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睡眠

睡眠薬による不眠の治療

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睡眠薬による不眠の治療

不眠の疫学
不眠症状と過眠症状(強い眠気)は最もポピュラーな睡眠症状
である。日本人を対象にした不眠および過眠症状に関する大規
模疫学調査の結果↓

年齢階層別の不眠および過眠症状の頻度

年齢階層別の不眠および過眠症状の頻度


 
入眠障害,中途覚醒,早
朝覚醒の3つの不眠症状の有症状率は15〜25%だが.年齢層
によって出現率は大きく異なる。人眠障害はすべての年齢層で
も20%弱の成人に見られる。一方で.中高年齢層では中途覚醒や早朝覚醒など睡眠を持続する力の低下による不眠症状が顕
著に増加する。いずれかの不眠症状を有する者は成人の約
20%であるが,その中には不眠症,その他の睡眠障害、加齢
による生理的変化などが含まれる。「高齢」,「健康感の欠如」.「精
神的ス1ヽレス」,「ストレスヘの対処不良」、「運動習慣がない」,
「雇用されていない」などの要因を持つ人々で不眠が多い。不眠
症(不眠症状十日中の機能障害)の罹患率は6〜8%とされる
(不眠症状の頻度や重症度,機能障害に関する質問形式で数値
は変動する)。 2009年に日本で実施された層化無作為抽出法による全国調
査(厚生労働科学研究・循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
事業・健康づくりのための休養や睡眠の在り方に関する研究班)
では.不眠症状が「ときどき.しばしば,常に」以上の頻度で,
かつ不眠による機能障害のあった不眠症患者は,成人の11.8%
であった。
一方,日本人の約6人に1人(14.9%)が日中の眠気を自覚し
ている。“眠ってはいけない時に起きていられない”強い眠気を
自覚している者が成人男性の2.8%,女性の2.2%に見られる
(2000年厚生労働省保健福祉動向調査)。「男性」.「若年者」,「6時
間未満の睡眠時間」.「睡眠不足感」.「熟眠感の欠如」.「いぴき
や息苫しさ」,「下肢の違和感」.「ストレスの自覚」などの要因
を持つ人々で眠気が強い。このデータからも推測されるように,
日中の眠気の原因としては睡眠不足が原因であることが多い
が,睡眠時無呼吸低呼吸症候群やレストレスレッグス症候群(む
ずむず脚症候群)などの睡眠障害によることも少なくない。
不眠症の診断基準
不眠症の診断基準としては,DSM?IV-TR(DiagnosUc and
StatisUca1 Manual of Mental Disorders, Fourth Edition,Text
Revision).ICD-10(lnternational Statistical Classincation of
Diseases and Related Health Problems,Tenth Revision)ま
たはICSD?Ⅱ (lnternationaI Classmcation of Sleep Disorders,
Second Edition)の基準(原発性不眠症,精神生理性不眠
症,その他の二次性不眠症など)がある。不眠症状には,寝つ
きが悪い(入眠障害).何度も目を覚ます(中途覚醒).早く目覚
めて再人眠できない(早朝覚醒).熟眠感かない(非回復性睡眠)
などがある。ただし.不眠症では夜間の不眠症状のみならず,
その結果として生じるさまざまな精神・身体症状とQOLの低
下が重要である。そのため,不眠症の診断基準では.必須項目
として①夜間不眠の訴えがあり,②睡眠に関連して日中の精神・
身体機能の影響(daytime impairment)を伴うこと-の2点が
求められている。
不眠症の一般診断基準
入眠困難,睡眠維持困難(中途覚醒〉.早朝覚醒,慢性的に非回復性
または睡眠の質の悪さの訴えがある
小児では就寝時のぐずりや1人で眠れないといった症状として現れ
ることもある
上記の睡眠困難は,睡眠にとり適切な状況,環境にかかわらずしば
しば生ずる
患者は夜間睡眠困難と関連した日中機能障害を以下の少なくとも1つ
の形で報告する
1)日中の眠気,疲労感,倦怠感
2)注意力,集中力,記憶力の低下などによる精神運動機能の低下,
作業能率低下,学業低下
3)抑うつ気分,不安,焦燥,いらいら感などのうつ症状
4)意欲低下,興味の減退,積極性の減弱など社会活動性の低下
5)眠気や集中力低下による仕事のミスや運転中の事故の起こしや
すさ
6)頭痛など痛みの増強.胃消化器症状など
7)睡眠についての際限のない心配や悩み,こだわり,睡眠薬への
依存,医療機関への頻回の受診(もしくはドクターショッピング)
など,不眠問題にとらわれることによる弊害

不眠症の鑑別診断

ICSD-Ⅱでは睡眠障害は約100種類ほど存在し.その症状特
徴や病因によって不眠症、睡眠関連呼吸障害.過眠症.概日リ
ズム睡眠障害,睡眠時随伴症.睡眠関連運動障害など大きく8つに大分類される。
ICSD-Ⅱによる睡眠障害の分類と代表的な疾患↓

睡眠障害国際分類

睡眠障害国際分類


不眠症
・適応性不眠症(急性不眠症)
・精神生理性不眠症
・精神疾患による不眠症
・不適切な睡眠衛生
・薬物・物質による不眠症
・内科的疾患による不眠症
睡眠関連呼吸障害
・原発性中枢性睡眠時無呼吸
・閉塞性睡眠時無呼吸
中枢性の過眠症
・ナルコプレシー
・反復性過眠症
(クライネ・レビン症候群)
・特発性過眠症
・睡眠不足症候群
睡眠時随伴症
・睡眠時遊行症
・睡眠時驚愕症
・レム睡眠行動障害
・睡眠麻痺
・悪夢障害
・睡眠時遺尿症
睡眠関連運動障害
・むずむず脚症候群
・周期性四肢運動障害
・睡眠間遠下肢こむらがえり
・睡眠間違律動性運動障害
未解決の諸症状
・長時間睡眠者
・短時間睡眠者
これらの大部分の睡眠障害では不眠症状や
眠気が共通して認められ,不眠を訴える患者の中で不眠症(原
発性不眠症.精神生理性不眠症)に該当する者は一部を占める
に過ぎないことに留意することか大切である。不眠症と誤診さ
れやすい睡眠障害の中には睡眠薬が無効,もしくは症状を悪化
させるものもあるため.鑑別診断と適切な治療法の選択を行う
必要がある。
睡眠問題を訴えて受診した患者の鑑別診断フローチャートを示した↓
睡眠障害の診断フローチャート

睡眠障害の診断フローチャート


診断に先立ち,不眠の性状と持続期間.入床・起床時刻など
の睡眠習慣について問診する。また睡眠中の異常現象(いびき,
呼吸停IL,脚のむずむず感やピクッキ),異常行動(大きな恪勤
や寝言),日中の過眠症状などを確認しつつ診断を進める。

うつ病による不眠

不眠に加え,食欲低下,意欲・興味の減退がある
症状:慢性不眠を訴える患者の約20%がうつ病患者である。
早朝覚醒.中途覚醒が多い。意欲減退.興味の喪失,抑うつ気
分などのうつ症状が前景に出ないケースも多いので注意が必要
である。不眠を呈するその他の精神疾患として不安障害,アル
コール依存症も頻度が高く注意する必要がある。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中の呼吸停止がある。強いいびきがある。日中の過剰な
眠気がある
症状:睡眠中に咽頭喉頭周囲の骨格筋の弛緩により気道が閉
塞し,夜間の激しいいびきや換気停止による血中酸素分限の低
下,それに引き続く覚醒反応および換気回復を頻繁に繰り返す。
夜間の睡眠が頻繁に中断するため不眠のみならず日中の過眠を
呈する,男性に多く見られ.一般成人中での有病率は1〜4%
と考えられ,60歳以上の男性高齢者では20%前後の高率で見
られる。睡眠時無呼吸症候群では頻回の中途覚醒など不眠症状
を伴うか,日中の眠気のみを自覚する場合も多い。肥満,下顎
が小さい.首が短いなどの体型の者に多い。無呼吸はレム睡眠
中に生じやすいため夢の途中で頻回に目覚めることもある。長
期に続く睡眠時無呼吸は低酸素血症による代償性高血圧など心
血管系障害のリスク要因となる。不眠(中途覚醒,熟眠困難)や
眠気しか自覚症状がない時もあるが,ベンゾジアゼピン系睡眠
薬は呼吸抑制や筋弛緩作用により睡眠時無呼吸を増悪させ.夜
間の呼吸・循環器機能を低下させる危険性かある。

レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害

就床時や睡眠中に四肢の異常感覚や異常運動がある
症状:レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群,むず
むず脚症候群)は成人の1〜3%に,周期性四肢運動障害は約
5%に認められ,加齢とともに増加する。レストレスレッグス
症候群では就床時に増悪する「むずむずする」.「虫がはう感じ」,
「不快感」.「突っ張る感じ」などの下肢の異常感覚のため強い人
眠困難が生じる。多くの場合,両側の足関節と膝関節の問に生
じるが.大腿部や足.まれに腕に生ずることもある。下肢を動
かすことにより軽減するのか特徴的である。貧血(鉄欠乏),尿
毒症.関節リウマチ患者で高頻度に見られる。特に鉄欠乏が本
症のリスク因子になり.鉄剤により症状が軽減することもある。
治療薬であるドパミン受容体作動薬を服用中に突発的睡眠
(SOOS;sudden onset of sleep)を生じることがある。
周期性四肢運動障害では眠り始めると周期的に反復する四肢
の異常運動が睡眠中に出現し睡眠が妨げられる。ほとんどか下
肢に生じ,足関節の背屈が母指の背屈.膝関節の屈曲を伴って
繰り返し出現する。1回の異常運動の持続は0.5〜5秒であり.
20〜60秒間隔で出現する。この異常運動が睡眠1時間当たり
5回以上認められ.不眠や日中の過度の眠気などの自覚症状が
ある場合に本症と診断される。「足ががくんとして目か覚める」,「足がぴくぴくして寝つけない」などと訴える。加齢とともに有
病率は増加し,自覚症状を伴わない者も含めると65歳以上の
高齢者では20%以上に達する。レストレスレッグス症候群と
合併例が多く,治療も準じる。

過眠症

十分な睡眠を確保しているにもかかわらず,日中の過剰な眠気がある
症状:過眠症とは,夜間に十分に寝ているにもかかわらず.
日中に強い眠気が出現する睡眠障害の総称である。ナルコレプ
シーでは大事な会議や試験会場など緊張の強い場面でも数分か
ら十数分眠り込んでしまう睡眠発作が主徴である。こうした短
い睡眠でも眠気が一時的に解消されることが多いため,病気と
気づかないことも多い。また,情動脱力発作,人眠時幻覚,睡
眠麻痺などのレム睡眠関連症状が見られる。情動脱力発作は.
笑う、怒る,驚くなどの強い感情に伴って一部の(時に全身の)
骨格筋の脱力が急に生じる。「膝が笑う」,「しゃべりにくくなる」
などと表現されることが多く,脱力発作後に眠ってしまうこと
もある。人眠時幻覚は,寝入りばなに見る,現実的で鮮明な幻
覚で,カーテンの陰の人影や家具が動くなどの幻視のほか.浮
遊感,のしかかられる重圧感.皮膚を虫がはう感じなどの身体
幻覚が見られる。睡眠麻痺は.やはり寝入りばなに.目覚めて
いるはずなのに身体を動かそうとしても力が入らず,声も出な
いという.いわゆる「金縛り]である。ナルコレプシーの発生頻
度は0.1〜0.2%である。
周期性傾眠症(クライネ・レビン症候群)は主に思春期に発症
し,2日〜数週間持続する傾眠(嗜眠)状態が1〜数カ月,時に
数年に1度の間隔で周期的に出現する。傾眠状態の時期でも尿
意や便意があると覚醒する。無理に覚醒させても,不機嫌や抑
うつが強く,無気力で,考えもまとまらず.記憶力も低下して
いるため,社会活動はできない。傾眠状態を抜けると無症状である。成人に達すると大部分が自然寛解する。

睡眠時随伴症

睡眠中に大声を上げる。手足を動かす。歩き回るなどの異常
行動がある
症状:睡眠時随伴症は睡眠中に異常行動.激しい情動や夢,
自律神経異常など望ましくない身体現象が生じる睡眠障害の総
称である。睡眠時随伴症は,ノンレム睡眠からの覚醒障害(錯
乱性覚醒,睡眠時道行症.睡眠時驚愕症など).レム睡眠に関
連するもの(レム睡眠行動障害,悪夢障害など),その他の睡眠
時随伴症(睡眠時遺尿症,睡眠関連摂食障害など)の3つに分け
られる。睡眠時道行症(夢遊病)や睡眠時驚愕症(夜驚)などの覚
醒障害は小児期(5〜12歳)に多く,通常.青年期までには消
失する。
レム睡眠行動障害では.レム睡眠時に見られる生理的な筋緊
張低下が障害され,レム睡眠時に見る夢での行動か異常運動(行
動)となって出現する。軽症例では.大きく明瞭な寝言や床の
中での四肢の異常運動が見られる程度であるが,重症例では寝
床から出て活動したり興奮して暴力行為が見られたりもする。
異常運動は覚醒直前に見ていた夢の内容とよく合致する。通常
の夢体験と同様に刺激により容易に覚醒し,覚醒後は異常行動
や認知障害を残さないためせん妄との鑑別は容易である。成人
の0.38%,高齢者の0.5%程度で見られる。圧倒的に男性に多く.
通常50歳以降に発症する。パーキンソン病,レビー小体型認
知症.多系統萎縮症(multiple system atrophy ; MSA)などの変
性神経疾患で多く認められるとされ.時には神経疾患の発症に
かなり先立って本症が発症(前駆発症)することがある。

概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒リズム障害)

遅い時間でないと寝つけない,定時に起床できない,日によっ
て睡眠時間帯がばらばら.昼夜逆転など睡眠時間帯の異常が持続する場合には原口リズム睡眠障害を疑う。その一型である睡
眠相後退症型では深夜から明け方近くでないと人眠できない。
また覚醒困難が強く目覚ましや声かけでは容易に覚醒せず.離
床しても生活動作の開始までに時間がかかる。人眠困難型の不
眠症と誤診されることも多いが体内時計にマッチした遅い時刻
に入床すると正常な睡眠が得られ,一般的に睡眠時間は長い。
思春期前後の若年発症が多く,約80%の患者は抑うつや適応
障害を合併する。認知症患者の夜間不眠や昼夜逆転の中にも不
規則睡眠・覚醒型が多く見られる。睡眠薬は一般に無効で,む
しろ持ち越し効果により覚醒困難を増悪させる。概日リズム睡
眠障害に対しては光療法やメラトニン作動薬など体内時計の調
整を行う必要がある。

不眠症

不眠症は原因によっていくつかに下位分類
される。
①適応障害性不眠症
明確なストレスによって生じ.その要因がなくなると不眠も
解消する短期間の不眠症である。生活上の種々のライフイベントに応じて数日〜数週間程度の短期の不眠症状を呈することが
ある。ストレス源の解決や適切なコーピング,短期間の睡眠薬
の服用により多くは一過性で治癒する。
②身体疾患および治療薬による不眠
身体疾患はしばしば不眠症状を随伴する。不眠が生じやすい
疾患として気管支喘息.慢性閉塞性肺疾患.胃潰瘍.十二指腸
潰瘍.逆流性食道炎.心疾患.糖尿病や高血圧などの生活習慣
病.線維筋肉痛症,アトピー性皮膚炎などの皮膚掻楳性疾患か
ある。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は呼吸抑制や筋弛緩作用によ
り睡眠時無呼吸を増悪させ.夜間の呼吸・循環器機能を低下さ
せる危険性があるので注意か必要である。また.既存の疾患に対する治療薬が不眠を惹起することがある。

睡眠障害の原因となる薬剤

睡眠障害の原因となる薬剤


 
降圧薬(β遮断薬,α2刺激薬,Ca桔抗薬),ステロイド剤,カフェイン.
抗パ一キンソン病薬,気管支拡張薬.インターフェロン,抗う
つ剤(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などで不眠、悪夢.
夜間ミオクローヌス,うつ状態などが生じることがある。
③不適切な睡眠衛生による不眠症
睡眠衛生の観点から見て不適切な睡眠習慣によって生じる不
眠症。就床時刻が早過ぎる.午睡が長過ぎる、運動量が乏しい
などライフスタイル上の問題から不眠症状が出現することがあ
る。カフェインの過剰摂取や夕方以降の摂取.アルコールによ
る浅眠などシンブルな原因に気づかないケースもある。
④逆説性不眠症
大部分の不眠症患者では陳述と実際の睡眠状態には乖離がある(より重篤に自覚する)。不眠を生じるような明らかな要因が
なく,睡眠ポリグラフ試験やアクチグラフ検査などで正常な睡
眠がとれていることが明らかにもかかわらず,強い不眠感を訴
える不眠症がある(睡眠状態誤認,逆説性不眠症)。このタイプ
の不眠症では愁訴だけで睡眠薬を増量しても効果が得られない
ため注意が必要である。
⑤原発性不眠症
さまざまな心理社会的ストレスが誘因となって緊張が高まり
不眠が出現する,いわゆる一般にいう「不眠症」がこれに当たる。
他の睡眠障害を除外診断した後に本症と診断される。成人の
2%で認められる。プライマリケアで遭遇する睡眠障害の20%
程度を占める。種々の心理社会的ストレスが誘因となって不眠
が出現し,就床行動と不眠が条件づけられて慢性化する。心気
的,強迫的,神経質な性格傾向の強い患者の場合には,不眠症
状へのこだわりが生じて不安が増強し,不眠が悪化・遷延しや
すい。不眠症が長期(数カ月以上)にわたり持続すると,交感神
経緊張や視床下部一下垂体一副腎皮質系機能の亢進など生理的
過覚醒と呼ばれる状態に陥るため不眠が重症・難治化すること
が知られている。したがって1ヵ月を超える不眠症に対しては
睡眠薬や認知行動療法による治療を躊躇せずに行い,眠れる体
験を取り戻させることが慢性化を防ぐ手立てとなる。精神生理
性不眠症と逆説性不眠症を合わせた概念が原発性不眠症
(DSM-Ⅳ-TR)に相当する。

不眠治療

不眠治療の基本的な考え方
現在の不眠症治療の主流は睡眠薬を用いた薬物療法である。
しかし.現行の薬物療法はエフェクトサイズおよび安全性の両
面で改善の余地があり,薬物療法単独では十分に満足できる長
期予後とアドヒアランスが得られないケースも多いことに留意
する必要がある。過去の疫学調査によれば,1ヵ月以上持続す
る慢性不眠症に陥ると,その後も遷延しやすく,極めて難治性
であることが明らかにされている。慢性不眠症患者の70%で
は1年後も不眠が持続し、約半数では3〜20年後も不眠が
持続する。また,慢性不眠症患者の約半数は薬物療法な
どでいったん寛解しても,さらにその半数は再発する。一般
的に.慢性・難治性疾患の治療では,必然的に治療薬は長期使
用かつ高用量となりがちであるが,睡眠薬についても例外では
なく,国内で睡眠薬を長期服用する患者は増加しており.1日
当たりの服用量も増加傾向にある≒
しかしながら,難治性・治療抵抗性であることは無期限.無
制限の処方を正当化するものではない。あくまでも,治療の最
終エンドポイント(良眠による日中の機能改善)を達成する方策
として有効であること.かつ.リスク・ベネフィットバランス
の観点から臨床的妥当性があることが求められる。治療途中で
薬物療法の妥当性を適宜評価することなしに,漫然とした長期処方をすることは厳に戒められるべきである。このような観点
から,不眠治療においては,薬物療法と平行して,できるだけ
早期から睡眠衛生指導や認知行動療法などの心理・行動
的介入を行うことか推奨される。
不眠症の薬物療法の現状(初期治療)
不眠症の薬物療法に関する臨床研究や新薬治験の多くは,初
期治療に焦点が当てられてきた。それらの中には.服用後1日
〜8週間の主観的・客観的有効性(治験の探索的・検証的試験、消失半減期に基づく薬物選択.適切な服用法、精神・身体疾患による二次性不眠症の鑑別診断と治療
適応などが含まれる。多数の臨床試験の結果,
GABAA-ベンゾジアゼピン受容体作動薬であるベンゾジアゼピ
ン系および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を用いた初期治療のス
トラテジーは概ね完成している。また.近年上市されたメラト
ニン受容体作動薬(ラメルテオン)については.従来の睡眠薬と
作用機序が異なるため.治療適応(生体リズム障害に起因する
不眠など)やGABAA受容体作動薬の代替薬物としての位置づけ
について検討が進められている。
不眠症の薬物療法の現状(亜急性期〜慢性期治療)
一部の慢性不眠症患者では標準的な用法,用量の睡眠薬では
治療効果が不十分であるため,睡眠薬の高用量処方(Q24).多
剤併用(Q25)が行われることがあり.また効果が検証されてい
ない代替薬物療法が用いられていることも少ない(Q26〜29)。
長期服用時の有効性と安全性を担保するため,効果の持続性(耐
性の有無).副作用とその対処,減薬・休薬法などに関する研
究が多くなされてきた。臨床薬理研究により頻度の高い代表的
な副作用(健忘,筋脱力・転倒,催奇形性.薬物依存など)に関する知見が積み上げられている。とりわけ.非ベ
ンゾジアゼピン系睡眠薬およびメラトニン受容体作動薬につい
ては6〜12ヵ月の長期投与試験データか集積しており,ベン
ゾジアゼピン系睡眠薬に比較して長期服用時の有効性と安全性
が格段に向上していることが確認されている。
しかし、慢性不眠症患者では.長期服用.高用量,多剤併用などにより薬物依存や認知機能障害などの副作用リスクが高くな
るため,薬物療法の戦略の見直しを迫られることも多い。加え
て,日本では睡眠薬・鎮静剤として販売されたサリドマイドを
妊娠初期に服用することによって重い先天性欠損症(四肢欠損)
や死産が発生した薬害事例や,一部の患者での睡眠薬の乱用や
依存に関する報道を通じて,世界的に見ても日本人は睡眠薬に
対して群を抜いて強い心理的抵抗感を有する国民性であること
が明らかになっている。実際.日本人は睡眠薬に関する不安・
心配を数多く抱えており.服用患者のアドヒアランスは低い。

日本人が抱える睡眠薬服用に関する不安・心配(上)、安心できる服用期間(下)

日本人が抱える睡眠薬服用に関する不安・心配(上)、安心できる服用期間(下)


不眠症に対する薬物療法は.患者か持つ不安・心配
について適切に答えられ,ベネフィットがリスクを上回る妥当
な方法で行われる必要がある。
不眠症の治療アルゴリズム
上記の現状を踏まえて作成された不眠症の治療アルゴリズム↓
不眠症の治療アルゴリズム

不眠症の治療アルゴリズム


 
本治療アルゴリズムは,不眠症の薬物療法,
認知行動療法.減薬・休薬トライアルから構成されている。た
だし.不眠症の症状と病態は患者ごとに多様であるため.個々
のケースごとに適宜判断のうえで本アルゴリズムは援用される
べきである。
(1)症状把握
ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に加えて.メラトニン受容体作動薬が登場した。各薬剤は.消失半
減期,抗不安作用の有無,リズム調整効果の有無など作用特性
か異なる。不眠症状の特徴(人眠困難.中途覚醒.早朝覚醒)に
加えて.過覚醒(例:不安・抑うつによる緊張),リズム異常(例:
夜型や睡眠相後退による入眠困難,夜勤による不眠).恒常性異常(例:午睡による睡眠ニーズの減少)など,患者の不眠症の
病理を正確に捉え,薬剤選択に反映させるべきである。
(2)治療の要否判定
表1の診断基準に明示されているように,不眠症患者では夜
間の不眠症状に加えて.種々の日中の機能障害(眠気,倦怠,
不安.こだわり.抑うつ等のQOL障害)を有する。治療の要否
判定では,不眠の特徴を把握するとともに,QOL障害につい
ても能動的に聞き取る必要がある。不眠の重症度と
QOL障害は必ずしも相関しない。逆に.生理的な加齢変化に
よる不眠症状などではQOL障害を伴わないこともあり.真に
治療が必要か慎重に判断すべきである。一方で,不眠症状の存
在が生活習慣病リスクの増大に結びつくとの知見もあり.合併
症がある場合には留意すべきである。
(3)睡眠衛生指導
良質な睡眠を確保するために.睡眠に関する適切な知識を持
ち.生活を改善するための指導法。(運動や寝室環境・飲酒・食生活など)
(4)リスク評価
睡眠薬を処方する際にに長期服用に陥りやすいハイリスク群
であるか事前に評価することか望ましい。治療前に留意
すべき点として,不眠がと重度であること.抗不安薬(主として
ベンゾジアゼビン系薬物)の服用もしくは服用歴,高齢,合併
症の存在,ストレスの存在,薬物依存の履歴,アルコールとの
併用,性格特性(受動的.依存的,慢性不安,心気的)などが挙
げられる。減薬・休薬を困難にさせる要因としては.服用中の
睡眠薬が高用量.多剤併用であること.うつ病や器質性脳障害等の精神神経疾患の存在,掻痒,疼痛,頓服など睡眠を阻害する身体疾患の存在が挙げられる。これらのリスク要因については専門診療科との連携,心理カウンセリング,環境調整などが
必要である。
(5)⑤薬物療法 「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン」 10 薬物選択の具体的⼿順については、クリニカルクエスチョンを参照のこと。 ベンゾジアゼピン系および⾮ベンゾジアゼピン系睡眠薬の選択基準として、不眠症を⼊眠困難 型、睡眠維持障害型(中途覚醒、早朝覚醒)に分類し、⼊眠困難型には消失半減期の短い睡眠 薬、睡眠維持障害型には消失半減期がより⻑い睡眠薬が推奨されている(Appendix 2: 不眠治療に⽤いられる主たる睡眠薬リスト)。ただし、⼊眠困難と睡眠維持障害の両者を有する 患者に対して、異なる半減期を有する複数の睡眠薬を併⽤することに科学的根拠はなく、むし ろ副作⽤のリスクを⾼める可能性がある。少なくとも治療初期には、可能な限り単剤 (⽤量調整)で対処することが望ましい。また、リズム異常を有する不眠症に対してはメラト ニン受容体作動薬が第⼀選択肢となる。代表的なリズム異常とは、睡眠時間帯(⾃然な眠気が 訪れる時間帯、睡眠相)が社会的に望ましい時間帯よりもずれている(多くの場合遅れている) ケースが挙げられ、このような患者には強い夜型や軽度の概⽇リズム睡眠障害(睡眠相後退型 など)が含まれ、訴えは⼊眠困難が主体である。恒常性異常(午睡過多)が認められる患者に は睡眠衛⽣指導を最初に⾏うべきである。H1、α1/α2、5-HT2 受容体遮断作⽤を有する抗うつ 薬など、異なる作⽤機序を有する不眠改善薬を、各々の患者の病態に合わせて選択す ることで、臨床転帰が改善することが期待される。 ⑥ 認知⾏動療法 薬物療法と同時に、状況が許す限り、できるだけ早期から⼼理的・⾏動的介⼊も活⽤するこ とが推奨されている。代表的な介⼊⽅法が不眠症に対する認知⾏動療法である。本ガイドライ ンでは薬物療法が⼗分に奏功しない場合のセカンドラインに位置づけたが、第⼀選択療法とし て、もしくは薬物療法との併⽤療法としても有効であることが⽰されている。 ⑦ 不眠の再評価 不眠症の薬物療法、認知⾏動療法が奏功しない場合には、診断や治療抵抗を⽣じる要因につ いて再評価を⾏う。特に、脳波上は睡眠状態にあっても⾃覚的には眠っていないと感じる睡眠 状態誤認(不眠症の⼀型)に留意する必要がある。睡眠状態誤認では、患者の愁訴のままに睡 眠薬を処⽅・増量しても不眠症状は消失せず、⾼⽤量処⽅、多剤併⽤に陥りやすい。睡眠状態 誤認の確定診断は、⾃記式の睡眠⽇誌とともに、睡眠ポリグラフ試験やアクチグラフなどを⽤ いた睡眠状態の客観的判定が必要になる。しかし、このような睡眠検査ができない場合にも、 定型的な薬物療法によっても不眠が改善されない場合には、睡眠状態誤認の可能性も検討すべ きである。多くの慢性不眠症患者では程度の違いはあっても睡眠状態を誤認していることを理 解する必要がある。 また、レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害、概⽇リズム睡眠障害、睡眠時無呼 「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン」 11 吸症候群など、不眠症と誤診されやすい睡眠障害についても再検討すべきである。定型的な薬 物療法によっても不眠が改善されない場合には、再診断やその後の治療計画について専⾨医の セカンドオピニオンを求めることが推奨される。 ⑧ 維持療法 不眠症状が改善したら、現在⾏っている薬物療法(維持療法)をどの程度の期間続けるべき か患者ごとに検討する。すなわち治療のゴールを設定する。減薬・休薬を実施する前 提として、不眠症状とQOL障害の両⾯が改善している、すなわち不眠症が寛解(回復)して いることが必要である。寛解(回復)に⾄ってから減薬・休薬を開始するまでの間には、再燃 (再発)リスクを低減させるのに⼗分な期間をおくべきである。また、⼀部の患者では安全性 に留意しながらも睡眠薬の⻑期服⽤が許容される。 ⑨ 休薬トライアル 適切な時期に適切な⽅法で睡眠薬の減薬・休薬を試みるべきである。

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