと時計は午前3時を示していたのである! つまり、時刻を合わせ忘れた彼の時計はイスラエル時間のままだったのだ。もちろん、現時時間からずれていたのは腕時計だけではない。彼の体内時計もイスラエル時間で動いていた。会議中、彼の体温は一日の最低レヴェルに達し、同時に眠気はピークに達した。テル・アヴィヴとニューヨークの時差は7時間。7時間も時差のある国へ、11時間のフライトで一気に移動したわけだが、体内時計にとって、これほど急激な変化についていくのは大変な仕事である。
会議中、彼はあやうく眠りそうになった。だが、眠気だけが時差ぼけの症状ではない。時差ぼけは、夜眠れなくなるという困った状態をも作り出す。
ピジネスマンのその後を追ってみよう。午後9時にようやく会議が終わり、彼は疲れ切った体をかかえて、ホテルヘと向かう。ベッドに横になった彼は、あっという間に眠りについた。ところが、午前4時に目が覚め、今度は眠れなくなってしまった。体は疲れ切っているというのに、もう眠ることができない。しかたな
く彼は朝までテレビを見て過ごした。
このビジネスマンが朝早く目が覚めてしまったのも、体内時計のせいだ。つまり、彼の体内時計はあいかわらずイスラエル時間で動いていたのである。たとえば、ふだん週末に夜ふかしをすると、翌日起きられず、起床時間が午前11時頃になったりするわけだが、まさに彼が目ざめたニューヨークの午前4時は、イスラエル時間の午前11時にあたる。
体内時計が現地の生活サイクルに同調できないあいだは、眠りのリズムが乱れ、昼間の注意力や作業能率も低下する。イスラエルからアメリカに飛ぶ場合、現地の生活サイクルに慣れるまで3〜4日かかるのが普通である。
時差ぼけは、東方向へ移動しようが、西方向へ移動しようが、同じように現れる。ただし、移動の方角によって、現地のリズムに慣れるまでの時間に差が出てくる。つまり、束へ移動したときの方が、同調するのに時間がかかるのである。これは交替制における勤務シフトの送り順と同じ問題であり、その原因は、人間の概日リズムが24時間より長いことに求められる。
すでに見たように、テル・アヴィヴとニューヨークの時差は7時間である〔なお、ニューョークはテル・アヴィヴから見ると西方向に位置する〕。したがって、ふだん夜ので一時に寝ているイスラエル人が、ニューヨークに到着した当日、現地時間で夜のこ一時に寝たとすると、結局イスラエル時間では午前7時就寝となり、いつもより7時間遅く寝たことになる。もう少し早い時刻、たとえばニューヨーク時間の午後9時にさっさとベッドに入ったとしても、体内時計は午前4時、要するにイスラエル時間の午前4時の状態にある。午前4時といえば、誰でも眠たくなる時間帯だ(週末に深夜パーティーを開くと、ベッドにもぐりこむ時間は朝の4時頃になるのが普通だろう)。したがって、ニューヨークではまだ午後9時だとはいえ、ベッドに入ればすぐに寝つくことができる。
逆に、ニューヨークからテル・アヴィヴヘ、つまり西から束へ移動した場合、イスラエルの午後9時はニューヨークの午後2時にあたる。もちろん到着した当日は、まだ体内時計はニューヨーク時間で動いている。
長時間のフライトで疲れていれば、体内時計がまだ午後2時の状態だとしても、なんとか眠ることができるかもしれない。だが、その眠りは短く、せいぜい2〜3時間しか続かない。というのも、ふだんの生活において、午後2時という時刻は、昼間の「眠りの扉」が開く頃だからである。つまり、一応眠気が高まりはするのだが、その眠気はさほど持続しない。
また、ニューヨークからテル・アヴィヴヘ移動する場合、夜遅い時間帯のフライトであれば機内で何時間か眠ることができるかもしれないが、機内で寝てしまうと、イスラエルヘ到着した当日、夜はぜんぜん眠れなくて困ることになる。ベッドに入る時間をイスラエル時間の午後9時ではなく、午前0時までずらしたと
しても、寝つきがよくなるわけではない。というのも、イスラエル時間の午前0時は、ニューヨーク時間の
午後5時にあたるわけだが、すでに述べたとおり、午後5時といえば眠気のレヴェルが非常に低く、寝ようとしてもなかなかむずかしい時間帯だからである。結局、異なる時間帯地域を飛行機で移動する際は、つねに束から西へと向かうフライトを選ぶ方がよいだろう!
時差ぼけに対する適応能力は個人差が大きい。これは、体内時計そのものにそなわっている「柔軟性」、そして、体内時計が環境に対して見せる「感受性」にかなりの個人差があるためだ。たとえば「朝型人間」は非常に生活時間が規則的で、毎日決まった時間に寝起きする傾向があるが、彼らの体内時計が環境変化の影響を受けづらく、つねに柔軟性に乏しいのだとすれば、その心身に対する時差ぼけの影響は普通の人よりも大きいと予想される。とくに、西から束へと移動した場合、その影響の度合いは顕著になるだろう。
起きているべき時間なのに強い睡魔に襲われる。眠りたくても眠れない。眠ってもすぐ目が覚める–結局、これらの現象はすべて、体内時計が急激な環境の変化についていけなくなるために生じる。そこで、時差ぼけの影響を最小限におさえるためには、体内時計と現地時間のずれを十分に考慮した睡眠スケジュール
が必要になる。これは、移動の方向が束であろうと西であろうと、つねに注意すべき原則である。ただし、具体的なスケジュールを立てるにあたっては、移動の方向をも考慮したプランを用意しなければならない。
まず、西へ移動する場合。すでに述べたように、束から西へ移動すると、到着地での就寝時刻が、移動前の就寝時刻より遅い時間帯へずれこむ。そこで、まず到着後の数日はベッドヘ入る時間を早め、午後8〜10時には眠りにつくようにする。そして、その後は徐々に就寝時刻を遅くしていく。たとえばヨーロッパからニューヨークヘ飛んだ場合、最初の数日は、夜の観光に出かけたい気持ちをおさえ、いつもより早めに寝るのがよい。また、昼間の眠気に負けない心がまえも必要となる。
束へ移動する場合は、以下のような2種類のアプローチが考えられる。まず第一のアプローチだが、これは、現地到着後の数日間、就寝時刻をなるべく遅くするという方法である。たとえば、テル・アヴィヴ時間の午前5時はニューヨークの午後10時にあたるわけだが、午後10時といえば、やっと眠気が訪れる時間である。とくに、体が疲れていたり、睡眠不足だったりすると、簡単に眠ることができる。そしてその後は、就寝時刻をだんだん早くして、現地のリズムに合わせていく。この方法は、ふだん早くベッドに入る習慣をもつ人に適している。
第2のアプローチは、現地到着後の数日間、睡眠時間を2つに分割する方法である。まず、午後の「眠りの扉」が開く時間帯を利用して睡眠をとる。午後の「眠りの扉」が開くのは午後3〜4時であり、ニューヨークからテル・アヴィヴヘやって来たアメリカ人にとって、その時間帯は現地時間の午後10〜11時にあたる。このときの眠りはさほど続かないかもしれないが、少しでも眠っておいて、その後、早朝まで起きたまま過ごす。そして、ふたたび眠気の波が押し寄せてくるのを待てばよいのである。そして最終的には、2つに分割された眠りを一つにまとめるべく、徐々に両者の睡眠時間帯をずらしていくのである。
今後、時差ぼけを治すための「光療法」が開発されるようになるだろう。つまり、強い光を浴びることによって体内時計を積極的にコントロールしようというのである。たとえば、西へ移動する場合は、睡眠時間帯が遅い方へずれるような照射スケジュールを立てる。逆に、東へ移動するときは、睡眠時間帯が早い方へずれるように照射時間を調整する。この方法は、飛行機の機内に時差ぼけ防止用の「ジェットラグ・ランプ(時差ぼけ防止ランプ)」をそなえつけることによって可能になりそうだが、今のところ、航空会社はそんな装置を準備してくれそうもない。当面は、現地到着後ただちに外に出て、2〜3時間自然光を浴ぴるのがよい方法であろう。現地で太陽光を浴びることにより、新しい環境への適応はスピーディーに進むにちがいない。

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